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看板から“空間づくり”へ。樹サインが描く、ワクワクする未来

株式会社樹サイン

代表取締役

岡村 直樹

1. いままでのキャリアについて

学生時代は、看板とはまったく関わりのない学校に通っていました。いろいろなアルバイトをしていた中で、たまたま出会ったのが「看板の仕事」でした。最初は「デザインの仕事なのかな」と思っていましたが、実際にやってみると様々な素材を扱う“ものづくり”の世界。当時はネオン全盛で駅前やビルの屋上ネオンの光が街を彩る様子を見て、すごくワクワクしたのを覚えています。

 

卒業後は看板とは直接関係のない会社に就職したのですが,「もう一度、あの世界に戻りたい」という気持ちが強くなって、迷うことなく、看板業界の会社に飛び込みました。営業から設計、製作、施工まで、ほぼすべての工程を経験しました。小さな会社だったので、現場にもデザインにも関われて、毎日が学びの連続でしたね。仕事を覚えていくうちに「もっとこうしたら良くなる」「自分ならこう提案したい」と思うようになり、それが独立を決めた一番のきっかけでした。

 

独立当初は本当に無我夢中でした。朝から晩まで現場に出て、気づけば一日が終わっている。大変でしたが、苦ではなかったです。夢中で仕事をしている時間が楽しくて、その積み重ねが今につながっています。

 

 

2. 会社・事業の紹介

現在、樹サインでは大きく4つの事業を展開しています。

 

1つ目は、屋外広告や店舗サインなど、あらゆる看板を手がける総合サイン事業。街中で見かける看板の多くは、ここで企画から製作、取り付けまでを一貫して行っています。

 

2つ目は、立体文字やネオンサインなどを専門に手がけるチャンネル文字製作工房「ラボリ」。光の入り方ひとつで印象が変わるので、細部までこだわりながら仕上げています。

 

3つ目は、デジタルサイン事業。LEDビジョンや電子サイネージを使い、映像演出を取り入れた空間づくりを提案しています。店舗やイベント会場などでの導入が増え、今後さらに伸びていく分野です。

 

そして4つ目が、ワークブース事業。看板製作で培った構造設計や資材加工のノウハウを応用し、オフィスや展示会向けのブースを開発・販売しています。もともとは看板の延長として始まった取り組みでしたが、今では独立した事業として成長。省スペースで高機能なワークブースの開発を通じて、新しい働く空間の価値を提案しています。

 

これら4つの事業が連携することで、看板だけでなく「空間全体をデザインする会社」としての幅が広がりました。以前は“看板そのもの”の依頼が中心でしたが、今では「ブランドの世界観を形にしたい」「空間の印象を変えたい」といった相談も増えています。看板という枠を超え、より創造的な提案ができるようになりました。

 

 

3. 経営ビジョンと理念

樹サインの理念は「ワクワクする未来を想像します」です。当社の仕事の根底には、「お客様も、スタッフも、見る人も笑顔になる仕事」があります。

 

その中心にある“ワクワク”とは、「新しいことに挑戦する楽しさ」「できなかったことができるようになる喜び」「見る人の心を動かす瞬間」を象徴しています。

 

また、樹サインは「いま」だけでなく、これからの街・人・仕事を想像する会社です。AIや3Dプリンター、LED、サステナブル素材など、変化の早い時代において、未来の景色に自分たちの“ものづくり”のブランドが息づくことを目指しています。

 

社員にもお客様にも、“この仕事って面白いな”と感じてほしいという思いを込めています。

 

看板は、街を歩けば誰でも目にする存在です。自分たちが手がけた看板を家族や仲間が見たときに「これ、うちで作ったんだよ」と誇れる。そんな誇りや楽しさを、みんなで共有できる会社でありたいと思っています。

 

スタッフには、国内、海外研修を通して世界の市場に触れ、感性を磨いてほしいと考えています。どんな素材を使い、どんな光で、どう見せるか。ものづくりの現場には、いつも新しい発見があります。その「面白い!」を見つけ続ける姿勢こそが、より良い仕事へとつながっていくと信じています。

