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中小企業のコンサルティング

知らないとブランド拡大に繋がらない?新規顧客の獲得に繋がる手法。

ブランド拡大に悩んでいませんか

多くの中小企業の経営者やマーケティング担当者は、中長期的にブランドを拡大に取組みたいと思いつつも、どのように取り組めばよいのか具体的な手法や取り組み方に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

実際にマーケティング活動を行っている多くの企業が、短期的な顧客の刈り取り施策に面が向き、中長期的な取組みがないがしろになっている企業が多く見受けられます。

中長期的にブランド拡大を行うためには、「新規顧客の取り込み」が非常に重要になります。しかし「新規顧客の取り込みがなぜブランド拡大につながるのか」「小さい企業はヘビーユーザーに注力すべきでは」という疑問を持つ方も多いと思います。本コラムでは、新規顧客の取り込みの重要性を具体的に説明し、明日から実行できる施策をいくつかご紹介します。


本コラムが対象とする読者


本コラムは中小企業の経営者・マーケティング担当者」に向けて作成しております。
特に下記のようなお悩みをお持ちの方が対象です。

「中長期的なブランド拡大の方法が分からない」

「新規顧客と既存顧客、どちらに力を注ぐべきか迷っている」

「売上の伸び悩みを感じている」

 

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ダブルジョパティの法則

ブランド拡大を目指す際、既存顧客に焦点を当てるか、新規顧客の取り込みに注力するかで迷う方が多いでしょう。しかし、多くの成功事例やマーケティングの法則に基づくと、新規顧客の獲得がブランド拡大の鍵を握っています。その理由は、「ダブルジョパティの法則」にあります。

 

ダブルジョパティの法則

ダブルジョパティの法則は、バイロン・シャープ氏が提唱したマーケティング理論で、「顧客数が少ないブランドは、ロイヤリティも低くなる」という法則です。ロイヤリティとは、顧客がそのブランドに対して抱く忠誠心のことを指し、マーケティングにおいては購買頻度や購入金額を指します。

例えば、あるブランドの顧客が増えると、顧客1人あたりの購入頻度や支払金額が高くなる傾向があります。逆に、顧客が少ないブランドは、顧客1人のロイヤリティまで低くなり全体の売上も低くなる傾向があるのです。

 

 

ダブルジョパティの法則が成り立つ理由

では何故「ダブルジョパティの法則」が成立し、顧客数の多い企業は顧客のロイヤリティが向上するのでしょうか。それには下記3つの消費者の特徴が要因となっていることが考えられています。

 

認知度の拡大
ブランドが規模を拡大すればするほど、より多くの消費者に認知され、複数のブランドの中から選ばれる確率が高くなります。これにより、大手ブランドは購買頻度をさらに高め、市場でのシェアを伸ばしていきます。分散購買行動を取る消費者が多いことから、大手ブランドは常に購入候補として浮上しやすくなるため、この現象がダブルジョパティの法則を支えています。

リスク回避行動
もう一つの理由として、消費者の「リスク回避行動」が挙げられます。消費者は、特に高額商品や日常的に使う商品について「失敗したくない」という強い心理を抱くことが多いです。そのため、信頼性が高く、他の多くの人が選んでいるブランドに対して強い安心感を持ちます。知名度が高く、広く使われているブランドは、消費者にとって「間違いが少ない選択肢」として位置づけられ、安心して選ばれることが多いです。

習慣的な行動容態
消費者は日常の買い物において、あまり深く考えずに商品を選ぶことが多く特定のブランドを繰り返し選択する傾向があります。この行動様態は、特に消費者が商品やブランドに強い感情的つながりを持たない場合に顕著であり、結果として大手ブランドがより選ばれやすくなるのです。

消費者は一度「安全で無難な選択肢」として特定のブランドを選ぶと、そのブランドを習慣的に選ぶことが増えていきます。たとえば、忙しい日常の中で毎回新しい選択をするのではなく、以前購入して問題がなかったブランドを選ぶ方が、時間的・心理的コストを削減できるからです。これにより、大手ブランドは一度認知されると、その後も消費者の「定番選択」として維持されやすくなります。

上記のような要因により、大手ブランドは一度市場に浸透すると、消費者の行動様態によってそのポジションを強固に保ちやすくなり、ダブルジョパティの法則が成立するのです。
このように、認知度の拡大、リスク回避行動そして習慣的な行動様態の3つが相互に作用し、大手ブランドがさらに有利な立場を築くメカニズムを説明しています。

「ライトユーザー増加」の重要性

またブランドの拡大にはライトユーザーの増加が欠かせません。下記2つがその理由となります。

ライトユーザーの増加がブランドを拡大する
ブランドの成長には、年に1~2回ほどしか購入しないライトユーザーの存在が欠かせません。ブランドが成長する際の典型的なパターンとして、最初はライトユーザーが増え、その後にヘビーユーザーが形成される傾向があります。このため、ブランドが売上やシェアを拡大するためには、ヘビーユーザーだけではなく、ライトユーザーを多く取り込むことが重要です。ライトユーザーが増えることで、全体の購買頻度も増え、結果的にブランドの規模が大きくなるという傾向が多くの市場で見られています。

売上の40%をライトユーザーが占める
「20:80の法則」と呼ばれる上位20%のヘビーユーザーが80%の売上を作ると言われていることから、「ヘビーユーザーのロイヤリティ向上」のためのアプローチを行う企業様が多いと思います。
しかし、「ダブルジョパティの法則」を提唱するバイロン・シャープ氏の調査では、上位20%の顧客が売上の約60%しか占めていないというデータが示されています。残りの40%はライトユーザーが作り出していることからも分かるように、ライトユーザー層を軽視してはいけません。

