【社長業】生産性を3倍に引き上げるために経営者が今取り組むべきこと
現代の経営において、生産性向上はもはや“努力”や“精神論”では実現できません。テクノロジーとマインドセットを組み合わせた本質的な変化が求められています。本コラムでは、生成AI活用・1%改善・集中力と物量の重要性という3つの観点から、生産性を3倍に引き上げる現実的な道筋について解説します。経営者として社員にどのような行動を促すべきか、組織としてどこを変えるべきか──実践に活かせるヒントを幅広く解説します。
AI活用は義務化された時代へ──テクノロジーを“使ってこそ”成果が生まれる
「生成AIを使ってみる」段階はすでに過去の話。いまや「生成AIを使って成果を出す」ことが、あらゆるビジネスパーソンの“義務”となっています。特に中小企業では、限られたリソースで最大の成果を生み出す必要があるからこそ、AIの活用は避けて通れません。経営者自身がその認識を持ち、組織全体に浸透させることが急務です。
生成AIはドキュメント作成、仮説構築、データ整理、アイデア出し、コピーライティング、さらには会議の要約まで、あらゆる業務の効率を飛躍的に高めます。例えば、1時間かかっていた資料作成を、30分以下で完了させられるようになれば、それだけで生産性は倍以上。しかも、アウトプットのクオリティを保ったまま、あるいは向上させたまま成果を出すことが可能になります。
社員が「AIを活用する前提で仕事を組み立てる」状態にまで到達できれば、組織全体の生産性は自ずと上がっていきます。重要なのは、導入だけで満足しないこと。経営者は「AIをどう使えば業務が変わるのか?」「どう活用すれば売上に直結するのか?」を社員に問い続ける姿勢を持ち、自らも実践していく必要があります。生成AIは単なる“効率化ツール”ではなく、経営のあり方そのものを変える“武器”なのです。
「1%の改善」の積み重ねが指数関数的な成果を生む
もうひとつ、生産性向上に不可欠な考え方が「1%の改善」です。これは、小さな改善を毎日続けることで、やがて大きな成果に繋がるという極めてシンプルかつ実践的なアプローチです。たった1%の改善でも、365日継続すれば37倍以上の成長となる指数関数的な効果が得られます。
たとえば、会議を15分短縮する、定型業務を自動化する、社内ナレッジを一元化する──これらはいずれも地味な取り組みに見えますが、積み重ねることで、組織全体の生産性を劇的に変えていきます。特に中小企業では、こうした“現場起点の改善”がスピード感を持って実現できる分、インパクトも大きくなります。
経営者として重要なのは、社員に「改善の責任」を委ねること。指示を待つのではなく、「どうすれば、より良くできるか」を自ら考え、実行できる文化を醸成することです。「昨日と同じやり方を疑う」「再現性を高めるために記録を残す」「後輩のために手順書を整備する」──このような日常の“改善意識”を全社に波及させることができれば、業務の質は確実に変わります。
そして、1%の改善を習慣化することこそが、長期的に見た時の競争力の源泉になります。今この瞬間の積み重ねが、半年後・1年後に圧倒的な差となって表れるのです。
量をこなして質を超える──集中力と物量の両立が成長を加速させる
「質が大事だ」「無駄な量をこなすな」という言葉はもっともに聞こえますが、現実として“質は量の中からしか生まれない”というのが真理です。特に20代〜30代の成長期においては、圧倒的な物量と集中力の両立が、後々の差を決定づけます。ビジネスにおいてもこれは例外ではありません。
スポーツ選手が筋トレによってパフォーマンスを引き上げるように、ビジネスパーソンもまた“思考と行動の筋肉”を鍛えなければなりません。最初は負荷が高く感じても、それに適応することで思考の質・判断のスピード・成果の水準が一段階上がっていきます。経営者がまずこの考え方を持ち、若手に「たくさんの壁を越えることの価値」を言葉と態度で示すことが必要です。
また、集中力は時間ではなく“設計”で決まります。タイマーを使って作業時間をブロックする、通知を遮断する、やるべきタスクの優先順位を可視化する──これらの「集中できる環境づくり」を日常化させることで、生産性は格段に上がります。経営者自身が“集中力のマネジメント”を実践し、社内に浸透させることが、全体のパフォーマンス向上につながるのです。
組織が真に成果を出すためには、「仕事の質」「集中力」「仕事量」のすべてを高水準で満たす必要があります。その三拍子が揃ったとき、組織のスピードは一気に加速するのです。
まとめ:生産性を3倍にする覚悟が、次の時代の競争優位をつくる
経営者が本気で組織の生産性を3倍にしたいと考えるなら、求められるのは「集中×工夫×覚悟」の3要素です。ただ目の前の業務をこなすだけでは、時代のスピードに取り残されます。生成AIのような革新的なツールを使いこなし、小さな改善を積み上げ、圧倒的な集中力と物量でやり切る──この3つを経営の土台に据えることで、組織全体の生産性は飛躍的に高まります。
さらに重要なのは、経営者自身がこの変化の体現者であることです。トップが変化にコミットし、日々の行動で示すことで、組織全体が“変化してもいい”という空気に包まれます。やり切る文化は、上から下へ、言葉と行動で伝播していくのです。
グローカルは、こうした生産性改革を単なる効率化ではなく、“企業の進化”と捉え、中小企業の理想実現を共に目指しています。今この瞬間から、あなたの会社の“やり方”を変えてみてください。それが、競争に打ち勝つ力になるのです。



