【社長業】組織の加速度的な成長に必要な「個」の在り方を再定義する
組織が圧倒的なスピードで成長し、他にはない存在感を放つ企業へと進化していくためには、戦略や構造だけでは不十分です。鍵を握るのは、一人ひとりの社員がどれだけ当事者として覚悟と行動を持って向き合えるか。つまり「個」の在り方こそが、組織の推進力を決定づける時代です。本コラムでは、経営者が率いる組織の中で求められる「個の覚悟と実行」について、事例とともに幅広く解説します。
「構造」ではなく「個」の在り方が組織の加速を決定づける時代
企業が目指す成長戦略や中長期ビジョン。それがどれほど精緻に描かれていたとしても、実行に移すのは常に「人」です。つまり、構造や戦略は“可能性”を広げるものであっても、それを“現実”に変えるのは、現場で行動する一人ひとりの覚悟と実行なのです。これは中小企業やベンチャー企業のように、少数精鋭で事業を進める組織であればあるほど、顕著に表れます。
特に変化のスピードが極端に早くなっている今の時代においては、「担当業務をこなすだけ」「指示されたことを遂行するだけ」という姿勢では、組織が時代の変化に追いつくことはできません。むしろ、組織における“限られたリソース”を最大限に活かし、自己裁量の範囲を超えて貢献できる人材がいることで、企業全体のスピードは加速します。
どの企業にも戦略はありますが、差を生むのは「どれだけ当事者意識のある人材がいるか」ということ。事業を大きく動かすのは、往々にして構造や仕組みではなく、ひとりの覚悟ある“個”の行動なのです。
「指示待ち」から「前のめりな関与」へ、今こそ一人ひとりの意識改革を
急成長中の企業や変革フェーズにある組織では、業務が曖昧なまま進行することも少なくありません。その状況下で求められるのは、「言われていないからやらない」ではなく、「今、この状況で自分が最も価値を発揮できる領域はどこか」を自ら考え、踏み出す姿勢です。
たとえば、上司の意図を先読みして資料をつくる、会議で浮き彫りになった問題に率先して着手する、あるいはチーム間の摩擦を察知して自発的にハブ役を担う──そうした行動は、形式的な業務を超えた“前のめりな関与”であり、組織を強く、速く動かしていく原動力となります。
実際に、グローカルが支援する企業においても、あるベンチャー企業の20代中堅社員が、部署間のコミュニケーション不全を自ら課題として捉え、社内ナレッジ共有の新たな仕組みを設計・導入したことで、プロジェクト進行のスピードが1.5倍に高まりました。これは「枠を超えて貢献する」という意識が、組織全体に影響を与えた好例です。
このように、「役割に閉じない働き方」ができる人材が増えれば増えるほど、会社は想定を超えた成長曲線を描けるようになります。経営者がすべてを指示する時代は終わりました。これからは、社員一人ひとりが「自分ごと化」することで、圧倒的なスピードが生まれる時代なのです。
貢献の形が見えないとき、立ち止まらず「問う」力を持つ
とはいえ、「自分が何に貢献できるのかが分からない」と感じる場面も少なくありません。そんなとき、黙って立ち止まってしまうのではなく、「自分のリソースをどこに使えば組織に最大の価値が出せるか」を問い、上司や仲間に相談する勇気が求められます。
これは、“聞くこと=頼ること”という弱さではありません。“自らの立ち位置を高めようとする意志”そのものです。特に中小企業では、個人の行動が与えるインパクトが大きいため、「動きながら問う」「相談しながら貢献の形を模索する」という姿勢が、短期間で成果を生む最大の武器になります。
また、「自分の得意なことだけで貢献しよう」と考えるのではなく、「組織にとって必要なことに、今の自分がどう踏み込むか」と視点を変えることも重要です。そこにはストレッチがありますが、その経験が個人の成長に直結し、結果として組織の成長スピードを加速させます。
成熟したビジネスパーソンとは、“自己完結”できる人ではなく、“自己を他者とともに最適化できる人”です。だからこそ、経営者はそうした文化を育む土壌を整え、社員には「貢献するために、まずは問う」という姿勢を根付かせる必要があります。
まとめ:組織を変えるのは戦略ではなく「個の一歩」の集合体
企業の成長とは、特別な才能や完璧な計画があって実現するものではありません。実際に成長を遂げている企業の多くは、「圧倒的な個の実行力」を積み重ねることで、全体の推進力を創り出しています。どれだけ素晴らしい戦略も、それを支える「人の動き」がなければ、机上の空論に終わるのです。
だからこそ、すべての社員が「自分が組織をつくっている」という当事者意識を持ち、日々の行動の中に“もう一歩”を積み重ねることが、企業の未来を変える鍵になります。その“一歩”は、誰かに評価されるためではなく、「自分が誇れる仕事をする」ための歩みであり、それが周囲に波及し、やがては組織文化として定着していくのです。
グローカルが支援する多くの企業では、こうした「一人ひとりの覚悟と行動」によって、想像以上のスピードで変化と成長を遂げています。そして、その背景には必ず、「個が自分の可能性を信じ、踏み出した瞬間」が存在しています。
あなたのその一歩が、組織の未来を変えます。今日から、「任されたこと」ではなく、「自分がやると決めたこと」に挑む日々を、共に歩んでいきましょう。