 

 

新規顧客を取り込み、ブランドのライトユーザーの取り込みに注力することが、長期的なブランド成長には欠かせないと言えます。

中小企業にできる認知獲得法

中小企業様のような限られた予算でも、下記ような手法を用いることで認知拡大を図ることが可能です。

 

  • リスティング広告・ディスプレイ広告: 少額の予算でもターゲット層を的確に狙えるオンライン広告は、新規顧客獲得に効果的です。特に、特定のニーズを持つ顧客にリーチしやすいため、短期間での認知拡大に役立ちます。
  • SEO対策とコンテンツマーケティング: 検索エンジンの上位に表示されることで、広告費をかけずに継続的な流入を促進します。特に、自社製品やサービスに関連するブログや記事を通じて価値ある情報を発信することで、専門性を高めつつ、信頼を築くことが可能です。
  • SNS運用: インスタグラムやFacebookといったSNSを通じて、定期的にコンテンツを投稿し、ユーザーとのエンゲージメントを強化します。特にビジュアルに強い製品やサービスを提供する企業にとっては、SNSは効果的なブランディングの場となります。
  • 地元メディアの活用: 地域に密着した中小企業にとって、地元フリーペーパーや地域イベントを通じたローカルマーケティングは非常に効果的です。地元顧客との接触機会を増やし、親しみやすいブランドイメージを築くことで、長期的なファン層の獲得が期待できます。


また認知拡大の際にはどのキーワードで認知を獲得するかを考慮する、CEP(カテゴリーエントリーポイント)の考え方が重要です。以下は中小企業でも取り組めるCEP(カテゴリーエントリーポイント)の重要性から、具体的な設計方法まで分かり易く記載しております。認知施策に取り組む際は、是非ご覧ください。

株式会社グローカル.「CEPを用いたブランド拡大手法」https://www.glcl.co.jp/column/20314/

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体験提供による新規顧客の取り込み手法

新規顧客を獲得する手法として「一度製品・サービスを体験してもらう」ことが有効とされています。
下記のような手法を用いることで、新規顧客を取り込みましょう。

 

新規顧客クーポン: 初めての利用者に特典を提供し、製品やサービスを試しやすくすることで、最初のハードルを下げる効果があります。特典は割引や無料サービスなど、初回利用を促進する内容が適しています。

お友達紹介キャンペーン: 既存顧客が新規顧客を紹介することで双方にメリットがある仕組みを導入することも効果的です。例えば、紹介者と紹介された顧客双方に割引を提供することで、新規顧客の獲得が促進されます。

試供品の提供: 実際に製品を試してもらうことで、品質や使い勝手を体験してもらい、次回以降の購入につなげる施策です。特に品質に自信がある商品では、この方法が非常に効果的です。

 

ただし、過度な割引やキャンペーンはブランドの価値を下げる可能性があるため、適切なバランスを保つことが重要です。新規顧客に対して、魅力的で質の高い体験を提供することで、リピート率の向上を目指すことができます。

中小企業における成功事例

1. 地元ベーカリーの顧客基盤拡大
ある地域の小規模ベーカリーは、地元での顧客数が限られており、顧客の購入頻度も少ないという典型的なダブルジョパティの状況にありました。そこで、彼らは地元の市場イベントやSNSを活用して新しい顧客にアプローチすることで、ブランドの認知度を広げる施策を取りました。特に、イベントでの無料サンプル提供やInstagramでの地域限定クーポンを発行することで、少ない顧客をターゲットにして購入を促進しました。この結果、認知度が上がり、地元のライトユーザーを取り込むことに成功し、売上が増加しました。ダブルジョパティの原則である「認知度と顧客数の拡大」がブランド成長の要因になりました。

2. オンラインファッションブランドのSNS活用
地域に根差した高級ファッションブランドは、競合の大手ブランドに比べて顧客数が少なく、顧客ロイヤリティも低いという状況に直面していました。そこで、彼らはInstagramやTikTokを活用したインフルエンサーマーケティングにより、新規顧客の獲得を目指し、ライトユーザーの関与を強化しました。結果として、ブランドの認知度が上がり、新たな顧客層を開拓することができ、これが継続的な成長につながりました。この事例は、ダブルジョパティの理論に基づき、知名度の向上が顧客基盤の拡大に寄与することを証明しています​。

どちらの事例も、限られたリソースを活用しつつ、ライトユーザーの取り込みによって市場での存在感を強化し、ブランド拡大に成功した例です。

おわりに

ブランド拡大において、新規顧客の取り込みがなぜ重要かを理解いただけたでしょうか?顧客数が増えることでロイヤリティも向上し、結果としてブランドの売上が安定して成長します。特に、中小企業にとっては、少ない予算でブランドを広めるために、SEO対策やSNS運用、ローカルマーケティングなどの施策が非常に有効です。

今すぐに取り組める具体的な施策を実行し、新規顧客の取り込みを強化して、ブランドの中長期的な成長を目指しましょう。

香山昌太
この記事を書いた人
香山 昌太

大学在学時にEC古着事業の立上げを経験後、新卒にて大手繊維商社に入社。国内大手アパレルメーカーに対する、アジア圏を中心としたOEM生産の営業活動に従事。 新規事業開発室に異動後、プロスタイリストを顧客とした撮影衣装リース事業の立上げ・運営に従事。 中小企業におけるマーケティング活動の支援を行うため、グローカルに入社。