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新規事業のアイデアを生み出すには?実践的な10のフレームワークを徹底解説!

新規事業の成功には、 発想力と論理的なプロセスの両方が不可欠 です。思いつきのアイデアだけではなく、具体的なビジネスモデルへと発展させるためには、 体系的にアイデアを整理し、多角的な視点で検討すること が求められます。

ここでは、 新規事業のアイデア創出に役立つフレームワークを10つご紹介します。より実用的で競争力のあるビジネスモデルを構築するヒントにされてみてください。

新規事業のアイデアを生み出すための代表的な方法5選がわかるダウンロード資料

アイデアをただ大量に出すだけでは、実現性が低かったり、市場ニーズに合わなかったりする可能性があります。そのため、アイデアを分類し、事業として成立するかどうかを検討するフレームワークを活用することが重要です。本資料では、アイデアの整理・評価に役立つ5つのフレームワークを詳しくご紹介します。

なぜ新規事業のアイデア創出が重要なのか?

現代のビジネス環境は日々変化しており、従来の成功モデルが長期間通用するとは限りません。技術革新のスピードが加速し、消費者のニーズも多様化する中で、企業が生き残るためには 常に新しい価値を生み出し続けること が求められます。

また、新規事業の創出は 企業の成長エンジン でもあります。新たな収益源を確保するだけでなく、ブランド力の向上、競争優位性の強化、さらには企業文化の活性化にもつながるのです。

ここでは、新規事業のアイデア創出の重要性を理解し、実践的なフレームワークを活用して 失敗しないアイデア出しの方法 を詳しく解説していきます。

新規事業のアイデア創出の重要性

(1) プロダクトライフサイクルの短命化

近年、新しい製品やサービスが登場しても、短期間で市場に類似品が出回り、競争が激化する傾向にあります。製品のライフサイクルが短縮されると、企業は 継続的に新たな事業アイデアを生み出さなければ、市場から淘汰されるリスクが高まります。

この環境下では、 迅速なアイデア創出と実行のスピードが重要 になります。成功企業は、次の事業機会をいち早く察知し、柔軟な組織体制を整えることで成長を続けているのです。

(2) 破壊的イノベーションへの対応

「破壊的イノベーション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、 既存のビジネスモデルを根本から覆し、市場を大きく変えてしまう革新のこと を指します。

例えば、Netflixは動画レンタル業界を、Uberはタクシー業界を、Airbnbはホテル業界を大きく変えました。こうしたイノベーションが起こると、従来のプレイヤーは対応できずに衰退してしまうケースも少なくありません。

しかし、自らが破壊的イノベーションを起こす側になれば、大きな成長のチャンスとなります。そのためには 過去の成功体験に固執せず、新しい視点で市場を見つめる柔軟な発想が必要 です。

新規事業のアイデアを出すための4つのポイント

新規事業のアイデアを生み出す際に意識すべきポイントを4つ紹介します。

(1) 自社の経営資源を正しく把握する

新規事業を考える際、 自社の「ヒト・モノ・カネ・情報」などの経営資源を正しく理解すること が重要です。例えば、以下のような点を整理してみましょう。

  • ヒト(人的資源):どのようなスキルや知識を持った人材がいるか?
  • モノ(技術・設備):独自の技術や設備を活用できるか?
  • カネ(資金):どれくらいの投資が可能か?
  • 情報(データ・ネットワーク):市場や顧客に関する有益な情報を持っているか?

自社の強みを活かせる領域を見極めることで、 競争優位性のあるアイデアを生み出しやすくなります。

(2) アイデア出しに制約を設ける

自由な発想は大切ですが、 あまりに制約がないと現実的なアイデアに落とし込みにくくなる ことがあります。

例えば、「予算は100万円以内」「6か月以内にリリース可能なもの」など、 具体的な制約条件を設定することで、より実行しやすいアイデアを生み出す ことができます。

(3) 必要以上に奇抜さを求めない

イノベーションといえば 「斬新なアイデア」 をイメージするかもしれませんが、 奇抜すぎるアイデアは市場に受け入れられない可能性もあります。

大切なのは、 「顧客が抱える課題を解決できるか?」 という視点です。 市場ニーズを的確に捉えたアイデアこそ、成功しやすい のです。

(4) 複数のフレームワークを活用する

アイデア創出の際は、 1つの手法に頼らず、複数のフレームワークを組み合わせる ことで、より多角的な視点を得ることができます。

新規事業のアイデア出しに役立つ10つのフレームワーク

アイデアを生み出すには、ただ考え続けるだけではなく、効果的な手法を活用することが重要です。ここでは、新規事業のアイデアを創出するための5つのフレームワークと、それを整理・評価するための5つのフレームワークをご紹介します。

