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【新規市場開拓の成功ガイド】基本的なステップからリスク管理まで徹底解説

新規市場開拓は、企業が成長を続けるための重要な手段です。既存の市場が成熟し成長の限界に達したとき、新たな市場へ参入することで新しい顧客層や地域にアプローチし、売上や競争力を拡大させることができます。

しかし、新規市場開拓の成功には、数々の検討すべき事項があります。本こらむでは、新規市場開拓の基本ステップやリスク管理のポイント、成功事例を通じて、新規市場開拓の成功のポイントを詳しく解説していきます。

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新規市場開拓とは?

新規市場開拓とは、既存のサービスや製品を新しい市場に展開していく戦略のことです。特に既存市場が成熟し、成長の限界に達している場合、新規市場への参入は企業の持続的な成長を支える重要な手段となります。

また、既に他社が参入している市場で競争に挑む場合と、まだ他社が開拓していない市場に参入する場合とで、アプローチが異なることも特徴です。他社の存在がある場合には、差別化戦略が重要になりますが、競合が少ない市場では、先行者利益を活かして迅速に市場シェアを確保することが求められます。いずれにしても、新規市場開拓は企業にとって大きな挑戦であり、成功すれば事業の拡大に大きく貢献するものとなります。

新規市場開拓のメリット

新規市場開拓は、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。ここでは主な5つのメリットについて解説します。

売上拡大

新規市場に参入することで、これまで未開拓だった顧客層や地域にリーチすることができ、売上の拡大が期待できます。既存市場が成熟している場合、特にこの効果は顕著です。競合が少ない市場であれば、早期にシェアを確保し、売上の成長を加速させることが可能です。

リスク分散

新規市場への参入は、企業のリスク分散にもつながります。単一の市場に依存していると、その市場での景気変動や規制の影響を大きく受けますが、複数の市場に分散して展開することで、リスクを低減させることができます。特に地理的に多様な市場に進出することで、一部地域でのトラブルが全体に及ぶ影響を最小限に抑えられます。

競争優位性の確立

新規市場で早期に参入することは、競争優位性を確立するチャンスでもあります。競合がまだ少ない段階で参入すれば、強いブランド認知を形成しやすく、価格競争やシェア争いを有利に進めることが可能です。特に、自社の技術やノウハウが新市場で他社との差別化要素となる場合、強力な競争優位性を築くことができます。

イノベーションの促進

新しい市場に進出することは、企業のイノベーションを促進する契機にもなります。新市場のニーズや課題に対応する過程で、新しい製品やサービスを開発する必要が生じ、結果として企業内での技術革新やビジネスモデルの進化が促されます。また、新しい文化や消費習慣に適応するためのローカライズが進むことで、既存事業にも好影響を与えることがあります。

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新規市場開拓の基本的なステップ

次に、新規市場開拓における基本的なステップをご紹介します。新規市場開拓の成功には、入念な準備が欠かせません。どんなに優れたサービスや製品であっても「適切な市場」で「適切なターゲット」に受け入れられなければ、売上を伸ばすことはできません。そのため、まずはターゲットとなる市場や顧客層を的確に選定し、その上で効果的な戦略を実行することが鍵となります。

市場調査

市場調査は新規市場を理解するための最初のステップであり、成功の鍵を握ります。調査では、市場規模や成長性、競争状況、消費者のニーズをしっかりと把握することが重要です。特に、定量的データ(市場規模や成長予測)と定性的データ(消費者の動向や嗜好)を組み合わせることで、精度の高い市場分析が可能になります。これにより、ビジネスの方向性が明確となり、最適な参入タイミングやアプローチが見えてきます。

ターゲット選定

新規市場開拓の成功には、明確なターゲット設定が欠かせません。市場調査を通じて、どの顧客層が自社の製品やサービスに最も適しているかを見極め、ターゲットを具体的に定義します。年齢、性別、収入、ライフスタイル、価値観など、さまざまな基準で顧客を細かく分析することが重要です。さらに、ターゲットを象徴する「ペルソナ」を設定することで、顧客像がより具体化され、ターゲットに適した効果的なマーケティング戦略を策定することが可能となります。ターゲットペルソナを明確にすることで、広告の訴求ポイントや販売チャネル、さらにはサービスの内容自体もターゲットに最適化することができ、新規市場への参入を効果的に進めることができるでしょう。

