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移住プロモーションに効果のあるショート動画とは?作成の際のポイント7選

移住促進や定住支援(移住定住)を目的とした情報発信において、動画コンテンツは非常に効果的な手段です。特に近年では、各SNSプラットフォームで短尺のショート動画が注目を集めており、視聴者の目を引く導入ツールとして活用されています。

 

本記事では、ショート動画がどのように移住プロモーションに有効か、そして効果を最大化するためのポイントについて解説していきます。魅力的なアイデアや構成方法を学び、移住希望者にアピールするための制作のコツを押さえておきましょう。

ショート動画とは

まずは、ショート動画がどのようなもので、各プラットフォームにおいてどのように運用されているかを確認しましょう。

ショート動画とは、その名の通り短い尺で視聴者の興味を引くことを目的とした動画コンテンツです。数十秒から1分程度の長さが一般的であり、必要な情報を端的にまとめられる点が特徴です。

SNSとの相性が非常によく、多くのユーザーに短時間で情報を広めることができます。特に移住プロモーションとの組み合わせは、地域の雰囲気や風景、生活の一端をかいま見せるのに適していると言えるでしょう。

①YouTubeのショート動画

YouTube Shortsは、最大60秒までの縦型動画を投稿できる、YouTube内のショート動画機能です。通常の長尺動画に比べてテンポよく視聴できるため、地方の四季の移ろいや、移住者の1日に密着したライフスタイル紹介など、短時間で生活のリアルを伝えるのに最適です。

また、YouTubeは検索エンジンとしての利用者も多く、地域名や「移住 〇〇市」といったキーワード検索に対して、動画が表示されやすいという特長があります。そのため、移住地の情報発信手段として、自治体や移住者本人が活用するケースも増えています。

さらに、YouTubeが持つ膨大な視聴者層は20代〜50代までと幅広く、男女問わず多くのターゲットにプロモーションを届けられるのも大きなメリットです。

② Instagramのリール動画

Instagramの「リール(Reels)」は、最大90秒のショート動画を投稿できる機能で、写真メインのSNSという特性と相まって、ビジュアル重視の移住プロモーションに非常に適しています。

地方の自然風景や郷土料理、移住者の暮らしぶりなどを“おしゃれに”“感性豊かに”表現した投稿が多く、特に20〜40代の女性ユーザーを中心に人気を集めています。

また、Instagramにはログイン後すぐにリールを視聴できる専用タブがあり、日常的にチェックするユーザーが多いことから、投稿の視認性・発見性が高いのも魅力です。ストーリーズや通常投稿との連携によって、既存のフォロワー層だけでなく新規ユーザーにも自然に情報が広がりやすくなっています。

③TikTokのショート動画

TikTokは、10〜20代を中心に圧倒的な支持を集めている動画SNSで、15秒〜1分程度のテンポの良いショート動画が主流です。音楽・エフェクト・テキストを自由に組み合わせた創造性の高いコンテンツが人気です。

また、TikTokは若年層の利用が多い一方で、30〜40代以降のユーザー層も年々拡大しており、今後はより多様な年代への移住プロモーション媒体としても期待されています。自治体が公式アカウントを立ち上げ、地域の魅力や移住支援制度を紹介するケースも増加中です。

ショート動画を活用するメリット

①短時間で多くの情報を伝えられる

数十秒の短い尺でも、映像・テキスト・音声を組み合わせることで視覚的・感覚的に情報を伝えることができます。文字や画像だけでは伝わりにくい「雰囲気」や「空気感」を直感的に届けることが可能です。

②視聴者の離脱率が低く、最後まで見てもらいやすい

長尺の動画に比べ、ショート動画は視聴時間が短いため、最後まで再生されやすく、メッセージの伝達率が高いのが特長です。特にスマートフォンユーザーにとっては“ながら視聴”しやすい点も魅力です。

③SNSでの拡散力が高い

TikTok、Instagramリール、YouTube Shortsなど、各SNSがショート動画を重視しており、アルゴリズム上優先的に表示される傾向にあります。ハッシュタグやトレンドを活用することで“バズり”の可能性も高まります。

④継続的な発信でファンを獲得しやすい

短い動画は制作頻度を高く保ちやすく、定期的な投稿によって視聴者との接点を持ち続けることができます。シリーズ化やハッシュタグ統一などを行えば、認知拡大とファン化を同時に狙うことも可能です。

 

なぜ移住プロモーションにショート動画が有効なのか?