アイデア創出向けの5つのフレームワーク

まずは、新しいアイデアを発想する際に役立つ手法を見ていきましょう。

1. ブレインストーミング

ブレインストーミング(Brainstorming)は、複数のメンバーが自由にアイデアを出し合い、発想を広げる手法です。批判や評価を行わず、あらゆるアイデアを歓迎することで、思いもよらない発想が生まれることがあります。

進め方のポイント

  • 参加者を4〜6名程度にする(多すぎると議論がまとまりにくい)
  • アイデアを否定せず、どんな内容でも歓迎する
  • 互いのアイデアを発展・組み合わせて新しいアイデアを生み出す

活用例:新しい飲食サービスを考える際に、「お客様の行動を変える飲食体験とは?」というテーマを設定し、自由にアイデアを出し合う。

2. マインドマップ

マインドマップ(Mind Map)は、中央にテーマを書き、そこから連想する言葉を放射状に展開していく手法です。

進め方のポイント

  • 中心に「新規事業のテーマ」を書く
  • そこから関連するキーワードを枝のように広げていく
  • さらに細かく連想を広げることで、多角的な視点を得る

活用例:新しいECビジネスのアイデアを考える際に、「オンラインショッピング」を中心に、「AI活用」「定期購入」「パーソナライズ」などの関連キーワードを広げて発想を深める。

3. スキャンパー法

スキャンパー(SCAMPER)法は、既存の製品やサービスに対して「別の視点」を加えることで、新しいアイデアを生み出す手法です。

進め方のポイント

SCAMPERの7つの視点に沿ってアイデアを考えていきます。

  1. Substitute(代用):他のものに置き換えられないか?
  2. Combine(結合):2つ以上のものを組み合わせられないか?
  3. Adapt(応用):他の業界の手法を応用できないか?
  4. Modify(変更):形やサイズを変えてみたらどうなるか?
  5. Put to another use(転用):別の用途で活用できないか?
  6. Eliminate(削除):不要な部分を取り除けないか?
  7. Reverse(逆転):逆の視点で考えたらどうなるか?

活用例:「カフェビジネスを考える」とした場合、

  • Combine(結合) → カフェ×コワーキングスペース
  • Adapt(応用) → フィットネス業界のサブスクモデルを導入

4. マンダラート

マンダラート(Mandala Chart)は、9×9のマスを使ってアイデアを展開していく手法です。

進め方のポイント

  • 中央のマスに主題(ビジネステーマ)を書く
  • 周囲8マスに関連するキーワードを書く
  • さらに、それぞれのキーワードを中央にして、新たな8マスを展開する

活用例:「新しい旅行サービス」を考える場合、中央に「旅行」と書き、周囲に「体験型」「個人向け」「家族向け」「低価格」「高級志向」「環境配慮」「オンライン連携」「テクノロジー活用」などを書き込む。

5. 6W2H

6W2Hは、Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、Whom(誰に)、How(どのように)、How much(いくらで)という視点でビジネスを整理する手法です。

進め方のポイント

  • ビジネスアイデアを「6W2H」に沿って書き出す
  • 抜け漏れなく情報を整理する
  • 競争優位性や課題を明確にする

活用例:「サブスクリプション型のファッションレンタル」を考える場合、

  • Who → 働く女性、20〜40代のビジネスマン
  • What → 高級ブランド服のレンタル
  • When → 月額制・週単位で交換可能

 

アイデア創出向けの5つの方法については、下記資料にてより詳しく解説を行っております。ぜひご覧ください。

【事業戦略】新規事業のアイデアを生み出すための代表的な方法5選

アイデアを整理・評価するための5つのフレームワーク

新規事業のアイデアを生み出した後に重要なのが、それを整理し、評価するプロセスです。アイデアをただ大量に出すだけでは、実現性が低かったり、市場ニーズに合わなかったりする可能性があります。

そのため、アイデアを分類し、事業として成立するかどうかを検討するフレームワークを活用することが重要です。ここでは、アイデアの整理・評価に役立つ5つのフレームワークを詳しくご紹介します。

1. リーンキャンバス

**リーンキャンバス(Lean Canvas)**は、ビジネスモデルの骨子を1枚のシートにまとめるフレームワークです。スタートアップのビジネスモデル設計に広く活用されており、短時間でアイデアの全体像を可視化できるのが特徴です。

構成要素(9つのブロック)

リーンキャンバスは、以下の9つの要素から構成されます。

  1. 課題(Problem):顧客が抱えている主要な問題は何か?
  2. 顧客セグメント(Customer Segments):ターゲットとなる顧客層は誰か?
  3. 独自の価値提案(Unique Value Proposition):競合と差別化できる価値は何か?
  4. ソリューション(Solution):課題を解決するための方法は?
  5. チャネル(Channels):顧客にサービスを届ける手段は?
  6. 収益の流れ(Revenue Streams):どのように収益を得るのか?
  7. コスト構造(Cost Structure):運営にかかる主なコストは?
  8. 主要指標(Key Metrics):成功を測るための指標は?
  9. 圧倒的優位性(Unfair Advantage):競合が真似できない強みは?

