【採用戦略の立て方ガイド】戦略立案の具体的なステップと成功ポイントをコンサル会社が徹底解説
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はじめに
人材採用を成功に導く採用戦略は、適切な立て方を実践してこそ生み出せるものです。特に近年では、企業をとりまく環境にさまざまな変化が生じるなかで、適切な方法で採用戦略を立案し、実行することの重要性が高まるようになりました。この記事では、採用戦略の概要を確認したうえで、効果的な採用戦略の立て方や戦略実行のポイントを解説します。採用活動における戦略立案のコツや方法に興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
採用戦略とはなにか
適切な採用戦略を立てるうえでは、最初に「採用戦略が具体的に何を指すのか?」を理解することが大切です。ここでは、ほかの採用用語との違いを見ながら、採用戦略の定義を確認しておきましょう。そのうえで、近年の採用市場において、採用戦略の必要性が増している理由も解説します。
採用戦略の定義
採用戦略とは、採用市場から自社に合う優秀な人材を獲得するために必要なアプローチの総称です。具体的には、事業ビジョン・価値観・課題などから自社が求めるターゲットや訴求ポイントを明確にしたうえで、競合に勝つための方略を考えていく一連の作業を指す概念になります。そのなかでは、ターゲットに合うコミュニケーション方法や、自社を魅せるブランディングなどの方針が含まれることも多いでしょう。
採用計画や採用活動との違い
採用計画は、採用戦略で掲げたターゲットを獲得するための具体的なロードマップです。たとえば、大阪に新営業拠点を立ち上げる目的で「SaaS法人営業経験5年以上の人材がほしい」というターゲットを設定した場合、採用計画では、このターゲットを獲得するための「いつ」「どこで」「どのように」を具体化するイメージになります。採用戦略と採用計画を5W1Hのフレームワークに当てはめると、以下のように分けられるでしょう。
【採用戦略】
- ・Why(なぜ):大阪に新しい営業拠点を立ち上げるから
- ・What(何を):SaaS法人営業経験5年以上で◯◯な人材
【採用計画】
- ・When(いつ):2025年6月末までに
- ・Where(どこで):活動のメインは東京本社とオンライン、面接だけは大阪で実施
- ・How(どのように):まずは転職サイトで求人公開、ターゲットからの反応が薄ければダイレクトリクルーティングなどを検討 など
最後になりましたが、採用活動は、採用戦略で掲げた成果を出すために、採用計画の内容を実行していくことを指します。近年の採用市場では、以下のような社会的要因からいわゆる採用難に陥る企業が多くなっています。特に中小企業では、大企業と比べて認知度が低く採用活動に使える予算が少ないなどの要因から、その傾向が顕著です。
- 少子化による労働人口の減少
- 新卒採用の早期化・長期化・複雑化
- 採用手法の多様化
- 選考辞退や内定辞退の増加 など
こうした時代に、少ない費用で確実性の高い採用活動を行うためには、自社の採用力や欲しい人材の要件などに合った採用戦略・計画が必要です。具体的な採用戦略には、採用チームに共通認識をもたらす効果もあります。たとえば、採用戦略の立案で「今回の採用目的」や「採用ターゲット」を明確にし、そこから導かれた「採用基準」や「面接での質問」をチーム内で共有すれば、採用活動を行うメンバー全員が同じ認識で採用活動を進めやすくなるでしょう。
採用戦略を立てる前に知っておくべき市場環境
採用活動は、自社をとりまく外的環境の影響を大きく受けるものです。効果的な採用戦略を立てるうえでは、以下の観点から採用市場の現状を分析・理解することも大切になります。
労働市場の現状分析
労働市場の現状を知ることは、社会や求職者などのニーズに合った採用戦略を考えるうえでとても重要です。労働市場の現状がわかる情報は、厚生労働省のいわゆる「労働経済白書」や、独立行政法人 労働政策研究・研修機構、民間シンクタンクのホームページなどで公開されています。
参考:「令和6年版 労働経済の分析」を公表します(厚生労働省)
参考:企業の採用状況と採用見通しに関する調査(リクルートワークス研究所)
これらのデータに目を通すと、以下のような疑問の答えも少しずつ見えてくるはずです。
・いまは売り手市場と買い手市場のどちらなのか?
