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LTV向上施策12選|ビジネスを加速させる具体的な施策と成功のポイント

LTVは、顧客が企業にもたらす収益の総量を示す重要な指標であり、LTVが高い企業ほど安定した成長と強い顧客基盤を持っているといえます。そのため、LTV向上を戦略の中心に据える企業が増えています。

 

新規顧客を獲得するためのコストが上昇する中、既存顧客との関係を深めてロイヤルティを高めることは、継続的な収益を生み出すうえで欠かせません。特に競争が激化する現在の市場では、サービス向上を通じて顧客体験を磨き、信頼や満足度を積み重ねていくことで、結果的にLTVを最大化することが求められます。

 

また、データをもとにLTV可視化を行い、顧客ごとの価値を正確に把握することも重要です。これにより、どの顧客層にリソースを集中すべきか、どんな施策が利益に直結しているかを明確にでき、経営判断の精度が高まります。

 

本記事では、LTVの基本概念や計算方法に加え、LTV向上を実現するための具体的な施策や導入時の注意点についても詳しく解説します。

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LTV(顧客生涯価値)とは

LTVとは?

LTV(Life Time Value)とは、1人の顧客が、自社と取引を始めてから終えるまでの間に、もたらす総利益のことです。日本語では顧客生涯価値と訳されます。企業活動を考えるうえで、新規顧客をどれだけ獲得できるかだけでなく、その顧客との関係がどのくらい継続し、累計でいくらの売上や利益をもたらすかを見極めることが重要になります。

現代では、オンラインサービスやサブスクリプション型ビジネスの拡大により、LTVを意識した経営戦略が欠かせません。顧客との関係を長期的に築くことで、口コミや紹介による新規顧客の獲得にもつながります。

また、継続的にサービスを利用してもらうことで、企業のキャッシュフローが安定し、次のマーケティング施策も計画的に行いやすくなります。こうしたメリットを得るためには、まずLTVの意味を正しく理解し、自社の状況に合わせて正確に計測・改善していく姿勢が重要です。

LTVの重要性

LTVは、企業と顧客の長期的な関係の価値を測る指標です。一度の購入金額だけに注目するのではなく、「顧客がどれだけ長く、どのくらいの利益をもたらしてくれるか」を重視します。新規顧客を獲得するためのコストが年々高まる中で、重要なのは獲得後に関係をどれだけ長く維持できるかという点です。定期的な利用を促したり、購入頻度を高めるような施策を行うことで、顧客との関係を継続しながら長期的に企業の価値を高めることができます。

LTVが注目される背景とマーケット環境の変化

近年、オンライン広告費や人件費の上昇などにより、新規顧客の獲得コストが跳ね上がることが増加しています。また、顧客は多種多様な選択肢の中から商品やサービスを自由に比較検討するようになり、簡単に別の企業へ移行することも珍しくありません。そのため、既存顧客を大切にして継続的な関係を築くことが、より安定的かつ確実に収益を伸ばす手段として注目されています。

 

LTV向上がもたらす主なメリット

メリット1.収益の安定化と長期的な成長

既存顧客が継続的に商品やサービスを利用してくれるようになると、リピートによる売上が増加し、毎月・毎年の収益を安定的に見込めるようになります。このように収益のベースが固まることで、企業は新規顧客の獲得だけに頼らず、将来の売上をより高い精度で予測できる経営体制を築くことが可能です。

また、安定した売上が確保できると、マーケティング投資や広告費の配分を計画的に行いやすくなり、経営リスクの軽減にもつながります。たとえば、既存顧客の定期利用が増えれば、季節変動や外部環境の影響を受けにくく、長期的な事業計画を立てやすくなります。

さらに、長くお付き合いする中で顧客の嗜好や行動データが蓄積され、顧客理解の深まりによって、より的確なサービス改善や新商品の開発にもつなげることができます。つまり、LTVを重視した関係構築は、単なる売上の安定化にとどまらず、企業の持続的な成長と新たな価値創出の基盤となるのです。

メリット2.顧客ロイヤルティの向上とブランド強化

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランドに対して抱く「信頼」「愛着」「継続利用の意志」のことを指します。このロイヤルティが高い顧客ほど、積極的に口コミを広げたり、知人や友人に自発的にサービスを紹介したりする傾向があります。こうしたファンの存在は、企業にとって最も強力なマーケティング資産といえます。

ロイヤルティを高めるには、まず顧客体験の質を高めることが欠かせません。

購入や利用の過程だけでなく、問い合わせ対応・アフターサポート・会員特典など、利用後の体験価値を磨くことが重要です。顧客が「この会社は自分を大切にしてくれる」と感じられる瞬間を増やすことで、信頼が積み重なり、ブランドへの愛着が育ちます。

