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古屋旅館様

古屋旅館17代目 内田宗一郎 様

創業1806年。200年以上続く歴史と伝統、奇をてらわない心からのおもてなしでお客様をお迎えする『古屋旅館』

公式ホームページ:https://atami-furuya.co.jp/

(取材:2019年12月)

 

 

1.WEBマーケティングを強化、「届けたい人に届くコンテンツ」を作る

Q.グローカルとはどのようなきっかけで取り組みが始まったのでしょうか?

A.2012年にウェブマーケティングの提案を受けたことがきっかけです。当時から旅館の予約の大半はインターネット経由で、WEBマーケティングの視点は経営において欠かせないものでした。同業の経営者なら誰しもが「これから更に注力していかなくては」と考えていたでしょう。

そんな中でグローカルさんから受けた提案は、「WEBサイトに記載している”宿泊プランの説明文章”を変更することによって”経営を変える”」というものでした。

当時、旅館業界のWEBサイトでは宿泊プランの説明文章は今ほど重要視されておらず、テンプレートのように使いまわされた文章や、紙のパンフレットの説明文を転記するだけ、というのが主流だったので、この発想はものすごく新鮮でしたね。

説明文は「お客様がこの文章を読んだときにどう感じられるか、どう行動されるか」を考えて作成するので、何を強調し、また何を載せないかという調整が必要不可欠です。これはまさに、自社の強み・弱み分析を行うことと同じでした。

Q.ほかにはどういった改善を行っていきましたか?

A.説明文章の作成で見つけた自社の新たな強みを、WEB広告やホームページのコンテンツで発信しています。

例えば、古屋旅館のホームページには、当旅館でお召し上がりいただける「金目鯛」について説明したページがあります。あれはまさに、「お客様に何を伝えるべきか」と分析を行っていく中で見つけた強みの一つです。ほかにも、日本酒へのこだわりを説明したページ、熱海の地魚について説明したページなども同様です。

旅館のホームページにしては一見情報量が多いように思われますが、お客様ごとに異なるご嗜好にお応えしたい、という思いから、幅広いコンテンツを発信しています。

Q.コンテンツ作りで心がけていることはありますか?

A.コンテンツや言葉の難しいところは、出しすぎても、出さな過ぎてもいけない、ということ。作ったコンテンツの届け方が大切です。100ある情報を100出すのではなく、必要な情報が必要なお客様に届くような設計が必要です。例えばペット連れのお客様向けの宿泊プランは、ペットを飼っている方だけが必要としているので、ホームページのトップから導線を置くのではなく、関連するキーワードで検索したら表示されるようにしています。こういったことも、グローカルさんとWEBマーケティングに取り組む中で提案を受けたことです。

2.経営課題を共有しているからこそできた、採用活動の一新

Q.グローカルとは採用にも一緒に取り組まれていますが、どのような経緯で取り組みが始まったのですか。

A.経営においての採用の重要性は常日頃から感じていたので、グローカルさんとの毎月の打ち合わせでも話題を共有していました。

ですから、人手不足の兆しが見えてきたとき、自然とグローカルさんに相談し、自社採用サイトの開設や求人広告に取り組むことになりましたね。

Q.採用サイトのコンテンツも非常に充実していますが、それらを載せることで変わったことはありましたか。

A.採用サイトには、「古屋旅館の経営ではここを大切にしている」という私自身の経営者としてのメッセージを載せています。旅館は一般の企業と比べて事業規模が大きくないですし、勤務条件などの要素のみで応募する方が多い業界でもあります。だからこそ、経営トップが自ら顔を出して自分の言葉で想いを語るというのは、とても大切なことだと思っています。

そこを前面に押し出そうというのはグローカルさんからの提案ですし、それを旅館業界で先行してできたので、非常に効果が出ていると実感しています。

採用サイトを開設してから、応募者のほぼ100%の方が、経営者メッセージを読んできてくださるようになりました。

古屋旅館がどういった歴史を持ち、何を大切にし、これからどのような取り組みをしていこうと考えているか、そういった想い・方針に共感する方が応募してくださるようになったので、応募者の層がぐっと厚くなりました。