・非正規雇用を選択する労働者にはどのようなニーズがあるのか?
・外国人労働者は今後も増加していくのか? など
業界特有の採用動向
現実的な採用戦略を考えるうえでは、業界特有の採用動向や転職者ニーズ、属性などを知ることも大切です。
たとえば、近年のIT業界には、ほかの業界と比べて新卒採用の選考が早く行われる傾向があります。その要因の一つとして注目されているのが、経団連に加入していない中小企業・ベンチャー企業が多い点です。IT業界の場合、インターンシップ参加学生に対して、採用での優遇策を導入している企業が多い特徴もあります。
上記のようなポイントの理解は、業界ならびに応募者ニーズとの乖離を防ぐうえ重要となるでしょう。
競合他社の採用状況
競合他社の採用状況は、同業他社と差別化できる要素を考えるうえでも大切です。
たとえば、知名度が低い中小企業の場合、日本人の誰もが知る大企業と同じ場所に求人を出しても、求職者からの認知はされづらいでしょう。こうした問題を防ぎ確実性の高い採用活動を進めるためには、競合の動きを理解したうえで、彼らとは異なるブルーオーシャンで戦うことも一つになります。
また、たとえば、同業他社の多くが春中心の新卒採用を行っている場合、自社ではあえて秋採用に挑戦するといった戦略も立てられるかもしれません。
効果性の高い採用戦略を立案するための5ステップ
自社が求める人材を確実に採用するためには、適切な流れと方法で採用戦略を立てることが大切になります。ここでは、効果性の高い採用戦略を立てるための5ステップと、各ポイントを解説しましょう。
ステップ1:自社の現状分析
採用活動の主目的は、自社の目標達成や課題解決に貢献できる人材を獲得することです。そのための採用戦略を立てるうえでは、まず以下4つのポイントにフォーカスしながら自社の現状を詳しく分析・理解する必要があります。
- 自社が大切にしている価値観や経営方針
- 短期~中長期的な目標と事業計画
- 現体制と人材・組織の課題
- 採用面の課題
①と②は、自社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や中長期的な目標などがまとめられた資料、ハンドブックなどがあれば、その内容を参考にするのも一つです。こうした情報が整理されていない場合、経営層や現場マネージャーへのヒアリングを行い、社長が目指す自社の在り方や具体的な事業方針・計画などを直接確認してもよいでしょう。「③現在の体制や人材・組織の課題」についても、採用担当者と現場マネージャーとの間でコミュニケーションを図り、認識を合わせることが大切です。最後に、「④採用面の課題」は、採用部門が抱える以下のような内容が中心になるでしょう。
- ・求人サイトに広告を出しても、応募がなかなか集まらない
- ・選考ステップが多すぎて、採用部門の負担が増大している
- ・内定辞退が多く、新卒採用の終わりが見えない
- ・新卒採用の早期化・長期化の影響で、内定者フォローまで手が回らない
- ・中途社員の3年以内の離職率が〇%と、非常に高い状態が続いている など
ステップ2:求める人材像の明確化
ステップ1で分析した情報をもとに、今回の採用で求める人材像(採用ペルソナ)を言語化していきます。そこでポイントになるのが、スキルとカルチャーの両方から人材要件を明確にすることです。
- 【スキル】特定の業務に携わるうえで必要な資格・能力・実務経験 など
- 【カルチャー】主にMVV、自社が大切にしたい文化・価値観・考え方 など
求める人材像は、具体的であればあるほどベストです。
たとえば、新しい海外営業部の立ち上げに向けて営業リーダー候補を採用する場合、上記で洗い出した必要スキル・カルチャーなどを踏まえて、以下のレベルまで落とし込むことが大切になります。
【年齢】28歳~35歳ぐらいまで
【学歴】四年制大学 or 大学院卒(文理は問わない)
【必要な実務経験】3年以上の法人営業経験、営業リーダー経験があれば尚可
【実務以外であるとベターな経験】外国人との長期交流・長期留学・1年以上の海外バックパッカーなど、異文化コミュニケーションを長く楽しんだ経験
【資格】TOEIC700点以上