さらに、顧客満足度の高い利用体験は、口コミ・レビュー・SNS投稿といった自然発生的な拡散を生み、新規顧客の獲得コストを下げる効果もあります。このように、ロイヤルティ向上の取り組みは単なるリピート促進にとどまらず、ブランドイメージの強化と企業価値の向上につながる、長期的に見て極めて重要な戦略なのです。

メリット3.優良顧客の特定とリソース最適化

企業が持続的に成長していくためには、すべての顧客に一律のアプローチを行うのではなく、LTVの高い優良顧客を見極めることが重要です。LTVの観点から顧客を分類することで、「どの層が最も長く取引を続けてくれているのか」「どの顧客が利益に大きく貢献しているのか」を明確に把握できます。この分析によって得られたデータを活用すれば、限られた人的・金銭的リソースを最も効果的に配分できるようになります。

 たとえば、ロイヤルティが高く継続率の高い顧客層には、その顧客に合った特典や限定サービスの提供、優先的なサポート体制などを導入することで、さらに満足度と信頼を高めることができます。

一方で、購入頻度の低い層や離脱傾向のある層に対しては、再来訪を促す施策(再購入クーポン・リターゲティング広告・フォローアップメールなど)を行うことで、LTVの底上げを図ることも可能です。このように、顧客データをもとに優良顧客を正確に把握し、グループごとに最適な施策を展開することで、無駄なマーケティングコストを抑えつつ、効率的に成果を上げることができます。

 

LTVの計算方法

LTVの代表的計算式(売上ベース)

最もシンプルなLTVの計算式は、

LTV=顧客単価 × 購入頻度 × 継続期間

という「売上ベース」の考え方です。

たとえば、定期購入型のビジネスでは、月々の平均購入単価に契約が続く月数を掛け合わせることで簡単に算出できます。

この方法は計算が容易で、顧客規模の把握や初期段階の目安として有効です。ただし、コストや利益率を考慮していない点が弱点のため、実際の収益性を把握したい場合は、後述する「利益ベース」での計算を併用することが望ましいでしょう。

LTVの別計算式(利益ベース)

より正確に分析したい場合は、コストを差し引いた実利益を基準とした利益ベースの式を用います。

LTV=(平均売上 − 平均コスト) × 購入頻度 × 継続期間

この方法では、「実際にどれだけの利益を生み出しているか」を可視化できるため、経営判断に直結しやすいというメリットがあります。一方で、コストの範囲(製造原価・物流費・サポート費など)や算定方法によって結果が変わるため、データの精度と継続的なモニタリングが重要になります。

CAC(顧客獲得単価)とLTVの関係

LTVを語るうえで欠かせないのが、CAC(Customer Acquisition Cost/顧客獲得単価)です。CACとは、1人の顧客を獲得するために必要な広告費・営業費・人件費などを合計したコストを指します。

LTVとCACの関係を見ると、

LTV > CAC の状態であれば、ビジネスモデルは健全。

LTV < CAC の場合、投資回収が難しいと判断されます。

つまり、LTVを伸ばす努力(リピート促進・継続率向上)と同時に、CACを下げる施策(広告効率化・紹介強化)を進めることが、長期的な利益最大化の鍵になります。

業態別に見るLTV向上のポイント

LTV向上の施策は業態によって異なります。それぞれのビジネスモデルで注意すべきポイントを整理しましょう。企業が提供する商材やサービスの形態によって、顧客と接する期間や契約スタイル、購入サイクルなどは大きく変わります。そのため、業態の特性を理解したうえで適切な施策を選択することがLTV向上の近道です。

BtoB商材におけるLTVの特徴

BtoBビジネスでは、契約期間が長期にわたるケースが多く、導入時の決定と定期的な更新のタイミングが重要なポイントになります。顧客との定期面談やカスタマーサポートの体制を整えておくと、解約のリスクを下げられます。さらに、使い勝手を向上させるアップデートや導入支援を行うことで、顧客満足度を高め、長期の契約継続へとつなげられます。

サブスクリプション・定期購入ビジネスのポイント

サブスクリプションや定期購入モデルでは、解約率を下げることが中心的な課題となります。利用価値を感じてもらえる付加サービスや、利用状況に応じたプランのアップグレードを促すことで、顧客満足度を向上させることが不可欠です。また、予期せぬ解約を防ぐために、定期的な顧客とのコミュニケーションと利用状況のチェックが大きな意味を持ちます。

