強くて良い会社“つよいい会社”を目指して──原点に立ち返ったCEOの覚悟と挑戦

1. 経営者のキャリア
私は幼い頃から経営者の多い環境で育ちました。父や叔父をはじめ、近所にも経営者が多く、自然と「いつか自分も起業や経営をしたい」「経営者を支える立場になりたい」と思うようになりました。小学校4年生のときに『テニスの王子様』の影響でテニスを始め、中学では錦織圭選手に憧れ、高校までひたすらテニスに打ち込む日々を送りました。大学は早稲田大学の政治経済学部に進学。漠然と「卒業後は大企業に就職するのだろう」と思い始めていました。
そんな中、髄膜炎を患ったことで、自分の人生や生き方について深く考える機会を得ました。この経験を通じて、「他人の評価」ではなく「自分が死ぬときに後悔しない生き方」を大切にしようと考え直し、本当にやりたいことは起業や経営だと再認識し、起業を決意しました。とはいえ、心のどこかで「本当にできるのか?」という不安もありました。だからこそ、自らを追い込むためにあえて就職活動をせず、起業以外の選択肢をなくすという決断をしました。
2. 会社や事業の紹介
オンリーストーリーは、「世の中の経営課題を解決するためのつながりをつくる会社」です。具体的には、経営者同士をつなぐ「決裁者マッチング支援」をさまざまな形で提供しています。事業は大きく3つの形で展開しており、経営者がメッセージを送り合うプラットフォーム、経営者同士が集まるイベントの企画運営、そして、経営者の直接的なつながりを支援するサービスです。身近なもので例えるなら、恋愛の「マッチングアプリ」「婚活パーティー」「お見合い仲介」をビジネス版に置き換えて経営者向けにアレンジしたイメージです。
事業の始まりは、
「経営者を助けたい」WILL(思い)
「自分自身がインターンで経営者インタビューを行っていた」CAN(できること)
「無料で記事が広がるのは経営者として嬉しいだろう」NEED(求められていること)
このWILL、CAN、NEED3つが揃っていたことがオンリーストーリー最初の事業である、
経営者の無料インタビューは、多くの経営者に喜ばれましたが、無料インタビューを続けるための資金が必要になったこともあり、インタビューと併せて経営者向けのチラシ配布サービスを展開しました。こうして、現在の「チラCEO」というサービスが誕生しました。さらに、サービスが成長する中で、プラットフォーム化やイベント運営の展開を進め、現在のオンリーストーリーの形へと発展してきました。
3. 経営ビジョンと理念
私たちが目指す理想の会社像は、強くて、良い会社、「つよいい会社」をつくることです。
私たちが考える強さとは、例えば成長や激しさ、経済性や父性。良さとは、楽しさや優しさ、社会性や母性。これらの強さと良さの境界線をなくし、尊重し合うことをこの「つよいい」という造語に込めています。
そして、私たちの存在意義は、経営課題を解決し得る「つながり」をつくることです。起業や経営には多くのリスクがあります。優秀な経営者が多いにも関わらず、変数や求められる要素が多すぎるために、上手くいかないことの方が多くあり、経営課題を解決できないことによって、経営の成功率が低くなっています。
逆に言えば、経営課題を解決しさえすれば経営者や企業が良くなり、各企業が自社の理念を実現したら世の中が良くなるということです。その経営課題の解決を、私たちは「つながり」をつくる、という形で支援しています。
4. 競合との差別化ポイント
どこを切り取るかによって競合が変わりますが、どの競合と比較しても一番の強みといえるのは「人」にフォーカスしている点です。経営者マッチングには、イベントやプラットフォームなど様々な手法がありますが、最終的に重要なのは「誰と出会えるか」だと考えています。例えば、経営者交流会では参加者を審査制にし、毎回7割が新しい顔ぶれになるよう工夫しています。これにより、単なる名刺交換に終わらない、質の高いつながりを生み出しています。
無形資産の中で特に重要なのは、BtoBビジネスの場合は「つながり」と「信頼」です。
これらが豊富にあることで、「何かあったらオンリーストーリー」と想起してもらうことができ、紹介や中長期的な関係性に繋がっています。
10年間このサービスを提供してきましたが、今後も継続してやり抜く覚悟をもっている私たちだからこそ、これまで積み重ねてきた「つながり」を、今後もその数と質を徹底的に磨き続け、「信頼」を積み重ねて行くことが永遠のテーマです。
5. 現在注力していること
現在は「リスタート」というテーマを掲げて、新たな挑戦に取り組んでいます。2024年に10期目を迎えたタイミングで、より自信を持ってお勧めできるプロダクトやサービスになるようブラッシュアップし、リニューアルしました。過去、事業を急成長させようと焦りすぎたことにより、組織が混乱したり、サービス面でお客様に不満を与えたりした失敗もありました。
この経験を踏まえ、現在は慎重かつ着実な成長を目指しています。
特に重要だと考えているのは、代表である僕自身が現場に入り、トップ自らがプレイヤーとしてコミットし、直接テコ入れを行うことです。この取り組みの結果、組織の結束力が高まり、プロダクトへの自信も取り戻せました。
さらに、人材育成の面でも注力しています。インターン制度を再開し、未来の正社員候補を育てる「デート採用」を行っています。一緒に働きながら価値観が合うかどうかを見極めるこの仕組みは、僕自身がインターン生だった経験を活かして生まれたものです。現在は7名程度のインターン生がいますが、今後はさらに増やしていきたいと思っています。これらの取り組みを通じて、より強く、そして良い会社を目指しています。
6. 今後の展望と挑戦
今後は、さらに大きなビジョンとして「日本で一番強くていい会社」を掲げています。現在の決裁者マッチングのサービスに磨きをかけ、国内におけるトッププレーヤーとして突き抜けることが目標です。優れた株主の支援を受けながら、成長を加速させるための資金調達を進めています。
今後の展望の中には、M&AやR&Dを通じて新たな経営課題の解決に取り組むことも視野に入れています。私たちの「つながり」の可能性をさらに広げ、経営者が直面するさまざまな課題に対して、新しい解決策を提供していきたいと考えています。