【仕事で大事にしていること】セルフマネジメント、良好な人間関係、失敗を恐れず挑戦し続ける、経験を学びに変える、物事の本質にフォーカスする
【企業や仕事に求めるもの】意見などを自由に言える関係性、積極的な権限委譲、高いモチベーションを維持できる仕組み・環境
【将来の夢・キャリアプラン】海外移住 or 日本と外国をつなげる会社の起業 など
【好きなビジネス書】FACTFULNESS(ファクトフルネス) 、7つの習慣®
【趣味】適度な運動、読書・・・・・・・・
【仕事以外の関心事】・・・・・・・・・・・ など
人物像を細部まで考え抜くと、現場との認識もずれにくくなります。また、以下のような面接質問や、魅力付けで適切に訴求する内容を考えるうえでも、具体的な人物像はとても役立つでしょう。
【面接質問の例】
異文化コミュニケーションを長く楽しんだ経験があれば、その内容と期間を教えてください。
仕事をするうえで大事にしている価値観やこだわりを3つ教えてください。理由も教えていただきたいです。 など
【魅力付けの訴求例】
弊社では、メンバーのキャリア支援も積極的に行っています。Aさんに将来的な独立や海外起業などのご予定があれば、ぜひとも応援させてください。
Aさんのエントリーシートに書かれていた「7つの習慣®」、とても良い本ですよね。個人のミッションステートメントなどは、弊社でも大切にしている考え方です。
弊社は比較的、風通しの良い職場だと思います。「こうした方がもっと良くなる」などのご意見があれば、チームミーティングの際にぜひおっしゃってください。Aさんの豊富な経験にもとづくアイデアで、弊社のチームを盛り上げていただければと思います。 など
なお、必要スキルや姿勢などの要件は、職種や職位によって異なります。具体的な要件を挙げられないときには、現場マネージャーなどと一緒に考えることも必要でしょう。
ステップ3:採用目標の設定
次は、ステップ2で明確化した人物像のターゲットを獲得するために、必要な採用目標と採用予算などを決めていきます。ここで重要となるのが、効果的かつ具体的な数値目標を設定することです。目標設定のフレームワークを使うと、初めての人でも数値目標などを立てやすくなります。たとえば、以下の頭文字をとったSMARTも、目標設定で使われるフレームワークの一種です。
- 【S(Specific)】具体的であること
- 【M(Measurable)】達成度の測定ができること
- 【A(Achievable)】達成可能な目標であること
- 【R(Relevant)】自社の事業方針などとの関連性があること
- 【T(Time-bound)】達成期限が設定されていること
たとえば、新プロジェクトに向けてエンジニア採用をする場合、すべてが曖昧な以下の①よりも、フレームワークを用いて②の具体的な目標を立てたほうが、採用部門内の認識も統一しやすくなります。達成可能な数値目標は、メンバーのモチベーションも高めるうえでもより良い効果をもたらすでしょう。
- 【曖昧な目標】2025年の春夏ぐらいまでに、優秀なエンジニアをなるべくたくさん採用する
- 【具体的な目標】2025年2月末までに、◯◯スキルを持つプログラマーとシステムエンジニアを10人ずつ採用する
②の具体的な数値目標は、自社の戦略や計画がうまくいったかどうかの判断をするうえでも役立ちます。次に、自社の採用戦略~採用活動への具体的な評価を行うために、採用成功に不可欠な指標ともいえる「採用KPI」も設定しておくことも大切です。たとえば、上記の②「プログラマーとシステムエンジニア10人ずつ採用」に至るまでの過程には、以下のように求人募集・説明会・選考・内定といった各ステップでも測定できる数値が多くあります。
- 【求人募集】応募者数、母集団形成までの日数、各求人サイトの費用対効果
- 【会社説明会】出席者数/率、説明会後のエントリー率
- 【選考】書類選考の通過人数/率、◯次面接の通過率、◯次面接前の辞退率
- 【内定後】内定数/率、内定承諾率、内定辞退率、1年定着率(離職率)、配属後の部門評価 など
ちなみに、採用活動のゴールとなる②は、「採用KGI」と呼ばれる指標になります。採用KPIと採用KGIには、以下の違いがあります。