3.集客と採用を一貫した取り組み

Q.集客でも採用でも、考え方に変わりはないのですね。

A.集客でも採用でもターゲットが異なるだけで、「古屋旅館を選んで来ていただく」という点においては同じです。

グローカルさんと長年WEBマーケティングに取り組む中で、古屋旅館の理念や、強みの明確化といったものは既にできていたので、いざ採用課題に取り組むとなった時には打ち出すものが整理されており、スピード感をもって取り組むことができましたね。特に旅館の場合は、ホームページのお部屋へのこだわりやコンセプトなどの情報は採用においても重要視される要素です。WEB集客から採用まで、グローカルさんとの取り組みを通して一貫性のある設計になっているので、メッセージがぶれることがありません。

Q.手法ではなく、軸になる部分を一緒に探していく取り組みなのですね。

A.そうです。

強み弱みを0から洗い出して確認し、それを売り上げにつながる施策に仕上げていくという作業。これが、宿泊プランの説明文章、ホームページのコンテンツ、WEB広告、採用…全てに波及していくんですよ。

集客と採用は一見別の仕事に見えますが、実は一貫した取り組みです。それらの点をつなげて可視化してくれるのがグローカルさんの強みだと思っています。

Q.経営者のパートナーとして同じ目線で一緒に進んでいくところが強みでしょうか。

A.そうですね。

グローカルさんがこちらの立場に立つこともそうだし、逆に仕事を依頼する側もマーケティングの視点を持っていないとうまくいきません。そこには経営者自らが学んでいく姿勢が必要になります。

古屋旅館は、中小旅館でここまでしている旅館があるのかと思うぐらい、打ち出す情報をかなり細かくチューニングしています。ですが、これくらいやらないと他社と差別化できません。

旅館業界も日々WEBに対するリテラシーが上がってきているので、差をつけるためには、グローカルさんのようなプロのアドバイス、スパイスとなる存在が絶対に必要だと思います。

4.今後グローカルとともに取り組んでいきたいこと

Q.一緒に仕事していく中で刺激になる部分はありますか。

A.もちろんあります。

旅館の経営者は日々仕事に追われていて、新しい情報や異なる分野の知識をインプットする時間は全然ないんですよ。毎週セミナーに行くような時間もないですし、セミナーの多くは東京で開催されますしね。

となると、地方の旅館の経営者にとって、こういう機会を通じて自分を教育していくのはすごく大事だと思っています。

特にWEBの知識や、考え方は、もう旅館業界にとっては切っても切り離せない知識ですから。

Q.今後グローカルとはどんなことに取り組んでいきたいですか。

A.旅館の経営にはゴールがありません。時代によってお客様の嗜好は変化しますし、既存設備への投資も必要になるなど、その時々で必要な情報は全く変わってきます。それは、WEBマーケティング、採用、組織作りなどの経営課題においても同様です。

今後もおそらく、今はまったく問題になっていないのに課題になる分野が出てくるはずです。

そういったとき、経営者1人ではなかなか立ち向かえません。だからパートナーであるグローカルさんの力を借りてキャッチアップしていく。時代に遅れないように、もしくは先んじられるように、新しい視点を導入していくという部分に、プロとして非常に期待しています。

Q.最後に、グローカルへメッセージがありましたらお願いします。

A.グローカルさんと話していて非常に嬉しいのは、相手に喜んでもらいたい、という思いが伝わってくることです。

多くの場合、経営者は一生その会社で仕事をし、経営を担います。なので、単に集客の数字を伸ばす、という担当者的な姿勢ではなく、経営についての想いや課題といった根幹になる部分から共感し同じ目線で取り組む、グローカルさんのパートナーとしてのスタンスは経営者にとって非常にありがたいです。そういった想いの共有があった上での「喜んでもらいたい」だと感じています。もちろん数字という客観的な指標は必要不可欠ですが、それだけではない、「想い」の部分があるからこそ、これからも一緒にやっていきたいと思いますね。