TOP > コラム > 【社長業】ゴールを“共に語れる”組織は、驚くほど速く進化する

組織開発

【社長業】ゴールを“共に語れる”組織は、驚くほど速く進化する

中小企業やベンチャー企業が成長を加速させるためには、社長だけでなく社員一人ひとりが「目指すべきゴール」を自分ごととして語れ、行動につなげているかどうかが鍵を握ります。本コラムでは、ビジョンや中長期目標の共有が組織のスピードと一体感に与える影響について、社長業の視点から深掘りします。実践すべき具体的アクションや組織内対話の重要性についても触れながら、社員が“本気で走れる”組織のつくり方を、幅広く解説します。

「売れる」営業組織の作り方がわかるダウンロード資料

「売れる営業組織」とは、営業力の高い営業社員を数多く抱えている組織でしょうか。これは必ずしも正しいとは限りません。また、人手不足が深刻な状況の中、営業力の高い社員を雇用するのは決して簡単なことではありません。本ホワイトペーパーでは、個の能力に依存することなく、仕組みで売れる営業組織の作り方を紹介します。

「何を目指すのか」を共有するだけで組織は加速する

組織が一丸となって成長するためには、「何を目指しているのか」が全員に伝わっていなければなりません。中長期のゴールが社長の頭の中だけにあって、現場では日々の業務をただ「こなす」だけになっている企業は意外に多いものです。しかし、組織全体が目的地を把握し、「どの方向に向かって走るか」が一致していれば、日々の小さな判断の積み重ねが結果的に大きな成長の原動力となります。

たとえば「3年後には●●地域でシェアNo.1になる」というビジョンが明確であれば、営業はどの業種・業態に注力すべきか、開発はどんな機能を優先すべきか、採用ではどんな人材を迎え入れるべきか――すべての意思決定が連動し始めます。曖昧な目標ではなく、具体的なゴールを全員が“語れる”状態にすることが、組織のスピードと質を高める起点になるのです。

特に中小企業は、社員一人ひとりの業務が多岐にわたり、役割の境界線も曖昧です。だからこそ、方向性が明確であることが、現場の「迷い」を減らし、エネルギーを“前に進める力”に変えてくれます。社長が率先して「我々は何を目指しているのか」を語り、問い続けることが、組織を動かす強力なドライブになります。

「個人のビジョン」と「組織のビジョン」が重なった瞬間に加速する

ビジョン共有の真価は、「会社の目指す姿」と「社員一人ひとりが実現したい未来」が重なったときに現れます。この“リンク”がある組織は、指示されずとも動き、自ら課題を見つけ、成長の糧に変えていきます。逆に、「会社の目標は知っているが、自分には関係ない」という空気が蔓延している組織は、いつまで経っても受け身のままです。

たとえば、ある若手社員が「地域に貢献できる仕事がしたい」と語っていたとします。その想いと、「地域インフラとしてNo.1を目指す」という会社のビジョンが結びついたとき、その社員は単なる“労働力”ではなく、“自ら戦略を考える仲間”へと変わっていきます。そこに本気の当事者意識が芽生え、日々の行動も変わるのです。

この重なりをつくるためには、経営者や管理職がビジョンを「押しつける」のではなく、「開示する」ことが大切です。自分の思いや価値観をオープンにし、社員の声に耳を傾け、相互にすり合わせるプロセスこそが、共感をベースにした強い組織を生む鍵となります。「会社は何を目指しているのか」「自分は何を目指しているのか」、この2つを語り合える時間を、定期的に意図的につくることが、組織の未来を変えるのです。

ビジョンを“言葉”で終わらせず“日常の行動”に変える

ビジョンや目標は、ただ掲げるだけでは意味がありません。真に組織を変えるのは、「それが日常の行動に落とし込まれているかどうか」です。つまり、現場の判断や優先順位の付け方が、共有されたゴールに基づいている状態が理想です。

たとえば、ある部署のリーダーが「売上を優先して顧客対応を急ごう」と言ったとき、別のメンバーが「でもそれは、私たちの“信頼重視”の方針とズレていないか?」と問い返せる組織は強い。これは、目標が浸透している証拠であり、「行動の軸」が共通しているからこそ生まれる現象です。

そのためには、トップがビジョンを言語化するだけでなく、現場の行動や判断とどのように接続しているかを“翻訳”する作業が欠かせません。たとえば「No.1を目指す」なら、それは具体的にどういう指標を指し、どのアクションがその達成に貢献するのか。社員が納得感を持って動ける状態をつくることが、ビジョンを“生きたもの”に変える条件です。

加えて、定期的な振り返りとアップデートも重要です。ビジョンは一度決めたら終わりではなく、実現に向けての進捗を可視化し、社員と一緒に点検していくことで、ますます行動に浸透していきます。

まとめ:社員全員が“ゴールを語れる”会社は無敵である

組織が本当に加速するためには、「目指すもの」を全員が共有し、それぞれの言葉で語れることが必要です。さらにそのゴールが、個人のビジョンとも重なっていれば、指示ではなく自発的な行動が生まれ、結果として圧倒的なスピードとしなやかさを実現できます。

グローカルが支援したある建設業の事例では、「地域に信頼される100年企業になる」というビジョンを社長自らが繰り返し語り、それを全社で共有するためのワークショップを毎月実施しました。その結果、社員の一体感が高まり、離職率は半減、新卒採用も前年比で3倍に伸びました。何より、社長が「組織のスピードがまったく違う」と語るほど、現場が自律的に動くようになったのです。

いま、どれだけの社員が自社のビジョンを“自分の言葉で語れるか”。それが、御社の成長スピードと独自性を決める分岐点になります。社長が真っ先にゴールを語り、それを全員で“共に語れる”状態をつくる――その一歩が、他に類のない組織づくりの始まりなのです。

この記事を書いた人
浅野 道人

新卒で入社した総合人材会社インテリジェンスにて法人営業を経験した後に、 経営コンサルティング会社にて大手から中小ベンチャー企業まで規模を問わず 人事領域のコンサルティングに従事。 その後、楽天にて人事・総務職、外資系人材会社にて営業マネージャー・人事職を経験。 現在、代表取締役として、WEB集客コンサルティング事業、組織・人事コンサルティング、キャリア支援事業を担当。

関連するおすすめコラム