 

 

4. 競合との差別化ポイント

一番の強みは、企画から取り付けまでを自社で完結できる一貫体制にあります。金物製作や設計、デザイン、シート貼り、LED設置まですべてを社内で対応しています。

 

創業当初は外注に頼る余裕がなく、何でも自分でやっていました。その経験が結果的にノウハウとなり、いまの生産体制の基盤になっています。看板業界では「一括対応」と掲げる企業も多いですが、実際に全工程を自社で行っている会社はほんの一握り。だからこそ、スピードと品質、レスポンスの速さに自信を持っています。

 

現場での柔軟な対応力とコストパフォーマンスは、樹サインならではの強みです。お客様の理想をスムーズに形にできる“実行力のあるパートナー”でありたいと思っています。

 

 

5. 現在注力していること

いま注力しているのは、「看板づくりから空間づくりへのシフト」です。デジタルサイネージやLEDビジョンの普及により、サインの役割が“情報を伝えるもの”から“空間を演出するもの”へと進化しています。

 

なかでも特に力を入れているのがLEDビジョン事業の強化です。LEDビジョンには多くの種類があり、解像度や輝度、設置環境によって最適な仕様が異なります。私たちは、まだ日本では普及しきっていない高精細映像を、高品質かつ低価格で提供することに挑戦しています。映像の鮮やかさや奥行きが空間の印象を変え、ブランド体験そのものを豊かにしてくれます。

 

また、3Dプリンターの導入によって製作スピードも格段に上がりました。以前は2週間ほどかかっていた光る文字も、今では3〜4日で完成可能です。看板は空間演出の“最後の仕上げ”にあたることが多いため、短納期で確実に対応できる体制は大きな武器です。

 

また、海外の市場や展示会にも目を向け、世界水準の素材や技術を学びながら、日本らしい丁寧な仕事と融合させています。さらに、社内では若手スタッフの育成や、働きやすい環境づくりにも注力。「ワクワクする未来を想像します」という理念のもと、お客様に感動を届ける仕事を、日々アップデートしています。

 

 

6. 今後の展望と挑戦

これからの樹サインは、「技術 × 感性 × 発信力」を軸に、看板・サイネージ業界の新しい価値を創り出していきます。LEDビジョンや3Dチャンネル文字など、これまでにない表現方法を追求し、お客様の“伝えたい想い”をより立体的・印象的にカタチにしていくことが目標です。

 

また、国内だけでなく海外のメーカーやパートナー企業との連携を深め、素材調達から製作・提案までをグローバルな視点で最適化を永久課題と位置付けています。

 

今後は、LEDや映像を活用したブランディング提案を強化していく予定です。単に「看板を作る」だけでなく、「その会社らしさをどう表現するか」という視点で、企画段階から伴走できる存在を目指します。

 

さらに、ウェブ集客の強化にも力を入れています。これまで現場中心だった営業から、オンラインでの情報発信や実績紹介へとシフトすることで、新しい顧客層との出会いが生まれました。今後は社内にマーケティング部門を立ち上げ、より戦略的にブランドを発信していきます。

 

そして、目指しているのは「業界で日本一豊かな会社」です。その“豊かさ”とは、売上だけでなく、人の成長・誇り・感性・そして仕事を楽しむ心の豊かさのこと。スタッフ一人ひとりがワクワクしながら挑戦できる会社であり続けること、関わる人すべてが幸せになる。そんな会社をつくることが、私の目標です。

 

 

7. 読者へのメッセージ

どんな仕事も、最初から完璧にはできません。大切なのは、小さな積み重ねを楽しみながら続けることだと思います。私自身も、日々の現場での学びや失敗を繰り返しながら、ここまで来ました。時代が変わっても、“ものづくりの楽しさ”は変わりません。デジタルが進んでも、人の感性や温度をどう活かすかが、これからの鍵になると思っています。

 

夢中になれる仕事があること——それが何よりの幸せです。これからも“ワクワクする未来”を信じて、仲間とともに挑戦を続けていきます。