- 【採用KPI】採用プロセスの進行状況を測定・評価し、改善点を見つけるためのもの
- 【採用KGI】採用活動の最終目標が達成できたかどうかを評価するためのもの
採用活動の各プロセスで採用KPIを設定し、「各KPIをクリアするために何が必要か?」をより深く考えると、採用活動全体に必要な要素や予算も自ずと見えてくるはずです。
ステップ4:採用プロセスの設計
採用したい人物像と数値目標を明確にしたあとは、それらを達成するための流れ(フロー)や、各プロセスで必要となる基準・体制といった細部を設計していきます。一般的なフローは、以下のとおりです。
- 募集活動(求人掲載・会社説明会 など)
- 書類選考
- 適性検査
- 面接(一次・二次・最終)
- 内定出し
- 内定者フォロー
- 入社
具体的なフローは、採用で重視したいポイントや、リソース(人・お金・場所)、魅力付け力・見極める力などの有無によっても変わります。たとえば、自社に合いそうな人材との間で相互理解を深め、入社動機を高めてもらいたい場合、面接時に逆質問などの相互にコミュニケーションをとる仕掛けを設けるのも一つです。
一方で、たとえば選考にあまり多くの時間を割けない場合は、「面接質問を採用基準に合う3つに絞る」や「面接は一次と最終の2回だけにする」といった工夫をしてもよいかもしれません。ただし、上記の工夫をした場合は、少ない時間・回数で自社に合う人材を見極めるために、精度の高い選考基準の作り込みや部門内共有、面接官トレーニングの重要性が特に高まることになるでしょう。
近年では、新卒採用の早期化・長期化や、就活・転職方法が多様化したことによる影響などから、入社前の内定辞退や早期離職をする人材も多くなっています。こうしたなかで、内定者を入社→活躍→定着まで確実に導くためには、内定者をフォローアップする体制や仕組みづくりも必要です。
ステップ5:採用チャネルの選定
主な流れと採用基準などの細部設計を終えたら、次は、企業が応募者にアプローチをする経路(採用チャネル)を選んでいきます。近年は、採用チャネルが特に多様化しています。具体的には以下のようなものがあるでしょう。
- 自社の採用サイト
- 求人媒体
- 人材紹介会社
- ダイレクトリクルーティング
- SNS(ソーシャルリクルーティング)
- リファラル採用
- 採用イベントへの参加 など
採用チャネルの選定では、以下の要素を考慮したうえで自社に合うものを見つけることが大切です。
- 採用ターゲット
- 自社の採用力(母集団形成力×内定承諾の獲得力)
- 自社の採用リソース(人・お金) など
たとえば、大手企業の場合、高い業界認知度があることから、総合求人サイトに広告を出すだけで幅広い求職者に見つけてもらえる可能性が高いです。一方で中小企業の場合、総合求人サイトに広告を出しても、認知度や使える予算が少ないなどの要因から、大手企業と同レベルの母集団形成は難しいかもしれません。近年は、InstagramやX(旧Twitter)などを活用したSNSリクルーティングも人気です。SNSリクルーティングには、大手の求人媒体などとは異なり、初期費用があまりかからない利点があります。ただし、毎日のSNS投稿や求職者からの問い合わせに対応するためには、それなりの設計や運用体制が必要でしょう。
採用チャネルの選定では、各手法やサービスのメリット・デメリットを理解したうえで、自社のゴールに無理なくつなげやすいものを見つけることが大切になります。採用戦略の立案や実行は、企業における人材戦略の一角をなすものです。
採用戦略を中長期的な成功につなげる実行ポイント
一般企業では、自社の存在や成長が続く限り、ターゲットや手法を変えながら何度も採用活動が行われます。また、自社に合う優秀な人材を獲得したあとは、その人材に活躍や定着を促すサポートも必要です。上記は、採用戦略の立案や実行に対して、「いまの自社が求める人材の獲得」に加えて「中長期的な人材戦略を意識した対応」が求められることを意味します。
ここでは、採用戦略の立案・実行を、中長期的な人材戦略の成功につなげるための工夫やポイントを3つ紹介しましょう。