戦略策定

選定したターゲット市場に対して、適切な参入戦略を策定します。例えば、直販を行うのか、代理店を活用するのか、または現地のパートナー企業と提携するのかなど、具体的な手段を検討します。それぞれの方法には、コスト、時間、管理のしやすさなど異なるメリットとデメリットがあるため、自社のリソースや目標に最も合った戦略を選ぶ必要があります。

テスト導入

戦略が決まったら、いきなり大規模に参入するのではなく、まずは小規模なテスト導入を行います。これは市場の反応を確認し、戦略の有効性を検証するためです。例えば、特定の地域や限られた顧客層を対象に製品やサービスを展開し、そのフィードバックを基に調整を加えることで、より効果的なアプローチを練ることができます。

市場参入

テスト導入の結果を基に、いよいよ本格的に市場参入を開始します。この際には、計画通りにリソースを配分し、現地の特性に適したマーケティング戦略や営業体制を整備します。また海外市場においては、現地パートナーとの協力やローカライゼーション(現地化)も重要な要素となります。

改善

市場参入後は、事業の進捗を定期的に評価し、必要に応じて戦略や施策を改善していきます。市場は常に変化するため、顧客ニーズや競争状況の変化に応じた柔軟な対応が求められます。評価の際には、KPI(重要業績評価指標)を設定し、売上や顧客満足度、市場シェアなどをモニタリングしていきましょう。

 

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新規市場開拓を進める上でのポイント

ここでは、新規市場開拓を進める上で特に重要な3つのポイントについて解説します。

強みのある市場を選ぶ

新しい市場に進出する際には、まず企業の競争優位性を活かせる市場を選定することが重要です。市場の成長性や規模だけに依存せず、自社の製品やサービスが市場内でどのように位置付けられ、どのように優位性を発揮できるかを考慮しましょう。例えば、企業が持つ技術やノウハウが特に需要のある市場であれば、早期に競争力を確立することが可能です。競合他社が少なく、市場の未開拓部分が残されている分野で参入することも、成功のための有力な手段です。

適切なリソースの確保

新規市場開拓を成功させるためには、適切なリソースの確保が不可欠です。資金、人材、技術などのリソースが十分でなければ、プロジェクトが遅延したり、製品やサービスの品質が低下するリスクが高まります。特に新しい市場での挑戦では、予測できない課題に対応するための柔軟なリソース配分が重要です。各フェーズで必要なリソースを具体的に見極め、時には外部パートナーや専門家と連携することも、事業の成功を支えるポイントとなります。

迅速に仮説検証を回し続ける

新規市場では、競争や消費者ニーズが急速に変化するため、迅速な対応が求められます。市場に対する仮説を立て、それを迅速に実行・検証する「仮説検証サイクル」を何度も回し続けることで、長期的な事業成長が期待できます。例えば、新規製品の投入やマーケティング施策について、小規模なテストを実施し、結果に基づいて改善を繰り返すことで、確実に市場のニーズに対応できます。

新規市場開拓のリスクヘッジの方法

新規市場に参入する際には、多くの不確実性が伴うため、リスクを軽減するための対策が不可欠です。ここでは、スモールスタートや人材育成、撤退基準の設定といったリスクヘッジの方法について解説します。

スモールスタートを心がける

新規市場に大規模に参入するのは、リスクが高くなりがちです。そのため、初期段階ではスモールスタートを心がけ、小規模なテストマーケットや限定的な製品・サービス展開を行い、市場の反応を確認しながら徐々に拡大していく方法が効果的です。これにより、市場のニーズや競合の状況を把握し、戦略を柔軟に調整することが可能です。

また、スモールスタートは、失敗時の損失を最小限に抑えられるため、企業にとって重要なリスク軽減策です。

必要なポジションに合わせた人材育成を進める

新規市場開拓に成功するためには、人材育成を戦略的に進め、各段階で求められる役割やスキルセットを具体的に定義することが重要です。例えば技術革新が求められる場合は、最新技術に精通したエンジニアが不可欠です。また、市場の変化に対応し、顧客ニーズに応じた製品開発を行うためには、マーケティングや顧客関係管理に長けた人材も必要です。

これらの人材を適切なタイミングで確保し、育成することで、事業の各フェーズでの成功確率が高まります。特に、初期段階から専門性の高い人材を関与させることで、製品やサービスの市場適合性を高め、より迅速かつ効果的な事業運営を実現できるでしょう。