移住を検討する人々にとって、その地域の「空気感」や「人の温かさ」「リアルな日常」を感じ取ることは、移住先を選ぶうえで非常に重要な判断材料です。しかし、文章や写真だけでは、そうした要素を十分に伝えることができないケースも少なくありません。

そこで有効なのが、ショート動画の活用です。SNS上で気軽に視聴でき、数十秒で生活の一端や地域の魅力を直感的に伝えられるショート動画は、今や移住プロモーションの重要なツールとなりつつあります。以下では、その具体的なメリットを解説します。

①視覚と音で“リアルな暮らし”が伝わる

ショート動画は、映像・音声・ナレーション・BGMなどを組み合わせることで、視聴者に強い没入感を与えることができます。
たとえば、朝の通勤路に咲く花、地元の直売所での買い物、地域の祭りや日常の風景など、写真やテキストでは伝えきれない「リアルな暮らし」を臨場感たっぷりに発信できます。

②若年層へのリーチに効果的

ショート動画はSNS世代である20〜30代を中心に、高い視聴率を誇ります。この層は「検索より視聴」で情報収集を行う傾向が強く、将来の定住・移住候補としてのターゲットに非常に適しています。

テンポが良く、感覚的に“刺さる”構成や編集で訴求することで、移住そのものへの関心を喚起しやすくなります。とくに、都市部に住む若年層に向けて「地方暮らしの選択肢」を自然に届けられる点が大きな利点です。

③制作・発信のハードルが低い

ショート動画は、スマートフォンと無料アプリがあれば、誰でも手軽に制作・投稿できるのも魅力のひとつです。自治体や企業だけでなく、実際の移住者や地域住民が自発的に日常を発信することもでき、これが“リアルさ”と“信頼性”の向上にもつながります。

また、継続的に発信することで、地域のブランディングにも寄与します。特別なイベントや観光資源がなくても、日々の暮らしの中にある“何気ない魅力”を発信できるのがショート動画の強みです。

 

移住プロモーションにショート動画を活用する重要性

地方創生や人口減少対策として、自治体が「移住プロモーション」に取り組む中で、従来のパンフレットや説明会だけでは情報が届かない層へのアプローチが課題になっています。ショート動画は、

・興味をもってもらう「きっかけ」になる

・心に残るストーリーをつくれる

・“共感”を生み出し、移住後の生活イメージを具体化させる

といった役割を担い、移住希望者の「不安の払拭」と「決断の後押し」を可能にします。

近年、移住に興味を持つ層は都市部に限らず多方面に及び、必要とする情報も多岐にわたります。テキスト形式のみの情報発信では、短時間で要点をつかみにくいケースも多く、競合する他地域のプロモーションと差別化を図るのが難しいのが現状です。

一方、ショート動画を活用すれば求めている要素をスムーズに伝えるだけでなく、実際の暮らし例や地域コミュニティの印象を視覚的に示せます。こうした即時性とわかりやすさが、移住促進で成果を上げるために必要不可欠なポイントなのです。

 

移住プロモーションのショート動画制作ポイント7選

①見せたい“テーマ”はひとつに絞る

短い動画で多くを語ろうとせず、「朝の風景」「地元食材の紹介」「雪の日の暮らし」など、ひとつのテーマに絞ることが視聴者の集中力を保ちやすく、印象にも残りやすくなります。

②導入3秒で惹きつける構成を意識する

「最初の3秒」で動画をスワイプするか、最後まで見てもらえるかが決まります。印象的な風景・音・タイトルテロップなどを冒頭に入れ、「この動画、気になる」と思わせる工夫が重要です。

③無理に“観光っぽく”しすぎない

あくまで「暮らし」の魅力を伝えるのが移住動画の目的です。観光PRのような派手さよりも、等身大の生活、地域との関係性、素朴な風景の中にこそ価値があります。

④字幕・テロップは必須

多くの視聴者は音声オフで動画を視聴しています。ナレーションを入れずとも、字幕や簡単なテロップで内容が伝わるようにしましょう。

⑤ハッシュタグと投稿時間も工夫する

「#地方移住」「#田舎暮らし」「#空き家リノベ」などの関連タグを活用すると、興味関心の高い層に届きやすくなります。また、SNSごとの視聴ピーク(夜20〜22時など)に合わせた投稿も効果的です。

⑥ 移住者インタビューを取り入れる

実際に移住した人へのインタビューを盛り込むと、動画にリアルな説得力が生まれます。「移住前の不安」「住んで感じた良さ」「意外だったこと」などを短く切り取り、共感を誘う構成にするのがコツです。

⑦ “移住の理由”を短く伝える

「なぜこのまちを選んだのか?」という移住の決め手を、ナレーションやテロップで端的に紹介しましょう。

仕事・子育て・自然・地域性など、視聴者が「自分も同じ理由で惹かれるかも」と感じられる要素があると、動画の共感度が高まります。

 

人気のある移住ショート動画の傾向とは?