社内の理解や協力を得る
採用担当者は、採用のプロである一方で、現場が抱える課題や業務内容などに精通しているわけではありません。IT企業などの場合、たとえばDXプロジェクトが求める高度な最新技術や最新スキルについて、採用担当者では理解できないことも多いでしょう。現場のニーズと本当の意味でマッチする人材を獲得するためには、課題の洗い出しや、採用ターゲットの設定などをする際に、現場マネージャーなどとコミュニケーションを図り、良好な関係を築いていくことが大切になります。
また、採用部門だけでは経験などを深堀りするSTAR面接の実施が難しい場合、経営層や各部門と調整したうえで、現場マネージャーに面接サポートをお願いするのも一つです。
人材が組織に馴染み、戦略になるまでのオンボーディング施策でも、新しい人材に直接的な支援を行う現場の理解・協力が必要となります。本当の意味で会社や現場のためになる採用戦略は、経営層~現場までの幅広い人々を巻き込んでこそ成功するものでしょう。
効果測定
採用活動を中長期的な人材戦略の成功につなげるためには、計画の実施後に、自社で設定したKPIやKGIに対する効果測定をすることも大切です。具体的には、以下のような項目で効果の有無を測定・分析する必要があるでしょう。
- 求人媒体Aで目標の応募者数は達成できたか?
- ABCのうち、最も費用帯効果が高い求人媒体はどれだったか?
- 会社説明会のエントリー率は◯◯%をクリアできたか?
- 面接前後の辞退率は、昨年より下げられたか?
- 新卒の採用期間中、人事部門の時間外労働は◯時間以内におさえられたか? など
上記のような数値結果に注目することで、今回の戦略内容や採用チャネルが適切だったかどうかの判断もしやすくなります。
PDCAサイクルを回す
先述の効果測定とも関係しますが、人材採用の戦略・計画・活動は、以下のPDCAサイクルを何度も回しながらブラッシュアップしていくものです。PDCAサイクルを適切に回し続けることで、自社が抱える人材・組織・採用面の課題が少しずつ解消していきます。
- 【Plan(計画)】採用戦略・計画を立案する
- 【Do(実行)】採用活動で、採用戦略・計画を実行する
- 【Check(評価)】採用活動の結果を見て、評価を行う
- 【Action(改善)】評価内容をもとに、採用戦略の改善点を洗い出す
戦略実行後の評価で見ていくポイントは、とてもたくさんあります。たとえば、近年の日本では、終身雇用や年功序列制度が崩壊し、働く人が目指すキャリアやワークスタイル、価値観もかなり多様化しています。こうしたなかで自社ターゲットのニーズを汲み取るためには、今回の採用活動を振り返りながら求職者とのコミュニケーション方法を見直し、最適化していくことも一つです。自社のコミュニケーション方法に対する印象などは、内定者アンケートなどで確認してもよいでしょう。
また、たとえば、早期離職率が高い状態が続く場合、自社が求める人物像では現場の業務に対応できない可能性などを疑い、人物像や採用基準を見直すことも必要かもしれません。特に近年は、生成AIなどが急速に進化・普及した影響で、働く人の必要スキルに大きな変化が生まれている職場もあります。自社の価値観につながるカルチャーには大きくな変化はないことが多いですが、一方でスキルやテクニックの部分は、現場マネージャーにヒアリングをしながら定期的に見直す姿勢があるでしょう。
PDCAを回すなかでは、採用チームの全メンバーに以下の内容を伝え、同じ認識で採用活動を進めていくことも大切になります。
- 選考結果の共有
- 選考結果を受けて見直した項目(人物像・採用基準・チャネルなど)の共有
- 新たな数値目標(KGI/KPI)の共有 など
まとめ
人材採用の成功には、正しい方法で立てられた採用戦略が不可欠です。採用戦略の立案を通じて自社やターゲット、外的環境の現状を深く知ることは、自社に合う採用時期や採用チャネルを選ぶうえでも有効となります。また、余計な採用コストを抑えたい場合も、正しい流れで採用戦略を作ることが大切になるでしょう。これから採用戦略の立案に挑戦したい方は、自社の現状分析から始めてみてください。