活用のポイント

  • チーム全員で議論しながら作成することで、ビジョンを共有しやすくなる
  • 短時間でビジネスの全体像を整理できるため、ピボット(方向転換)もしやすい
  • 収益モデルや市場ニーズの確認を通じて、リスクを事前に把握できる

活用例:新規事業の提案を社内で行う際に、簡潔にビジネスモデルを説明するために使用。

2. KJ法

KJ法は、大量のアイデアを整理し、関連性を見出すためのフレームワークです。もともとは文化人類学者・川喜田二郎氏が考案した手法で、ブレインストーミング後のアイデア整理に特に適しています。

進め方のステップ

  1. アイデアを書き出す(付箋やカードを使うと便利)
  2. 類似するアイデアをグループ化し、カテゴリを作成する
  3. グループ間の関係性を整理し、全体の構造を可視化する
  4. アイデア同士をつなげ、新たな発想を生む

活用のポイント

  • チーム全員で協力して整理することで、多角的な視点を得られる
  • 構造的にアイデアを分類できるため、論理的な整理が可能
  • 新たなアイデアを生み出す発想法としても機能する

活用例:ブレインストーミングで生まれたアイデアを整理し、具体的なコンセプトに落とし込む際に使用。

3. マトリクス法

マトリクス法は、アイデアを「重要度」と「実現可能性」の軸で整理し、優先順位を明確にするためのフレームワークです。

代表的なマトリクスの種類

  1. 重要度 × 実現可能性 マトリクス

    • 高重要・高実現可能 → すぐに実行すべきアイデア
    • 高重要・低実現可能 → 改善・技術開発が必要なアイデア
    • 低重要・高実現可能 → 既存事業と組み合わせる可能性を検討
    • 低重要・低実現可能 → 一旦保留
  2. 費用対効果マトリクス

    • 低コスト・高リターン → すぐに着手すべき
    • 高コスト・高リターン → 予算や資源の確保を検討
    • 低コスト・低リターン → 追加投資なしで実行可能か検討
    • 高コスト・低リターン → 優先度を下げる

活用のポイント

  • 複数のアイデアを比較し、効率的に取捨選択できる
  • 視覚的に整理できるため、意思決定がスムーズになる
  • チーム内の合意形成を促進しやすい

活用例:いくつかの新規事業案の優先順位を決め、どの案を進めるべきか判断する際に使用。

4. ビジネスモデルキャンバス

**ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)**は、ビジネスの構造を9つの要素で整理し、ビジネスの全体像を俯瞰できるフレームワークです。

構成要素

  • 価値提案(Value Proposition):どんな価値を提供するか?
  • 顧客セグメント(Customer Segments):ターゲット顧客は誰か?
  • チャネル(Channels):価値をどのように届けるか?
  • 顧客関係(Customer Relationships):顧客との関係構築方法は?
  • 収益モデル(Revenue Streams):どのように収益を生み出すか?
  • 主要活動(Key Activities):事業の中心となる活動は?
  • 主要リソース(Key Resources):必要なリソースは?
  • パートナー(Key Partnerships):協力すべき企業や団体は?
  • コスト構造(Cost Structure):どんなコストがかかるか?

活用例:ビジネスモデルを図式化し、収益構造や強み・弱みを整理する際に使用。

5. ロジックツリー

**ロジックツリー(Logic Tree)**は、問題を分解し、解決策を明確にするフレームワークです。

代表的なロジックツリー

  • MECEツリー(モレなくダブりなく分類)
  • 課題解決ツリー(原因と対策を整理)
  • Whyツリー(「なぜ?」を深掘りする)

活用のポイント

  • 問題解決のアプローチを体系化できる
  • 思考の抜け漏れを防げる
  • 課題を明確化し、実行プランに落とし込める

活用例:新規事業の市場調査を行い、ターゲット顧客の課題を整理する際に使用。

海外で注目を集める新規事業アイデア

海外では成功しているものの、まだ日本では本格的に普及していないビジネスモデルは数多く存在します。こうした事例を参考にしながら、日本市場に適した形でローカライズすれば、新規事業の大きなチャンスとなる可能性があります。

ここでは、海外で急成長しているものの、日本ではまだ広がっていないビジネスをいくつかご紹介します。

1. 奨学金申請手続き支援サービス

海外での成功例:ScholarshipOwl(アメリカ)、Grants.gov(アメリカ)

海外では、奨学金申請を支援するオンラインプラットフォームが普及しています。例えば、アメリカの**「ScholarshipOwl」**は、学生が一度プロフィールを登録すると、条件に合う奨学金に自動で応募できるサービスを提供しています。

なぜ海外でサービスが展開されているのか?