最近は美しい風景や地元ならではの飲食文化、または地元の人々との触れ合いなど、感情的な共感を呼び起こす内容が注目を集める傾向にあります。

たとえば海や山といった自然環境を存分に生かしたショート動画は、健康的で穏やかな暮らしをイメージさせる良い例です。さらに、実際に移住を体験した人の声や1日のライフスタイルを短くまとめると、より具体的な生活イメージが湧き、視聴者の関心を引きつけやすくなります。

自治体だけでなく、地元の事業者やNPOなど様々な立場から制作される動画も多く、多角的な視点が評価されるようになってきました。

 

移住の魅力を伝えるショート動画の具体例

①「リアルな日常」を見せるVlog形式

移住者自身が撮影する「1日のルーティン」や「休日の過ごし方」といった動画は、移住後の生活をリアルにイメージしやすく、共感を集めやすいコンテンツです。たとえば、朝の散歩、地元スーパーでの買い物、夕暮れ時の家の風景など、何気ない日常がむしろ“暮らしの魅力”として伝わります。

② 食・風景・季節感を切り取ったビジュアル重視の動画

地元の食材を使った料理、四季折々の風景、地域の伝統行事など、ビジュアルインパクトのあるテーマはSNS上で特に人気です。テンポの良いBGMやエフェクトと組み合わせれば、移住先の「感性に響く魅力」を強く印象付けることができます。

③ “移住あるある”や“ビフォーアフター”系

移住して感じたギャップや、都会と田舎の違いをユーモラスに紹介する「あるある動画」も人気です。また、空き家のDIY・リノベーションや、古民家の再生などの「ビフォーアフター」動画は、視覚的な変化がわかりやすく、完成した姿に夢を重ねる視聴者の心をつかみます。

④子育て・教育・地域との関わりをテーマにした動画

特にファミリー層向けのコンテンツとして、保育園・学校・習い事・地域イベントへの参加などを紹介する動画も注目されています。「子どもが自然の中でのびのび育っている様子」などは、強い訴求力を持ちます。

 

移住プロモーションにおけるショート動画成功事例

例①神奈川県・三浦半島「ちょい住み」プロモーション(YouTube Shorts)

神奈川県三浦市を中心とした「三浦半島暮らし」のプロモーションでは、YouTube Shortsを活用して、地域のリアルな暮らしを紹介。地元の市場での買い物風景や、漁港の朝の様子、ワーケーションでの働き方などをショート動画で公開しました。

特別な演出ではなく、“等身大の暮らし”にフォーカスしたことにより、多くの視聴者が「実際に行ってみたい」「こんな暮らしを体験してみたい」と感じるきっかけとなり、資料請求や現地視察への動きにつながりました。

例② 西湘足柄地域(小田原市・南足柄市など)の若者向けTikTok発信

神奈川県西部の自治体連携プロジェクトでは、移住促進のターゲットを20〜30代に設定し、TikTokでのショート動画発信を実施。内容は「移住者のリアルな1日」「田舎あるある」「空き家DIYチャレンジ」など、エンタメ要素を取り入れた構成です。

編集も若者目線で軽快にまとめられ、TikTokユーザーの共感を呼び、フォロワー数と再生回数が急増。動画を見たことをきっかけに移住を検討し始めたという声も自治体に寄せられ、若年層への波及効果が証明されました。

 

まとめ

需要が高まってきているショート動画。移住プロモーションにおいて、ショート動画は地域の魅力を凝縮して伝え、視聴者の興味を急上昇させる強力なツールです。最大のカギは、興味を持ってもらいやすい見せ方と、実際の暮らしをイメージしやすい内容をバランスよく組み込む点にあります。

また、制作した動画を各SNSプラットフォームに最適化して発信を重ねることで、さらなる認知拡大や移住者の獲得につなげることが期待できるでしょう。

この記事を書いた人
マーケティング事業部

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