デジタル化社会のアナログ施策
いきなりですが、最近誰かに手紙を
もらったことがありますか?
かく言う私は年賀状と暑中見舞い位です。
研修で発見した変化
なぜお聞きしたかというと、
ある建設会社の研修で手紙を使う機会があり、
その良さを再確認したからです。
その研修は新入社員の
半年後のフォローを目的に行いました。
事前に新入社員の一人ひとりに
周囲の期待を伝えるために、
上司に手紙を書いていただき、
本人に渡します。
新入社員の名前が書かれた封筒に入った手紙は、
A4で3~4枚にびっしり書かれているものもあれば、
外国籍の部下のためにわざわざ
和風の便箋に書かれているものもあります。
日本文化を伝えようとしたのでしょうか。
粋な配慮です。
新入社員に手紙を受け取った感想を
聞いてみると、
「こんな風に自分を見ていたのか」
「最近やる気が下がっていたけど、また上がった」
「上司が頼りないと思っていたけど、
意外としっかりしていた」という頼もしい?
コメントが返ってきます。
最も多いのは、
「自分のことをこんなに見てくれているんだと思った」
という感想です。
中には感動で涙する方さえいらっしゃいます。
この研修は4年前から実施しており、
毎回手紙の良さを再確認して
感動をおすそ分けいただくのを
楽しみにしているのですが、
最近は少し様子が変わってきた
ところもあります。
それは手紙の形態です。
3年前は手書きが多かったのですが、
徐々に入力して印刷したものが
増えてきたように思います。
職場が生産性を強くられていることを
考えれば当然かもしれませんが、
少し寂しく感じます。
漠然と手書きの方が
気持ちが伝わるのではと思いますが、
今年の新入社員のような
デジタルネイティブの世代に対しては
どうなのかをいざ調べてみると
下記の調査結果が見つかりました。
『手書きの価値の実証実験』
NTTデータ研究所が東京大学や
千葉工業大学などとつくる
「アナログ価値研究会」が手書きの良さについて
科学的に検証し
2017年7月4日に結果を発表しました。
その結果は単純に「手書き」である
という事実ではなく、
「時間と手間をかけてくれている」という点が
読み手に評価されているというものでした。
実験はこのように行われたようです。
4人の男女に「身近な友人への誕生祝いのメッ
セージ」を次の3種類の方法で書いてもらい、
20~24歳の男女40人に読ませ、印象を尋ねます。
(1)手書きでゆっくり時間をかけ、心を込めて書いた文章(内容は自分で考える)。
(2)手書きでできるだけ素早く書いた文章(内容は自分で考える)。
(3)パソコンでタイプした文章(内容は決められている)。
詳細は省きますが、結果は読み手が
「(書き手の)思いが込められている」
と感じた度合いは、
(1)が一番多く、(2)と(3)は
差がなかったそうです。
同じ手書きでも(2)のように
素早く書くと、「雑である」という印象を
受けたようです。
研究チームはこのように
コメント(抜粋)しています。
「手書きは『時間と手間をかけている』と
読み手がポジティブに感じることによって、
『心が込められている』と伝わることが
分かりました。
ここぞという時のために、
『手書き』技術を確保しておくことが重要です」
手書きの効能
以上の結果から見えてくるのは、
手書きの手紙は相手に気持ちが伝わり、
心を揺さぶりやすいということです。
組織づくり、特に社内風土の醸成や
上司と部下の関係づくりにおいては、
手紙などの想いのこもった手書き文書は
効果的と言えるでしょう。
実際に前述とは別のお客様で、
社長からのメッセージを手書きで
伝える文化のお客様がいらっしゃいます。
相当な時間がかかるでしょうが、
お忙しい中でもあえて手書きをしています。
その結果、社長の想いは十分に
社員の皆様に伝わっているように思います。
組織づくり、人づくりに携わる人間として、
生産性や利便性が追求される時代だからこそ、
デジタルの施策だけでなく、
あえて手紙や人と人が触れ合う場づくりなど、
アナログな施策を要所要所で
打つことが大切だと感じた今日この頃です。
今後は人間の本質をとらえながら
時代に流されない施策を
展開していきたいと思います。
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