EC・小売などリピート商材のポイント

ECサイトや小売業では、顧客の買い替えサイクルをしっかりと把握し、適切なタイミングで商品提案を行うことが重要になります。メールマガジンやプッシュ通知などにより、セール情報や新商品を案内することで購買意欲を喚起できます。また、ポイント付与や会員ランク制度などのロイヤルティプログラムを用意し、リピート購入のハードルを下げることもLTV向上の有力な方法です。

 

LTV向上施策①|購買単価を上げる

まずは、顧客が一度の購入で支払う金額を増やす施策です。顧客当たりの購買単価を高めることで、単純に売上を底上げすることができます。商品の上位モデルや関連アイテムを紹介するアップセルやクロスセルの手法は、顧客のニーズをしっかり把握し、適切なタイミングで提案することで効果を発揮します。また、商品の魅力を高めるために付加価値を付けることも有効です。

一方で、過度に高額商品ばかりを押し売りすると顧客満足度の低下を招く恐れがあります。顧客のライフスタイルや利用シーンに合わせて適切な商品を提示し、納得感のある価格で購入してもらうことが長期的な関係構築につながります。

アップセル・クロスセルの導入

アップセルとは、初期に検討している商品よりもワンランク上のモデルやサービスを提案する手法です。クロスセルは、メインの商品に加えて関連商品やオプション品をセットで提案する方法です。これらを成功させるには、顧客の好みや購入履歴をもとにした最適化された提案が鍵となります。タイミングを計り、顧客が興味を持った時点で適切な提案を行うことで購買単価の上昇を期待できます。

付加価値を付けて単価アップを図る

商品やサービスそのものの機能や品質を高めたり、保証やアフターサービスを充実させることで、より高い価格でも納得感を持って購入してもらいやすくなります。例えば、長期保証や特典を付け加えることで、顧客の不安を解消し、多少の価格差を上回る価値を実感してもらうことが可能です。結果的に顧客満足度を損なわずに購買単価を上げられるため、LTVの向上に直結します。

 

LTV向上施策②|購買頻度を増やす

次に、一人ひとりの顧客により多くの回数で購入してもらうための方法を検討します。

購買頻度を上げるには、定期的に顧客と接点を持ち、商品やサービスを活用するメリットを再認識してもらうことが大切です。例えば、定期的にクーポンやキャンペーン情報を配信することで、顧客の購買意欲を喚起することができます。また、顧客が購入したタイミングや消費ペースを把握し、適切な時期にリマインドできるような仕組みづくりも有効です。

ただし、過度なプッシュ通知やスパム的なメール配信は逆効果になる可能性があります。顧客の使用状況や購買履歴を分析し、必要な情報だけを適切な頻度で届けることが、良好な関係を保ちながら購買頻度を高めるカギです。

顧客ニーズに合わせた離脱防止施策

離脱防止施策は、既存顧客を再度購入や利用へと促すための取り組みです。顧客の行動データや購入履歴を分析し、個々のニーズにマッチした提案をすることで、再購入を促進できます。例えば、前回購入から一定期間経過した顧客に、在庫状況や関連製品の使用例などを知らせると、次の購買を自然に誘導できます。

キャンペーンやクーポンの活用

期間限定のセールや割引クーポンは、顧客にとって再購入の強い動機付けとなります。特に、返品無料期間や購入特典などを組み合わせると、購買のハードルを下げる効果があります。ただし、頻繁に大幅値引きを実施しすぎると、通常価格での購買意欲を失わせる恐れもあるので、キャンペーンの設定には工夫が必要です。

買い替え時期に合わせた配信

商品の寿命や利用周期を想定し、買い替えのタイミングで専用クーポンや情報を提供すると、次の購入率が高まります。例えば、消耗品であれば購入から一定期間後に「交換時期のご案内」メールを送るなど、顧客が購入を検討しやすい状況を作り出すことが必要です。こうした小まめなアプローチは顧客満足度の向上にもつながります。

LTV向上施策③|継続利用率を高める

解約や離脱を防ぎ、長期にわたって使い続けてもらうための取り組みを考えます。

顧客との関係が長期化すれば、その分だけ累積の売上や利益が増大します。それだけでなく、顧客はサービスや商品を熟知しているため、良い評価をSNSなどで発信しやすくなります。継続利用率を高めるには、解約の要因を的確に把握し、顧客が抱える不満や問題を早期に解決することが欠かせません。

