地方から日本の“次の未来”をつくる──Next IWATEが目指す持続可能な地域モデル

1.経営者のキャリア
岩手に生まれ、幼少のころから「やると決めたことはとことんやる」タイプで何かを極めたいという思いが強くありました。一関高専に進学してからは、勉強に加えて学生会でも活動。特に学生会長を務めたとき、コロナ禍で学校全体が閉塞感に包まれているのを感じ、「このままじゃつまらない、何かできることはないだろうか」と行動を起こしました。
そんな学生会の活動の中で、「コブシプロジェクト」を立ち上げ、学生の自己実現や挑戦を後押しする仕組みを整えました。この取り組みからは、実際に複数の学生スタートアップが誕生しています。学生が持つアイデアや情熱を具体化するためのプラットフォームとして機能し、ここでの経験はNext IWATEが掲げる学生支援の理念の礎となっています。また、起業だけでなく、学生団体の発足や企画・広報のサポートを通じ、みんなの“やってみたい”を実現させることを後押ししました。
さらに「一関価値創造若者協議会」の設立・運営にも中心的に関わりました。(現在は当初目標を達成し解散)他団体との連携を通じて、若者が主体的に地域づくりに関わるための環境整備を進めるなど、学生が何かに熱意を持って学校生活が遅れるような取り組みに力を入れてきました。
こうした経験を通じて、生まれ住んでいる地元地域には多くの課題があることを知ると同時に「学生でも地域を動かせる」という実感を得ました。この体験が、僕にとって大きな転機になりました。
とはいえ、当時は起業や経営者になるつもりは全くありませんでした。そんな中、株式会社グローカルの浅野社長と出会い、インターンを経験する機会をいただきました。そこで初めて「クライアントに伴走するコンサルティング」に触れたことが、自分で事業を起こすきっかけの1つになったと思っています。
その後、岩手県政史上最年少で政策メンターに就任。官公庁や企業、教育機関と連携しながら現場で実践を積む中で「机上の理論だけでは何も変わらない」という確信を得ました。この気づきが、Next IWATEの立ち上げにつながっています。
2.会社や事業の紹介
Next IWATEは地域企業や自治体、教育機関、学生、金融機関などと連携しながら、地域課題の解決と次世代人材の育成に取り組む民間型シンクタンクです。事業は、「教育機関支援」「学生支援」「企業支援」「自治体支援」「金融機関支援」「商工会議所・団体支援」の6つの伴走型サービスからなり、様々なフィールドでサービスを展開しています。
こうした幅の広い複数の取り組みを、「構想づくり」から「実行支援」「成果創出」まで一貫して伴走するのが僕たちのスタイルです。これらはバラバラに存在しているのではなく、横断的に機能するように設計しています。
この通り、活動のフィールドは多彩ですが、共通しているのは「現場と一緒に汗をかく」ということ。そこに信頼関係が生まれ、持続可能な地域モデルの構築につながると考えています。
3.経営理念とビジョン
Next IWATEの根幹にあるのは「次の岩手、日本を担う一役に」という理念です。この言葉には、岩手から生まれる挑戦を日本全体に広げたいという想いが込められています。
また、私たちが目指すのは、「挑戦したい若者」と「変わりたい地域」が共創する未来社会の実装です。Next IWATEは、若者のエネルギーと地域の現場をつなぎ直し、岩手発の変革モデルを生み出し、全国へ広げていきます。従来のように「支援する・される」という関係ではなく、地域と若者がフラットに交わり「互いに影響し合いながら未来を創る」そんな“共創の交差点”をつくっていきます。
今、社会の変化はとても速く、地方が抱える課題は複雑さを増しています。たとえば、少子高齢化、若者の流出、後継者不足、そして産業の停滞。こうした問題に対して、私たちは「一時的な応援」ではなく、地域に深く入り込み、一緒に考え、実際に手を動かしながら課題を解決する、そんな伴走型の関わり方を大切にしています。
なぜなら、その中心にあるのは「人の可能性」だからです。若者、経営者、自治体の職員、教育に関わる人たち、地域を支えるすべての人が「本気で未来を変えたい」と思える機会と仕組みをつくること。それが、Next IWATEの役割です。
そして、その先にあるゴールは、岩手から日本の「次」を描き、それを実際に形にしていくこと。Next IWATEは、そのためのプラットフォームであり続けます。
4.競合との差別化ポイント
Next IWATEの強みは「現場主義」「若者起点」「共創設計」です。普通のコンサルティング会社は提案書を作って終わることも多いですが、僕たちは現場に入り、一緒に手を動かします。さらに、若者を巻き込むことも大切にしています。Z世代や学生を地域企業のプロジェクトに参加させることで、新しいアイデアが生まれ、若者にとっても成長の場になります。
そして、産官学金民を横断するネットワークを活用できることも強みです。行政、企業、大学、金融、地域住民、それぞれをつなぎ最適なチームを組む。こうした「共創設計」がNext IWATEならではの価値です。
5.現在注力していること
今、私たちが特に力を入れているのは「共創型地域モデル」です。地域活性の取り組みは、一時的なプロジェクトで終わることが多いのが現状です。でも僕たちは、イベントで終わらず、仕組みとして残すことにこだわっています。そのために、いくつもの仕掛けを同時に動かしています。たとえば、自治体・企業・学生をつなぐ企画設計。地域ビジネスの価値を高めるためのデジタル化やブランド戦略の推進。さらに、挑戦する若者を増やすための学びや実践の場づくり。これらを掛け合わせることで、挑戦が循環する地域のエコシステムをつくろうとしています。
私たちのゴールは、単発のイベントで終わらせず、地域の仕組みとして根づかせることです。その先に、岩手から全国に広がるモデルを見据えています。
6.今後の展望と挑戦
これから挑戦したいのは、岩手から「地方創生の新しいモデル」をどんどん発信していくことです。なぜかというと、今の地方には挑戦したい人がいても、その一歩を踏み出す環境や仲間がまだ足りないと考えているからです。今よりもっと挑戦を応援する大人が増え、失敗を笑わない空気が広がったら、若者も地域も大きく変わるはずです。私はそれを岩手から証明したいと思っています。それは、地方に希望を生み、日本全体に勇気を届けることにつながることだと信じています。
Next IWATEは、そのために「働く場」「学ぶ場」「挑戦する場」をつなぎ直し、「ここなら挑戦できる」と思える環境を整えます。そして、そのモデルを岩手から全国へ広げる。それが、私にとっての地方創生であり、Next IWATEの挑戦です。
7.メッセージ
私たちのポリシーのひとつに「できる・できない」ではなく「やるか・やらないか」で考える、というものがあります。地方にいると、保守的な空気を感じることがあって、挑戦するのが怖く感じる場面があるかもしれません。でも、挑戦しなければ、失敗どころか成功すら生まれないんです。今は、少子高齢化や感染症、物価高など、先が読めない時代です。これまで通りに生きることが通用しない中で、「どうすれば自分が生きる世界をもっとよくできるのか」を考え、行動することが必要だと思っています。その根底にあるのは、クリエイティブに生きるという姿勢です。
そして、「やるか・やらないか」の選択肢で「やる」を選んだ人を全力で後押しする。それが私たちの仕事です。挑戦は、未来を変えるエネルギーだと思っています。だからこそ、失敗を恐れず、一歩を踏み出してください。私たちは、その挑戦に伴走し続けます。