人事制度は、会社の未来を示すコンパス
以前の国政選挙を
特集するテレビを見ていて
こんなシーンがありました。
あるメディアが19歳の大学生に
密着取材をしていました。
その大学生は祖父と投票に向かう途中、
候補者のポスター掲示板の前で
誰に投票しようか迷っていたのです。
インタビュアーが「決まりましたか?」
と聞くと、
「何を基準に投票してよいか分からない。
学校で模擬選挙をやって
こういうものだという雰囲気は分かったが、
何を基準に選べばいいかは学ばなかった」
と答えます。
あなたは、この大学生の発言を受けて
何を感じましたか。
そして、あなたならどういったことを
基準にして投票しますか?
国政選挙を通して見えてきたもの
選挙で投票をするならば、
当然ですが、選ぶ基準は
どのような日本を作りたいか
ということです。
恐らく大学生にとって、
各候補者の説く
政策の分かりにくさに加え、
「それぞれの描く未来の姿が
分かりにくかった」
ということだと思います。
組織が目指す方向は見えていますか?
今後の政治教育に
期待したいところですが、
この状況は国に限った話ではなく
企業においても同様のことが起きています。
つまり社員は
行き先の分からない船に乗って
日々の仕事を
こなしているということです。
先日、人事制度構築の
ご支援をしているお客様先で
企画部の部長さんに
”担当組織の目指す姿”を
描いていただいた時に
こんなことをおっしゃいました。
「自分の会社の目指す姿が
はっきりしないので
企画部の未来は書けません。」
ごもっともです。
ではこれまで、
どこに向かって担当部門の
舵取りをしてきたかということですが、
現場の問題解決や
短期的な目標の達成のみに
取り組んできたということなのです。
本来は魅力的な目指す姿を描き、
その実現に向けて
個々の力を結集することにこそ
組織である意味があるはずなのですが、
そうなっていないのです。
社員一人ひとりが「目指す姿」を描くこと
皆さんの会社は
どこに向かっていますか?
それは魅力的な未来の姿ですか?
グローカルで人事制度の構築を
ご支援させていただく際には、
最初に時間をかけて
取り組んでいることがあります。
経営者の方に
「どのような姿を目指すのか」
を確認し、社員の皆様の心を
動かせるように言語化することです。
組織作りにおいて
最も大事なプロセスです。
ただそこで思うのは、
「目指す姿は経営者だけが描くべきもの」
というのは幻想ではないか
ということです。
冒頭の大学生で例えれば、
自分の目指す日本の姿があってもいいです。
その舵取り役の経営者やリーダーの方を
選挙のように選ぶことは
しないとしても
無関心というのでは
困りものです。
社員一人ひとりが
自社の目指す姿を描き、
目指す姿の実現に向けた提言を
するべきでしょう。
社員は雇用される身ではありますが、
自分の会社です。
これから人事制度の構築や
見直しをお考えなら、
「社員の皆さんが自分の会社の
未来について考える機会」
となるように、
その場の活用を検討してみてください。
きっと一人ひとりが
自分の会社の未来を語れる
魅力的な組織になるのではないでしょうか。