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「美の創造と夢の実現」──若きリーダーが挑むCPコスメティクスの新たな挑戦

株式会社CPコスメティクス

代表取締役

児玉晃洋

私のキャリア

私は2001年に新卒で株式会社CPコスメティクスへ入社しました。当時は就職氷河期の終わりごろでしたが、就職活動はとても楽しく、わくわくしながら企業説明会や面接を受けていたことを覚えています。広告代理店や通信業界、さらに電機メーカーなど、当時人気が高かった企業を中心に選考に臨んでいましたが、とりわけ化粧品業界への関心が強かったです。そのため、会社の規模感や選考で関わった社員の人柄に強く惹かれた大手化粧品メーカーから内定をいただいたとき、その会社に就職しようと考えていました。

 

一方で、当時のCPコスメティクスは、ソニーミュージックが手がける化粧品会社として独自の存在感を放っていました。再募集があると聞いて興味を持ち、選考に進んだのですが、社員数が60名と少数精鋭で、私服勤務可、若手であっても積極的に挑戦を推奨するフラットな社風は非常に新鮮に感じました。ここなら組織の歯車ではない仕事ができるかもしれないと考え、最終的にCPコスメティクスに就職する決断をしました。

 

入社後は名古屋での3年間で現場経験を積み、徹底的に顧客に寄り添うことで、営業の根幹を学びました。その後、大阪、東日本エリアと、複数の拠点で営業の経験を積み、営業所責任者、営業統括とキャリアを広げていきました。さらに、本社でマーケティングの仕事にも携わり、細部にわたる顧客のニーズを読み取り、それを全国的な施策として展開する難しさや戦略を練る重要性を認識しました。

 

思い返せばターニングポイントはいくつもありました。名古屋で経験した良い事例を、大阪に異動後に横展開しようと思っても細部を理解していなかったため浸透させることができず、自分一人だけでは成し遂げられないことに気づけたこと。本社のマーケティングに異動してからは直接顧客の声が聞けない中、仮説を立てながら最大公約数を目指す経験を積めたこと。天王洲とみなとみらいに分かれていた営業拠点を統合したいと社長に提言し、統合後にその責任者に就任したこと。これらは全てCPコスメティクスのチャレンジを重んじる文化があったからこそ積めた経験だと思っています。早い段階で様々な経験を積めたことはとてもありがたかったと感じています。

 

そして、2023年に代表取締役社長に就任したことは大きな転機でした。コロナ禍の影響もあり、「組織の若返り」というグループ全体の方針のもと40代という若さでバトンを受け取りました。私は9代目の代表になりますが、この年齢、かつ新卒生え抜きの社長就任は創業以来はじめてのことです。お客様を含め、社内も先輩ばかりでした。驚かれもしましたし、笑われもしました。とはいえ、新卒入社の社員だからこそ、社内の文化や先輩社員の想いが理解できるという強みは持っていると思っています。新たなCPコスメティクスを創造する、そんな改革に挑戦する立場として、日々の経営に取り組んでいます。

 

会社や事業の紹介

CPコスメティクスは、化粧品の研究開発・企画・製造・販売を手がける企業です。美容を通して人々の生活に「美の想像と夢の実現」を提供することを理念としています。顧客が求める商品と体験の両方を提供し、生涯を通じて信頼関係を築ける企業を目指しています。

 

当社の強みは、単なる製品提供にとどまらず、「もの、こと、ひと」に根ざした価値提供にあります。高品質の化粧品を提供しながらも、サロンでの顧客体験やアフターサービスを重視し、特に顧客と密接に関わり、お客様からサロンオーナーになる起業支援までを実現可能とする「代理店モデル」を構築しています。現在、国内1,200以上のサロンに製品を展開し、顧客満足を追求するためのサービスを全国で提供しています。

 

また、デジタル推進にも注力しており、アプリやタブレット、SNSなどを活用し、顧客との接点を増やす工夫をしています。これは、特に若年層の獲得や、ライフスタイルに合わせたサービスの提案を可能にするものであり、今後の発展の鍵となる施策の一つです。

 

経営ビジョンと理念

CPコスメティクスの経営ビジョンは、「美の創造と夢の実現」です。このビジョンのもと、自社工場による高品質な化粧品、サロンでの体験価値の提供、ビジネスに携わる方々の熱量で生涯顧客づくりと自分のお店を持ちたい、という方の夢を応援しています。

また、多様な顧客ニーズに応えるため、製品の研究開発においても独自のアプローチを追求しています。これにより、女性たちが生涯にわたって「自分らしさ」を表現できる製品と体験の提供を目指し、時代とともに進化する美容の価値観に柔軟に対応しています。また、代理店やオーナーとの信頼関係を基盤とし、共に成長していくことで、地域社会との共存共栄を実現する姿勢を大切にしています。

コロナ禍で、飲食店やサービス業をはじめとした店舗を基軸とするビジネスが大きな打撃を受けました。もちろん当社も影響は受けたのですが、同業他社と比較して影響は軽微でした。これもひとえに、地域と共存共栄をし続けてくださった代理店やオーナーの皆さまの力だと感じています。

 

