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「顧客を勝たせる」開発を。若き経営者が描くAI時代の成長戦略

株式会社Growth One

代表取締役CEO

武石 尚大

1. いままでのキャリアについて

私が起業したのは17歳のときでした。もともと母が会社を経営していたのですが、私が高校生の頃に破産してしまい、家も車も失うような状況になったんです。大学に進む余裕もなく、「どう生きていくか」を考えた結果、自然と「自分で稼ぐしかない」という結論に行き着きました。

 

高校を辞め、時間だけはたっぷりあったので、プログラミングスクールに通ってみたのが最初のきっかけです。そこにいた仲間と意気投合し、5人で会社を立ち上げました。当時は一番下の17歳から、上は20代後半まで。何もわからないままのスタートでしたが、不思議と「なんとかなる」という根拠のない自信がありました。

 

最初はウェブサイト制作やシステムの受託開発を中心に請け負っていました。営業経験もなかったのですが、ありがたいことに人との縁に恵まれて仕事が次々と決まっていったんです。ただ、受ける案件の数や規模を見誤ってしまい、思うように進行できなかったこともありました。すべてを自分で抱え込もうとして限界を感じた経験から、「人に任せる」「チームで動く」ことの大切さを学びました。この経験を通じて、仲間と力を合わせて成果を出すという今のチームづくりの基盤が形づくられたと思います。

 

 

2. 事業紹介

Growth Oneでは、現在大きく二つの軸で事業を展開しています。一つは、アプリケーションやウェブサービス、業務システムなどの開発事業です。企画から設計、開発、リリース、運用までを一気通貫で行い、クライアントの課題に合わせた最適な仕組みをつくっています。

 

単なる受託開発ではなく、「なぜその機能が必要なのか」「本当に成果につながるのか」という部分まで踏み込むのが私たちのやり方です。業務改善システムや管理システムの構築、アプリのUI/UX設計など、スタートアップから大手企業まで幅広く支援しています。納品して終わりではなく、運用フェーズでの改善や追加開発まで伴走することを大切にしています。

 

もう一つの軸が、「AI推進室」というAI関連の開発とコンサルティング、AI人材の提供です。生成AIや機械学習を活用したプロジェクトが増えており、「AIを導入したいけれど、何から始めればいいか分からない」という企業の相談に対して、導入設計から開発、社内定着まで一貫して支援しています。

 

社名のGrowth Oneには、関わる人や取引先と強い関係を築きながら「無限大に成長し続ける」という想いを込めました。頭文字の「G」と「O」を組み合わせたロゴは、「結束」や「関係構築」を象徴する無限マークを表しています。また、オンラインでの出会いが多い今だからこそ、「検索したときに唯一無二で見つかる社名であること」にもこだわりました。社名もブランドの一部として、認知性と信頼性を高める重要な要素だと考えています。

 

 

3. 経営ビジョン・理念

私たちが掲げているのは、「顧客を勝たせるシステム開発」です。システムを作って終わりではなく、その先でお客様の事業がどう変わるか、どんな成果を生み出せるかまでを見届けたいという想いを込めています。

 

システム開発は、納品した瞬間がゴールのように扱われがちです。しかし、実際に成果が出ていなければ、それは「完成」ではなく「途中」だと思っています。開発の目的は効率化や自動化ではなく、その先にある事業成長や人の時間を生み出すことです。私たちはその価値に重きを置いています。

 

また、お客様の課題を深く理解するために、「本当に必要なものかどうか」を常に問い続けています。時には「このシステムは今は作らない方がいい」と率直に伝えることもあります。短期的な利益よりも、長く信頼してもらえる関係を築くことのほうが、結果的に双方の成長につながると考えています。

 

 

4. 競合との差別化ポイント

システム開発会社やコンサルティング会社は数多くありますが、私たちの特徴は「マーケティングの視点を持つ開発チーム」であることです。単に「動くシステム」を作るのではなく、「どうすればその仕組みが事業として伸びていくか」までを考えて設計しています。

 

特に通信系や新規事業系のアプリ・ウェブサービスを得意としており、ターゲット層の行動や感覚に合わせたUI/UX設計にこだわっています。若いメンバーが多いからこそ、新しい技術やトレンドを柔軟に取り入れ、スピード感をもって形にできるのも強みです。

 

