【中小企業のアフターコロナ#7】レジャー業界におけるアフターコロナの見通し
中小企業はwithコロナ・アフターコロナの時代をどう乗り切るべきかー。地方の中小企業の経営コンサルティングを行う株式会社グローカルが、業界ごとにアフターコロナの見通しをまとめました。
このページでは、レジャー業界におけるアフターコロナ対策をご紹介します。
外出自粛による移動制限が、集客型ビジネスモデルに大きく影響
春節時期の中国人観光客の減少に始まり、春休み時期の外出自粛ムード、そして緊急事態宣言による休業要請など、余暇を楽しむレジャー業界は、コロナ禍において大きく影響を受けました。特に、東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパンという、国内2大レジャー施設が休業を決めたことにより、休業を決断するレジャー施設が増えたように思います。景気によって集客が左右される業界ではありますが、コロナ禍においては、人の移動自体が制限されたことで、集客型が主流のレジャー業界におけるビジネスモデルが大きく影響を被ったと言えるでしょう。
そのような状況の中で、「行ったつもりで楽しめる」体験動画の公開や、動物園や水族館のライブ配信など、顧客との接点を強化し、自粛後の需要を喚起するための新たな取り組みが見られたことも特徴です。
他の業界に比べ、対象範囲が広い「小規模事業者持続化補助金」
他の業界と比べても、休業せざるを得なかった企業が多いレジャー業界では、人件費や維持費の補填として「雇用調整助成金」や「持続化給付金」を申請した企業も多いかと思います。それ以外にも、実質的に無利子で融資が受けられる「新型コロナウイルス感染症特別貸付」で当面の運転資金を確保することが可能です。また、販路開拓などの取り組みに対して経費の2/3、最大50万円の助成がうけられる「小規模事業者持続化補助金」は、通常従業員数5名以下の企業が対象ですが、サービス業のうち娯楽業に関しては、20人以下の企業が対象となっており、レジャー業界においては該当する企業が多いと思われます。
緊急事態宣言後には、政府による1.6兆円予算の「Go To キャンペーン事業」が予定されており、宿泊や飲食、施設利用の代金の1/2の助成が受けられることで、一時的な需要回復も見込まれます。
大きな変革を迫られるアフターコロナにおけるレジャー業界
先日、熊本県観光協会連絡会議が行った「新型コロナウイルス感染症収束後の旅行・観光に関する意識調査」結果によると、7割以上が旅行に意欲を示しており、4割以上が外出自粛要請の解除後に近隣エリアへの旅行を再開すると回答しています。しかしながら、感染拡大防止と経済活動を両立させる「新しい生活様式」において、安定した集客を維持するためには、下記3つの対策が重要です。
①衛生管理の徹底と周知
前述した調査結果では、旅行において避けたいことという質問に対し、「テーマパーク・遊園地」が第1位、「屋内施設(美術館や博物館など)」が第3位となっており、人が密集する場所を避ける傾向が読み取れます。入場制限の実施や消毒薬の設置、屋内施設であれば換気など、感染拡大防止のための対策を引き続き徹底することはもちろん、対策を行っていることをホームページなどで周知し、お客様の不安を事前に払拭することが重要です。
②リピーターやファン層の獲得など集客戦略を明確に
レジャー施設の集客において、新規とリピーターのお客様の割合を把握するのは意外と難しく、全体の集客人数の目標は設定していても、新規とリピーターに分けて目標を設定している施設はそう多くないように思います。しかしながら、今回のような事態に陥った際、早期に戻ってきたり、応援してくれたりするのはリピーターやファンのお客様です。「1年間に〇回来園するお客様を〇%増やす」というような具体的な集客目標とその測定方法を決め、ロイヤリティ(信頼性)の高いお客様の獲得を戦略的に行っていくことが求められます。
③動画など「来なくても楽しめるコンテンツ」で接点強化
コロナ禍において、休業中のレジャー施設がSNSやYOUTUBEなどに公開した体験動画やライブ配信が度々話題になりました。「現地で体験できること」をお客様により具体的に感じてもらうことが、先々の集客やファン層の獲得に繋がると言えます。今後はレジャー業界においても、積極的に動画を活用していくことが重要な集客施策のひとつになっていくと考えられます。