また、定期的に顧客アンケートを実施し、サービス全体を改善する機会を増やすことも大切です。カスタマーサクセスという考え方を導入し、顧客が目指すゴールに企業が積極的に寄り添う体制を整えることで、長期的なファン化を促進できます。

ポイントカードの活用

ポイント制度は、継続利用を促進する代表的な仕組みの一つです。購入金額に応じてポイントを付与し、一定数以上が貯まれば割引や特典と交換できるようにすることで、顧客はメリットを感じやすくなります。また、誕生日や会員ランクに応じた追加ポイントを付与するなど、きめ細かな施策を取り入れれば、より一層ロイヤルティを高めることができます。

解約防止施策と顧客の声の活用

解約や離脱が発生した際には、その理由を明確に分析し、プロダクトの改善やカスタマーサポートの強化に活かすことが重要です。顧客アンケートやサポート履歴を基に早期に不満を察知し、適切な対処を行えば、解約を防ぐだけでなく顧客満足度を向上させるチャンスにもなります。顧客の声を真摯に取り入れ、サービス改善に反映していく姿勢が継続利用率アップに直結します。

カスタマーサクセス体制の整備

カスタマーサクセスとは、単なるサポート対応だけでなく、顧客が自社の提供するサービスや商品を最大限に活用し、成果を得られるよう支援する取り組みです。具体的には、オンボーディングプログラムを準備したり、利用データを可視化して顧客に改善提案を行ったりする方法があります。顧客がゴールを達成する手助けをする姿勢が、長期的な信頼関係を築く鍵となります。

コミュニティ・ファンづくり

ユーザー同士が情報交換を行うコミュニティやフォーラムを用意すると、顧客同士のつながりが生まれ、企業への愛着が深まりやすくなります。企業が積極的に参加し、質問への回答やイベントの開催などを行えば、ブランドが目指す世界観を共有できる場として発展可能です。愛好者が増えれば増えるほど、ポジティブな口コミが広がり、長期的な継続利用にも良い循環が生まれます。

 

LTV向上施策④|顧客獲得・維持コストを削減する

コストを抑えながらLTVを高めるための手法を、マーケティング効率やツール活用の観点で考えてみましょう。

LTVを伸ばすには売上を増やすだけでなく、コストを最適化することも重要です。CACを含めたマーケティング関連費用がかさみすぎると、いくら購買単価や頻度を上げても利益が圧迫されてしまいます。したがって、顧客獲得コストや維持コストを適切にコントロールし、総合的な投資対効果を高めることが求められます。

近年ではMA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)ツールの導入が進み、顧客とのコミュニケーションやフォローアップが効率的に行えるようになりました。また、顧客自身が発信する口コミやレビュー(UGC)を活用するなど、低コストかつ効果的なプロモーション方法も注目されています。

ターゲットセグメントの精査とマーケティング効率化

すべての顧客に一律のアプローチをするのではなく、購買履歴や行動データをもとに分類を行い、優先度の高いグループに対して最適な媒体やメッセージでアプローチします。これにより、マーケティング費用の浪費を防ぎ、最も効果の高い施策にリソースを集中させることが可能になります。ターゲットを明確化することでコスト削減と効果向上を同時に狙えます。

MA・CRMツールによるプロセス自動化

MA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)ツールを活用すると、顧客データの管理やメール配信、複雑なセールスプロセスの自動化などが可能になります。これらのツールを導入すれば、少人数のチームでも大量の顧客を効率的にフォローでき、人的コストを削減できます。さらに、データを活用し最低化された配信を行うことにより、購入意欲を高めるメッセージを的確に届けられます。

UGC(User Generated Content)の活用

UGCとは、ユーザーが自発的に作成・投稿する口コミやレビューを指します。SNSや商品レビューサイトなどでポジティブな評価が広まれば、企業側が広告を出すよりも高い信頼性を得られることがあります。UGCを積極的に取り入れる施策としては、SNS公式アカウントでユーザーの投稿を紹介したり、レビュー投稿でポイントを付与したりといった方法が考えられます。

 

LTV向上に成功した企業事例

LTVを高める施策は業種や規模によってさまざまです。有効な取り組み方は千差万別ですが、共通するのは「顧客を深く理解し、長期的に積み上げる視点を持つ」という点です。BtoB企業とBtoC企業それぞれに注目し、どのような施策が有効だったか、事例を確認していきます

BtoB企業の成功事例

サブスクリプション型のソフトウェア企業が、導入・定着支援を強化し、顧客がツールを使いこなせるように専任のカスタマーサクセスチームを配置したことで、解約率を大きく低減させました。具体的には、定期的な利用状況チェックとアップデート情報の提供を徹底し、顧客が抱える課題に迅速に対応する仕組みを作ったのです。その結果、契約更新率が向上して、LTVが以前の1.5倍に伸びたケースも報告されています。

