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営業を起点に、企業と人の可能性を広げる──エッジコネクション大村社長の20年の挑戦

株式会社エッジコネクション

代表取締役社長

大村 康雄

1. 経営者のキャリア

大学2年のとき、友人と学生ベンチャーを立ち上げたのが最初の挑戦でした。事業は残念ながらうまくいかず、一度は就職の道を選ぶことになります。新卒で入社したのはシティバンクというアメリカの銀行。最初は窓口業務から始まりましたが、やがて富裕層向けに外貨や投資信託を提案する電話営業を担当しました。

 

電話一本で相手の信頼を得て、行動を促すことは想像以上に難しい。しかし、その難しさの奥にある面白さに気づき、「営業は人の心を動かす仕事だ」と実感しました。今振り返れば、営業の基礎や胆力はこのときにすべて叩き込まれたと思います。

 

とはいえ、学生時代に一度起業した経験があったからこそ、「やはり自分で事業をやりたい」という気持ちはずっと心の中に残っていました。2007年、そのときの同期と5人でエッジコネクションを設立。国際経験豊富な仲間が集まったこともあり、当初は「海外の新しい商品を日本に輸入して広める」というビジネスを構想しました。しかし、協力を約束していた2社が立ち上げ直後に離れてしまい、計画は頓挫。倉庫もなければ販路もない状況に陥りました。

 

そこで改めて見つめ直したのが「自分たちが確実にできること」でした。それが電話営業です。シティバンクで培ったスキルを武器に、テレマーケティングを軸とした事業へと舵を切りました。この方向転換こそが、現在のエッジコネクションの礎になっています。

 

 

2. 会社や事業の紹介

創業事業はテレマーケティングです。クライアントに代わって電話をかけ、アポイントを獲得するシンプルなサービスからスタートしました。電話を重ねていくと、「営業戦略をこう改善したらいいのでは」「営業力を高める研修が必要では」という新たなニーズが見えてきて、自然と支援の幅が広がっていきました。 今では営業戦略のコンサルティング、営業研修、営業資料作成のアドバイス、営業部門のマネジメント支援、人事制度の設計、人材紹介、M&Aや財務サポートまで、事業責任者が直面するほぼすべての課題に応えられる体制を整えています。 

 

クライアントはベンチャーから大手企業まで幅広く、特定の業種に偏りはありません。どの業種でも営業の重要性は変わらないからこそ、業界に縛られず支援できるのが大きな特徴です。また、業種や規模を問わず幅広いクライアントを支援できるのは、これまで営業という普遍的な課題に真正面から向き合ってきた結果だと思います。  

 

 

3. 経営理念とビジョン

経営理念は「人材育成と経営支援を通して、いかなる環境においても幸福を追求できる人と企業をつくる」。私にとって経営理念は、何十年経っても変わらない“モチベーションの源泉”です。学生ベンチャーの失敗も、シティバンクでの経験も、創業時の挫折も、すべてを通じて学んだのは「環境に左右されず、前を向ける強さを持つこと」の大切さでした。社員やクライアントが困難を乗り越え、成長していく姿を見ることが、私自身の一番の喜びです。

 

社名「エッジコネクション」にも想いを込めました。英語で「エッジ」は“最先端・イケてる”という意味、「コネクション」は“つながり”。人と人、企業と企業の“イケてるつながり”を生み出す会社でありたい。そう考えてこの名前を選びました。
 

 

4. 競合との差別化ポイント

営業代行会社は数多くありますが、弊社は「すべて正社員で対応する」ことにこだわっています。アルバイトやパートスタッフではなく、正社員が責任を持って電話をかける。クライアントは直接担当者と話すことができ、その安心感は大きな差別化要因になっています。

 

さらに、アポイント獲得にとどまらず、戦略コンサルティングにおいても「レスが早い」「説明がわかりやすい」「情報共有が細かい」といった評価をいただいています。単に成果を納品するのではなく、営業の先にある経営課題まで伴走する姿勢が、信頼につながっています。

 

 

5. 現在注力していること

今も注力しているのは、創業以来のコア事業であるテレマーケティングです。問い合わせが減らないことからも、社会的ニーズが依然として高い分野だと実感しています。この事業をさらに強化し続けていくことが、会社としての使命だと考えています。

 

また、社員教育にも力を入れています。大切にしているのは「素直に、ひたむきに頑張ること」と「他責にしないこと」。成果は実績でしか示せないからこそ、自分で責任を引き受ける姿勢を求めています。厳しい現場でも逃げずに取り組めば必ず成長できる。その文化を会社に浸透させています。

 

さらに、若い社員との関わり方でも大切にしている考えがあります。それは「私と新入社員の目線が完全に揃うことはない」ということ。立場が違う以上それは当然だと思っています。その前提に立ち、どういうコミュニケーションをすれば彼らのスキルや責任感の中で「頑張ろう」と思えるのかを考え、向き合っています。一人ひとりが個性を発揮できる環境をつくることが、理念の実現にもつながっています。  

 

 

6. 今後の展望と挑戦

これからの5年で目指しているのは「事業責任者が困ったら、まずエッジコネクションに相談しよう」と言われる存在になることです。営業はもちろん、人事や財務を含めた課題も最初に思い浮かべてもらえる会社になりたいと考えています。

 

すでに海外企業の日本進出支援を行っていますが、将来的には日本企業の海外進出支援にも取り組むことを視野に入れています。社内には英語ができる人材もいるため、その強みを活かして事業を広げていけると考えています。

 

創業時に事業モデルが頓挫しても、営業という強みに立ち返って進んできたように、これからも変化に合わせて柔軟に挑戦し続けること。それがエッジコネクションのスタイルです。

 

 

7. メッセージ

エッジコネクションは創業20期を迎え、9期連続の増収、13期連続の黒字を続けています。ノウハウを商品として提供しながら、この実績を出し続けている会社は多くありません。経営や営業で課題を抱えたときには、ぜひ気軽にご相談いただければと思います。

 

これから起業を考える若い世代に伝えたいのは、「まずはサラリーマンとしてエースになること」です。ひとつの組織で信頼を得てエースと認められる人でなければ、起業してもうまくいかないと思います。逆にエースとしての実績があれば、仮に失敗しても戻れる場所があります。それは大きな保険になります。

 

起業は華やかに見えるかもしれませんが、20年続けてみて実感するのは「甘い世界ではない」ということです。ただ、本気で挑戦すればその努力は必ず力になります。営業を起点に、人と企業の可能性を広げていく。その挑戦をこれからも続けていきたいと思います。