撤退のタイミングを見極める

市場が期待通りに成長しない場合、事業を継続するか撤退するかの判断が必要です。無計画な撤退は損失を招く可能性があるため、撤退の基準をあらかじめ明確に設定しておきましょう。撤退基準には、売上や利益率、顧客獲得状況、競合の動向など、具体的な数値目標を設定します。市場環境が大きく変化した場合や、事業が成長しないと判断された場合には、迅速に撤退を決断することで、事業資源の無駄遣いを最小限に抑えることができます。

また、撤退時には、関係するパートナーや顧客に対しても慎重に対応し、信頼関係を維持することが重要です。

新規市場に参入する際には、多くの不確実性が伴うため、リスクを軽減するための対策が不可欠です。ここでは、スモールスタートや人材育成、撤退基準の設定といったリスクヘッジの方法について解説します。

新規市場開拓の事例紹介

ここからは実際に新規市場開拓に取り組み、成功している企業の実例を紹介します。国内市場においても、多くの企業が新規市場の開拓によって成功しています。ここでは、4つの事例を紹介します。ぜひアイディア出しのご参考にされてください。

株式会社ワークマン

ワークマンは、作業服ブランドとしてプロフェッショナル向けの市場で知られていましたが、「ワークマン女子」という新しい店舗コンセプトを打ち出し、女性向けの市場を開拓しました。

従来の作業服をリニューアルし、女性にも適したデザインを展開。さらに、アウトドアやキャンプ向けの商品ラインも充実させたことで、新たな顧客層を取り込むことに成功しています。

引用:#ワークマン女子 (WORKMAN GIRL) | ワークマン公式オンラインストア

株式会社三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスは、デジタルベースの新しい事業として「ISETAN STUDIO」を立ち上げ、BtoB向けの撮影サービスを展開しています。従来の百貨店事業から一歩進んで、自社のオンラインストアに特化した撮影から他社にもサービスを提供する事業モデルに拡大しました。

専用スタジオを活用し、商品撮影やカタログ制作などを受託することで、幅広い顧客層にアプローチし、百貨店業務に依存しない多角的なビジネスを展開しています。

引用:ISETAN STUDIO イセタンスタジオ|三越伊勢丹

ダイハツ工業株式会社

ダイハツ工業は、介護業界向けのデジタル支援システム「らくぴた送迎」を開発し、通所介護施設での送迎業務を効率化しました。

このシステムは、送迎前の計画作成から実際の送迎、業務後のフィードバックまで、すべてのプロセスをデジタル化し、関連する全員の作業負担の軽減に貢献しています。また、このシステムはデジタル変革(DX)の成功事例として注目されており、介護業界における働き方改革の一環としての効果を発揮しています。

引用:ダイハツ工業株式会社|送迎支援システム らくぴた送迎【ダイハツ】

ユニ・チャーム株式会社

ユニ・チャームは、消費者ニーズに応じた新しいサービスとして、保育園向けに「手ぶら登園」というサブスクリプションモデルを導入しました。これは保育園におむつを直接配送する定額制のサービスで、保護者が毎日おむつを持参する手間を省く仕組みです。このサービスはすでに多くの保育施設で導入されており、利便性と効率性が評価されています。

同社の新規事業は「DX注目企業2023」として経済産業省と東京証券取引所から選出されるなど、業界内外から広く注目を集めています。

引用:手ぶら登園|業界シェアNo.1 おむつを保育施設に直接お届けする定額制サービス

まとめ

新規市場開拓は、企業の成長に欠かせない戦略ですが、成功するためには綿密な計画と実行が求められます。市場調査からターゲット選定、戦略策定、テスト導入、リスク管理まで、各ステップで適切な判断が重要です。さらに、スモールスタートやリソースの確保、柔軟な対応を通じてリスクを軽減しながら、成長を目指すことが鍵です。企業の成功事例に学びつつ、ぜひ新規市場開拓のアイディアを出していきましょう。

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加藤英里
この記事を書いた人
マーケティング戦略事業部
加藤 英里

新卒で入社したリクルートにて、地域振興事業の立ち上げから推進まで9年間従事。プロモーション企画立案、ご当地グルメプロデュース、イベント主催などの他、講演やセミナー講師も務める。2014年5月から現職。BtoB・BtoC問わず、病院・結婚式場・メーカー・レジャー施設などのWEB集客コンサルティングに従事。