BtoC企業の成功事例

ある通販サイトでは、ロイヤルティプログラムを導入して会員ランクを設定し、購入金額に応じた特別クーポンや限定セールを提供するようにしました。さらに、ブランドコミュニティを活性化し、ユーザー同士が購入商品や体験談を共有できる環境を整備した結果、顧客の滞在時間や購入頻度が大幅に増加。口コミを通じて新規顧客も増え、売上全体の伸びとともにLTVも向上しています。

LTV向上施策実行時の注意点

ユニットエコノミクスの活用で費用対効果を測定

ユニットエコノミクスとは、1人の顧客あたりで、どれだけ利益が出ているかを分析する指標です。「1人の顧客を獲得して、維持するのにかかるコスト」と「その顧客から得られる収益」を比較することで、ビジネスモデルが本当に利益を生む構造になっているかを判断します。

ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC

という形で計算し、1人の顧客を獲得したときに、投資がどの程度回収できているかを判断します。LTVがCACを上回っていれば、ビジネスとしての費用対効果が高く、成長が見込める構造といえます。

ユニットエコノミクスを活用すると、マーケティング施策や営業活動に投下した費用がどの程度リターンを生んでいるかを明確にできます。数値をもとに投資判断を行うことで、無駄な資金投入を抑え、効率的な運用が可能になります。

短期施策と中長期施策のバランス

LTVを高めるには、短期的な売上向上策と中長期的な関係構築策の両立が欠かせません。多くの企業が「今期の売上を上げる」ことに注力しがちですが、短期施策だけでは顧客との関係が一時的になり、結果として長期的な利益最大化にはつながらないケースもあります。

短期的な取り組みとしては、キャンペーンや値引き、限定セールなどによって購入意欲を喚起し、即時的な売上を確保する施策が有効です。しかし、こうした施策は顧客を「価格で動く一時的な利用者」としてしまうリスクもあるため、同時に中長期的な信頼関係を築く施策を計画的に組み込むことが重要です。

中長期的な視点では、顧客体験を向上させる取り組みや、ブランドへのロイヤルティを高める活動が中心になります。

たとえば、購入後のアフターサービスを充実させたり、会員限定イベントやコミュニティを設けて顧客とのつながりを維持したりすることで、「このブランドと関わり続けたい」と感じてもらえる関係を育てていきます。

短期では「顧客を増やす・売上を上げる」、中長期では「顧客を離さない・価値を高める」という明確な目的を持ち、両方の施策を同じ時間軸の中で設計することで、安定的かつ持続可能な成長サイクルを実現できます。

PDCAサイクルを回し効果検証と改善を繰り返す

どんなに綿密に設計した施策でも、実際に運用してみると想定通りに成果が出ないことがあります。顧客の反応や市場の変化、季節要因、競合の動きなど、現場では常に予期せぬ要素が発生するためです。だからこそ、施策を一度きりで終わらせず、データをもとに検証と改善を繰り返すプロセス=PDCAサイクルを回し続けることが非常に重要になります。

PDCAサイクルとは

P(Plan):計画を立てる

D(Do):実行する

C(Check):結果を検証する

A(Action):改善を行う

という4段階を繰り返す、継続的な改善のフレームワークです。LTV向上施策においても、このサイクルを回すことで、より精度の高い戦略へと進化させていくことができます。

まとめ|LTV向上施策で長期的な顧客との関係を築く

LTV向上は短期・中期の施策を有効的に組み合わせ、顧客をより深く理解し、一人ひとりと長いお付き合いをする姿勢が欠かせません。ここまで紹介してきたように、LTVの向上はさまざまなアプローチ施策の組み合わせで実現できます。

購買単価を引き上げる施策から、購買頻度や継続利用率を高める施策、さらにコスト最適化といった要素を考慮することで、より強固な顧客基盤と安定した収益を得ることができます。顧客のライフサイクル全体を見渡し、長期間にわたって価値を提供する姿勢が、ブランドの評価や信頼の向上にもつながるでしょう。

 

この記事を書いた人
加藤 英里

新卒で入社したリクルートにて、地域振興事業の立ち上げから推進まで9年間従事。プロモーション企画立案、ご当地グルメプロデュース、イベント主催などの他、講演やセミナー講師も務める。2014年5月から現職。BtoB・BtoC問わず、病院・結婚式場・メーカー・レジャー施設などのWEB集客コンサルティングに従事。

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