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利益率とは?基礎から向上・改善方法まで徹底解説

現在の市場環境は、急激な変化と不透明な景気動向が続いており、多くの企業にとって経営のかじ取りが一層難しくなっています。

原材料費や人件費の上昇、競争の激化、消費者ニーズの多様化など、企業が直面する課題はますます複雑化しています。
このような状況下で、企業が持続的な成長を遂げるためには、利益率の向上が不可欠です。

利益率は、収益性や経営効率を示す重要な指標であり、企業の財務体質や将来の投資余力に直接影響を及ぼします。
本コラムでは、利益率の定義や基本的な計算方法、そして利益率を高める理由を解説した上で、具体的な向上策について詳しく説明します。

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1. 利益率とは?基本理解と計算方法

利益率の向上は、企業の成長を支えるための基盤であり、その理解は経営戦略の中心となります。

ここでは、利益率の基本的な定義や種類、そして具体的な計算方法について詳しく見ていきます。

利益率の定義と重要性

利益率とは、売上高に対する利益の割合を示す指標であり、企業の収益性を測るための基本的な尺度です。

企業活動の効率性やコスト構造を把握するために、利益率の理解は欠かせません。
利益率の向上は、企業が持続的に成長し、競争力を維持するための重要な施策となります。

利益率には「粗利益率」「営業利益率」「経常利益率」「純利益率」といった複数の種類があります。
これらの各利益率を適切に理解し、管理することは、経営判断において大きな役割を果たします。
それぞれの利益率を把握し、バランスよく向上させることが、企業の健全な成長に繋がります。

利益率の種類

利益率には、企業の異なる側面を評価するために、様々な種類があります。
それぞれの利益率は、企業の収益性やコスト構造を異なる角度から評価するためのものです。
以下に代表的な利益率を紹介します。

粗利益率:
粗利益率は、売上総利益を売上高で割ったもので、商品の製造や仕入れにかかるコストを除いた後の利益率を示します。
これは、商品やサービス自体の収益力を測るための指標であり、製造業や小売業など、原価管理が重要な業種でよく用いられます。

粗利益率が高いほど、原価を効果的に抑えながら販売できていることを示します。

営業利益率:
営業利益率は、営業利益を売上高で割ったもので、本業での収益性を測る指標です。
これは、製造コストだけでなく、販売費や一般管理費といった間接費用も含めた収益性を評価する際に使われます。

営業利益率が高い場合、企業は本業で安定した収益を上げていることを示し、経営の効率性が高いといえます。

経常利益率:
経常利益率は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた経常利益を売上高で割ったものです。
これは、企業の本業以外の収益や費用も含めた、より包括的な収益性を示します。

金融業や不動産業など、本業以外の要因が利益に大きく影響する業種では、経常利益率が重要な指標となります。

純利益率:
純利益率は、最終的な利益を売上高で割ったもので、企業全体の最終的な収益性を示します。
この指標は、全てのコストや税金を含んだ上での利益を表すため、企業の健全性を評価する上で最も包括的な指標です。

純利益率が高い企業は、全体として効率的に経営されており、財務的に健全であると判断されます。

これらの利益率は、それぞれ異なる側面から企業の収益性を評価するため、状況に応じて適切な指標を選び、総合的な分析を行うことが求められます。
企業はこれらの指標を使い分けることで、自社の強みと弱みを明確にし、戦略的な経営判断を行うことができます。

各利益率の計算方法

粗利益率:
粗利益率 = (売上高 – 売上原価)÷ 売上高 × 100
例えば、売上高が1,000万円で、売上原価が600万円の場合、粗利益率は40%です。

営業利益率:
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
例えば、営業利益が150万円、売上高が1,000万円の場合、営業利益率は15%です。

経常利益率:
経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100
例えば、経常利益が100万円、売上高が1,000万円の場合、経常利益率は10%です。