また、営業スタイルは最初から「仕事をください」というスタンスではなく、まず人として信頼関係を築くことを重視しています。仲良くなった人との会話の中から自然と仕事が生まれる。その積み重ねが、長期的な関係や新しいチャンスにつながっています。開発も営業も、根底にあるのは「人とのつながり」です。テクノロジーが進化しても、最終的にプロジェクトを動かすのは人。だからこそ私たちは「人とのつながり」を大切にしています。

 

 

5. 現在注力していること

今は特に、AI関連の分野に力を入れています。ここ数年で企業のAI導入に関する相談が一気に増え、「どこから手をつければいいのか分からない」という声を多くいただくようになりました。そうした企業に対して、導入設計から開発、社内への定着支援までを一貫してサポートしています。

 

AIの技術は日々進化しており、新しいツールや概念が次々と登場します。だからこそ重要なのは、「AIを使うこと」自体ではなく、「どう活用すれば成果につながるか」を考えることです。私たちは、その部分をクライアントと一緒に設計し、実際の現場で成果を出すところまで伴走することを大切にしています。

 

今後は、受託開発で得たノウハウを活かしながら、自社でもAIサービスを展開していく予定です。クライアント支援で培った経験をもとに、自分たちの手で新しい価値を生み出す挑戦を続けていきたいと思っています。

 

こうした事業を支えているのが、社内のチーム力です。 メンバーの誕生日会をしたり、3か月に一度みんなで出かけたりと、仕事以外の交流も大切にしています。また、月に一度「成果共有会」を開き、営業もエンジニアもそれぞれの取り組みを共有しています。お互いの仕事を知ることで、自然と協力が生まれ、チームとしての一体感が育っていく。この雰囲気があるからこそ、新しい技術への挑戦にも前向きに取り組めていると感じます。

 

 

6. 今後の展望と挑戦

現在、Growth OneはTWOSTONE&Sonsグループの一員として、グループ各社との連携を強化しています。グループ内には人材、開発、マーケティングなど多様な専門領域を持つ企業があり、それぞれの強みを掛け合わせることで、クライアントに対してより高い価値を提供できる体制が整いつつあります。開発後の運用や人材支援まで一気通貫で対応できる点は、グループとしての大きな強みです。

 

今後は、AI関連の開発から運用までをすべて自社内で完結できる仕組みをつくっていきたいと考えています。外部に頼らず、開発・実装・改善・運用をワンチームで回せる体制を整えることで、スピードも品質もさらに高めていけるはずです。

 

また、受託開発だけでなく、自社でプロダクトを企画し、市場に向けて発信していくフェーズへと進化していきたいと思っています。これまでクライアントの課題解決を通して得た知見を、自分たちのサービスにも活かしていくことで、より実践的で価値のある開発会社を目指します。

 

私が今23歳(2025年11月現在)のためこれまで目標として掲げていた「最年少(25歳)での上場」は現実的ではなくなりましたが、私たちが所属しているTWOSTONE&Sonsの代表取締役COOの高原が27歳で上場を果たしているので、そこを超えることを新たな目標にしています。ただ、上場ありきで突き進むのではなく、まずは足元を固め、事業を安定させることが最優先です。そのうえで自分たちの手で新しい市場を切り拓き、価値あるプロダクトを生み出していきたいと思っています。

 

 

7. 読者へのメッセージ

若手の起業家や中小企業の経営者の方に伝えたいのは、「コミュニティの大切さ」です。ビジネスの世界では、人とのつながりがすべての出発点になると感じています。まずはいろんな人と話してみて、仲良くなって、その中で自然と仕事が生まれていく。そういう関係性のほうが、長く続くし、結果的に良い成果につながると思うんです。

 

僕自身、若くして経営を始めたことで、苦労もありました。年齢が若い分、「本当に大丈夫なのか」と思われることも多く、話を聞いてもらえないこともありました。でも、その分、行動の速さや吸収力では誰にも負けないという自信がありました。早い段階で多くの経験を積めたことは大きな財産ですし、若いからこそ声をかけてもらえる機会も多い。若さはハンデでもあり、武器でもあると感じています。

 

仕事ありきで人と出会うのではなく、普段の何気ない会話の中から信頼関係を築く。そして、自分のコミュニティを広げていくことで、他の人の経験や知識を得る機会がある。
僕自身もこれまで多くの人との出会いに助けられてきました。だからこそ、人とつながることを恐れずに、まずは一歩を踏み出してほしいと思います。

 

AIやテクノロジーが進化する時代だからこそ、人との関係はより大切になる。Growth Oneとしても、技術を通じて人と人のつながりを支えるような存在でありたいと思っています。