競合との差別化ポイント

CPコスメティクスが競合と一線を画すポイントは、顧客との強固な信頼関係に基づく「体験価値の提供」にあります。全国にエステサロンを展開している化粧品メーカーは他にもありますが、全国に地域に根差した代理店制度をとっており、彼らと密接に連携しながら、地域ごとに異なる顧客ニーズに応える取り組みをしている企業はほとんどありません。多くの化粧品メーカーが製品を市場に提供するだけであるのに対し、CPコスメティクスは「生涯顧客」を育むことを強く意識し、全国の代理店に協力いただきながら、体験を通じたリピート顧客の獲得に力を入れています。

 

そして、代理店や店舗の責任者が地域で輝けるための支援も行っています。「美の創造と夢の実現」というビジョンは、美容ビジネスを通した経営支援や起業家育成も含んでいます。この「共創型」のビジネスモデルを持つことも、業界内で独自のポジションを確立している要素の一つです。

 

現在注力していること

現在、CPコスメティクスは、国内の新たな顧客層と接点を持つためのプロジェクトに注力しています。具体的には、ファンからのご紹介による接点に加え、SNSやデジタルインフラを強化した新たな接点づくりによるブランド認知の向上とサロン生産性の向上、若年層向け製品ラインの拡充による世代対策の2点です。

 

日本の人口は減少の一途をたどっています。私たちが強みとしている「共創型」のビジネスモデルがあっても、集客力は下がってしまう可能性が高いと考えています。これを乗り越えるためには、従来の「知人からの紹介」による集客だけでなく、より積極的にCPコスメティクスに触れる機会を増やす必要があります。「化粧品」からCPというブランドを知ってもらう新たな接点としての従来のサロンモデルのアップデートや新業態へのチャレンジも代理店と共に模索していきます。幸い、各エリアの代理店や店舗責任者は独自の経営者ネットワークを持っていることが多いため、彼らが手を取り合って相互誘客ができる仕組みを構築することも可能だと考えています。

 

また、CPコスメティクスのエステは幅広い年齢層にご利用いただいておりますが、20~30代の方のリピート率は他の世代と比べて高くありません。母から娘へと世代を超えて使っていただくためにも、より手に取りやすい価格帯のブランドラインを立ち上げる必要があると考えています。

 

今までにない取り組みが多く、第二創業期といえるかもしれませんが、「もの、こと、ひと」をテーマにした体験価値を提供する姿勢は創業以来変わりません。先輩たちが創り上げてきたCPコスメティクスを守りつつ、エステ体験の枠を超え、化粧品ユーザー全体に向けたサービス展開を進めていきたいと考えています。

 

今後の展望と挑戦

CPコスメティクスは、国内での顧客基盤を拡大するだけでなく、将来的な海外展開も視野に入れています。代理店の数を2倍に増やし、2,000店舗以上展開することを目指しています。国内の代理店ネットワーク、CPサロンはもちろん、TBSグループのネットワークを最大限に活用し、より多くの人々がアクセスできる体制を整えていく計画です。

 

また、単なる化粧品メーカーではなく、代理店の経営支援やサロンスタッフの独立開業支援もさらに強化していきます。積極的に拡大したい、地域の方々に愛され続けたいなど、代理店やスタッフごとに目標は異なるはずです。そのため、それぞれが求めるフォローも変わってきます。私たちは、彼らの目指す姿に寄り添い、最適なフォローができる体制を整え、「美容を通じた自己表現の自由」を体現する企業になることを目指します。

 

読者へのメッセージ

社長が右と言っても、みんなが右を向くわけではありません。同じ方向を向いてもらうには、いかに先の未来を見せるかが重要だと考えています。中期経営計画のように、段階に分けて見せていかなければ、やりたいことの実現に向けて、みんなの協力を得ることは難しいでしょう。私はあくまでもサラリーマン社長です。株主には予算の進捗に関して説明が求められるほか、様々なステークホルダーから信頼を勝ち得なければなりません。もちろん大変ではありますが、同時にとても楽しいとも思っています。もしかしたら、まだ事業部長のような感覚なのかもしれませんね。いろいろと任せてもらっているからこそ、「悩んだらとにかくやってみる」という姿勢を持ち続け、ステークホルダー全員が前向きに捉えていただけるよう全力を尽くしたいと思っています。

 

まとめ

40代という若さで社長に就任され、社内外の驚きや戸惑いも少なくない中で、「若い世代の経営者だからこそできる改革」を推進していることがとても印象的です。従来のビジネスモデルを大切にしつつも、現代のデジタル化の波を捉え、代理店ネットワークを最大限に活かした「共創型ビジネスモデル」で他社との差別化を図る同社の戦略は、新卒入社から培った「顧客目線」あってのことだと感じます。

 

「悩んだらまずやってみる」というアグレッシブな姿勢は、経営者の共感を呼ぶ部分も多いはずです。TBSグループの一員としての役割を果たすだけでなく、先輩たちが代々受け継いできたCPコスメティクスのDNAを大切にしながら、柔軟な発想と挑戦する精神を持ち続けている姿勢は、これからのCPコスメティクスをより魅力的で成長性のある企業へと導いていくに違いありません。「美の創造と夢の実現」というビジョンを掲げるCPコスメティクスが、地域社会との共存共栄を軸に、さらなる飛躍を遂げていくことを心から期待しています。

 

児玉さん、お忙しい中ご協力いただきありがとうございました。