純利益率:
純利益率 = 純利益 ÷ 売上高 × 100
例えば、純利益が50万円、売上高が1,000万円の場合、純利益率は5%です。

これらの指標を活用することで、企業の収益性を多角的に分析し、どの部分で改善が必要かを明確にすることが可能です。

2. 利益率を向上させるメリット

利益率の向上は、単に企業の利益を増やすだけでなく、持続的な成長を実現し、将来の競争力を確保するためにも不可欠です。

ここでは、利益率を向上させる必要性について、経営戦略の観点から詳しく解説します。

経営の安定化と持続的な成長

利益率を向上させることは、経営の安定化につながります。

利益率が高い企業は、景気の変動や市場の変化に対しても柔軟に対応できます。
なぜなら、利益率が高い企業は、売上が減少してもある程度の利益を確保できるからです。
これにより、厳しい経営環境下でも事業を継続できる体力を持つことができ、長期的な視点での経営戦略を立てやすくなります。

さらに、利益率の高い企業は、新規事業への投資や既存事業の強化、社員教育など、将来的な成長に向けた積極的な施策を講じる余裕が生まれます。
結果として、企業は競争力を維持し、さらなる成長を図ることが可能となります。

資金調達力の強化と経営基盤の確立

利益率の向上は、企業の資金調達力を強化する効果もあります。

高い利益率を維持している企業は、外部からの信用が向上し、金融機関や投資家からの評価が高まります。
これにより、資金調達が容易になり、必要な時に適切な資金を確保できる可能性が高まります。

資金調達力が強い企業は、新しいプロジェクトや設備投資、研究開発などに積極的に資金を投入することができ、事業の成長を加速させることができます。
また、資金繰りの安定が図れるため、経営の選択肢が増え、長期的な経営計画を実現しやすくなります。

競争優位の確立と市場での成功

利益率の向上は、企業の競争優位を確立するための重要な要素です。

利益率が高い企業は、同じ市場で競合他社よりも優れた価格戦略やプロモーションを展開する余裕があります。
これにより、競争力を高め、市場シェアを拡大することが可能です。

例えば、利益率の高い企業は、価格競争が激しい市場でも、値引きやキャンペーンを行いながら、十分な利益を確保できます。
これにより、競争力を維持しながら、消費者に対して魅力的な価格やサービスを提供し続けることができます。

また、高い利益率を維持している企業は、新しい市場への参入や製品開発にも積極的に取り組むことができるため、成長の機会を広げることができます。

 

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3. 利益率を向上させるための具体的な方法

利益率の向上は、企業が持続的な成長を遂げ、競争力を維持するために欠かせない取り組みであることを解説してきました。

ここでは、利益率を高めるために効果的な具体的施策について解説します。

①コスト削減と業務効率の改善

利益率を向上させる第一歩は、コスト削減と業務効率の改善です。

企業のコストは、大きく分けて固定費と変動費に分類されます。
固定費には、人件費や設備費、家賃など、売上に関わらず一定の支出が必要な項目が含まれます。
一方、変動費は、売上の増減に応じて変動する原材料費や販売手数料などです。

これらのコストを適切に管理し、削減することで利益率を高めることができます。

例えば、生産性の向上は、コスト削減の重要な要素です。
製造業であれば、生産工程の無駄を洗い出し、改善を行うことが効果的です。

製造プロセスの標準化や機械の自動化、デジタルツールの導入によって作業時間を短縮し、効率を最大化させることが求められます。
これにより、コストを抑えながらも生産量を増加させ、売上を維持しつつ利益率を向上させることが可能です。

さらに、オフィス業務でも同様に、業務フローの見直しやデジタル化を進めることで、事務作業の効率を向上させることができます。
例えば、クラウドベースのプロジェクト管理ツールや業務自動化ソフトウェアを活用することで、従業員の手作業によるミスを減らし、労働時間を削減することができます。
こうした改善を繰り返し行うことで、コスト削減と業務効率の改善を図り、利益率を高めることができます。

②価格戦略の見直し

価格戦略は、利益率を左右する重要な要素です。

製品やサービスの価格設定が適正でない場合、売上は伸びても利益が確保できないことがあります。
逆に、適切な価格設定を行うことで、売上を大きく伸ばさずとも高い利益率を実現できます。