  • 奨学金の種類が多く、個々の申請が大変 → 自動マッチングで手間を削減
  • 申請手続きの複雑さを軽減 → 必要書類のテンプレートやガイドラインを提供
  • デジタル化による申請プロセスの効率化 → オンラインでの応募が主流

日本での展開の可能性

日本では、奨学金制度に関する情報収集や申請手続きが煩雑であるという課題があります。特に民間や地方自治体の奨学金情報が分かりにくいことが問題視されています。日本でも大学や自治体との提携を進めることで、日本市場に適した形で展開できる可能性があります。

2. シニア向けコワーキング施設

海外での成功例:Senior Planet(アメリカ)、The Third Age Project(イギリス)

シニア向けコワーキング施設は、リタイア後の高齢者が働きながら学び、交流できるスペースを提供するビジネスモデルです。

例えば、アメリカの「Senior Planet」は、60歳以上の起業家やフリーランサー向けのコワーキングスペースを運営し、以下のようなサービスを提供しています。

  • デジタルツール講座(ZoomやSNSの活用、クラウドサービスの使い方)
  • シニア向け起業支援(ビジネスアイデアの立案、マーケティングの学習)
  • 健康維持プログラム(ヨガやストレッチクラス、メンタルケア)

なぜ海外でサービスが展開されているのか?

  • 高齢化社会の進行 → シニア層の新しい働き方が求められている
  • テクノロジーの発展 → デジタルスキルを学び、オンラインで働くシニアが増加
  • 定年後の生きがいの追求 → 仕事を通じて社会とつながるニーズが拡大

日本での展開の可能性

日本でも「老後2,000万円問題」が議論される中、リタイア後も働き続けるシニア層が増えています。さらに、高齢者向けのパソコン講座やスマートフォン教室は人気があり、シニアのデジタル活用意欲も高まっています。

3. モジュール型住宅のサブスクリプション

海外での成功例:Kasita(アメリカ)、Koto Design(イギリス)

モジュール型住宅とは、簡単に組み立て・移動が可能な住宅のことです。サブスクリプションモデルを導入し、利用者がライフステージに合わせて住居を選べる仕組みが注目されています。

なぜ海外でサービスが展開されているのか?

  • 住宅コストの上昇に対応 → 初期費用を抑えた住宅選択が可能
  • 移動の自由度が向上 → 転勤やライフスタイルの変化に適応しやすい
  • 環境への配慮 → 環境負荷の少ないエコ住宅としての需要増加

日本での展開の可能性

日本でもミニマリズムやシンプルライフ志向が広がっており、狭いスペースでも快適に暮らせる住宅へのニーズは高まっています。住宅メーカーや自治体と連携し、サブスクリプション型の住まいサービスを開発すれば、日本市場でも受け入れられる可能性があります。

4. AIパーソナルファイナンスコーチ

海外での成功例:Cleo(イギリス)、Digit(アメリカ)

AIを活用したパーソナルファイナンスコーチは、個人の収入や支出データを分析し、最適な節約術や投資アドバイスを提供するサービスです。

なぜ海外でサービスが展開されているのか?

  • 個人の資産管理ニーズが高まっている
  • AIの進化により、高精度のアドバイスが可能
  • 若年層の「貯蓄離れ」を防ぐ新しい仕組みとして人気

日本での展開の可能性

日本でも、家計簿アプリは人気がありますが、AIを活用した「資産形成アドバイス」機能はまだ広く普及していません。AIとフィンテックを組み合わせた新しい金融サービスは、日本市場でも成長する可能性が高い分野です。

まとめ

新規事業の成功には、市場環境の変化を正しく捉え、戦略的にアイデアを生み出すことが不可欠です。本記事では、アイデア創出の重要性や具体的なフレームワーク、海外で注目されるビジネスモデルを紹介しました。自社の強みを活かし、複数の手法を組み合わせることで、より実現性の高い事業を構築できます。ぜひ、これらの知見を有効活用し、新たな事業機会を掴んでください。

この記事を書いた人
加藤 英里

新卒で入社したリクルートにて、地域振興事業の立ち上げから推進まで9年間従事。プロモーション企画立案、ご当地グルメプロデュース、イベント主催などの他、講演やセミナー講師も務める。2014年5月から現職。BtoB・BtoC問わず、病院・結婚式場・メーカー・レジャー施設などのWEB集客コンサルティングに従事。

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