まず、価格戦略を見直す際には、付加価値の高い商品の導入や高単価商品の販売促進を検討することが重要です。
顧客が価格以上の価値を感じる製品やサービスを提供することで、価格設定を高めに維持しながらも、顧客の満足度を高めることができます。
例えば、製品の機能向上や独自のサービスの付加などを行い、顧客が競合他社にはない特別な体験を得られるようにすることが効果的です。

また、ターゲットとする顧客層に応じて、価格設定を柔軟に変えることも重要です。
高価格帯の商品を求める層には、特別なサービスや保証を提供することで、価格に対する納得感を与え、購入意欲を高めることができます。

一方で、価格に敏感な層には、必要最低限の機能やサービスに絞った商品を提供することで、コストを抑えつつ販売数を確保する戦略が有効です。
このように、価格戦略の見直しによって、収益性を高めると同時に、顧客にとっても納得感のある価格を設定することが、長期的な利益率向上につながります。

③サプライチェーンと購買コストの最適化

サプライチェーンの見直しと購買コストの最適化も、利益率向上に大きな影響を与えます。

サプライチェーンの効率化により、製品を市場に届けるまでの時間を短縮し、コストを削減することができます。
例えば、物流経路の見直しや在庫管理の最適化を行うことで、無駄な輸送費用や在庫コストを減らすことが可能です。

購買コストの削減も重要なポイントです。仕入れ先との交渉力を高め、価格の見直しや納期の調整を行うことで、調達コストを削減できます。
複数の仕入れ先から見積もりを取得し、最もコストパフォーマンスの高いサプライヤーを選定することが求められます。

また、サプライヤーとの長期的な信頼関係を築くことで、柔軟な取引条件を引き出し、調達コストを抑えることができます。
在庫管理においては、在庫回転率を向上させることで、キャッシュフローを改善し、利益率を高めることが可能です。
過剰在庫はキャッシュフローの悪化を招くだけでなく、製品の劣化や廃棄リスクも増大させます。

適切な在庫管理システムを導入し、需要予測を精緻化することで、最適な在庫水準を維持し、無駄なコストを削減できます。

④高利益率商品・サービスへの集中

利益率を高めるためには、利益率の高い商品やサービスにリソースを集中させることも効果的です。
例えば、利益率の高い商品を重点的に販売促進し、マーケティング活動を強化することで、売上全体の利益率を引き上げることができます。

また、利益率の高い顧客層をターゲットにした施策を展開することも重要です。
マーケティングデータを活用し、収益性の高い顧客を分析することで、特定の顧客層に向けたカスタマイズされたサービスやプロモーションを提供し、顧客単価を引き上げることができます。

これにより、売上構成比の見直しを行い、全体としての利益率を改善することが可能です。
例えば、コア商品やサービスに加え、関連する高付加価値商品を一緒に販売するなどの手法を用いることで、顧客の支払い意欲を高め、売上と利益を同時に向上させることができます。

まとめ

利益率は企業の収益力や成長可能性を示す重要な指標であり、粗利益率、営業利益率、純利益率といった異なる観点から企業の財務状況を分析できます。

利益率を向上させることは、コスト削減、価格戦略の最適化、業務プロセスの改善など、さまざまなアプローチが求められます。
これにより、売上高が増加しなくても収益を高め、事業の健全性を維持することが可能になります。

また、利益率の改善は、企業の財務基盤を強化し、リスクに対する耐性を高め、将来の成長に向けた投資余力を生み出します。
特に、市場の変動が激しい現代において、利益率の向上は企業が競争優位を確保するための大きな武器となります。

このコラムで紹介した戦略や施策は、経営者や管理者が日々の業務改善や長期的な経営計画の策定に役立つ内容です。
企業の規模や業界を問わず、利益率に焦点を当てた取り組みは、強固な経営基盤を築き、持続的な成長に向けた第一歩を踏み出す助けとなります。
日々の経営において、これらの施策を参考にしていただければ幸いです。

この記事を書いた人
望月 陸太郎

東京藝術大学、ドレスデン音楽大学在学中にクラシック音楽の演奏家としてのキャリアを積む。帰国後、システム会社の営業職を経てグローカルに参画。 現在は、WEBマーケティング、営業戦略、地方創生を担当。