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失敗しない海外進出の方法とは?成功を掴むための手順とポイントを解説

現在、企業が成長を遂げるためには、海外進出が避けて通れない道となっています。
とはいえ、異なる文化やビジネス慣習、法規制に対応しながら成功を収めるには、多くの準備と戦略的な判断が必要です。

本コラムでは、企業が海外展開を計画する際に押さえておくべきポイントや効果的な進出の方法を解説し、成功へとつながるステップを明確にしていきます。
これからの時代、競争力を維持・強化するために、企業はどのように行動すべきか、一緒に考えていきましょう。

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1. なぜ今、企業の海外進出が重要なのか

まずは、なぜ企業が海外進出を目指すべきか、その背景を理解することが重要です。
国内市場が成熟し、成長の限界が見えてきた今、海外進出は企業にとって新たな成長の道を切り拓く手段となります。

ここでは、市場の拡大競争力の強化リスク分散という3つの観点から、その必要性を見ていきましょう。

市場の拡大

国内市場の停滞が続く中、企業が成長を維持するためには新たな市場を開拓することが求められます。
特に、アジアやアフリカなどの新興市場は、経済成長が著しく、購買力の向上に伴って消費者ニーズも多様化しています。

これにより、企業は新たな製品やサービスを提供することで、大規模な売上拡大を実現する可能性があります。
また、国内では需要が少ない商品やサービスでも、海外市場では高い需要が見込まれる場合があります。

例えば、日本の高品質な食品や技術製品が海外で高く評価されることは珍しくありません。
このような市場の拡大は、企業にとって新たな収益源を確保し、持続的な成長を可能にします。

競争力の強化

市場の拡大に続いて、企業が海外進出を検討するもう一つの理由は、競争力の強化です。

海外進出は、企業の競争力を高めるための効果的な手段となります。
進出先の国々では、優れた技術や安価な労働力を活用することで、生産コストの削減や製品の品質向上を図ることができます。

また、現地の研究開発拠点を設立することで、最新の市場トレンドや技術革新に迅速に対応できるようになります。
これにより、グローバル市場での競争優位性を確保することができます。

さらに、国際市場で成功を収めることは、企業のブランド価値を高め、世界中の顧客基盤を拡大することにもつながります。
このような競争力の強化は、企業が長期的に成功するための基盤となるのです。

リスク分散

国内市場に依存し続けることは、経済状況の変動や需要の変化といったリスクを伴います。

複数の市場に展開することで、各国の景気や為替レートの変動、政治的リスクなどを相殺し、安定した収益を確保することが可能です。
例えば、日本国内の景気が低迷しても、海外市場での売上が伸びれば全体として安定した収益を維持することができます。

これにより、企業は経営の安定性を保ちながら成長を続けることができます。
こうしたリスク分散の観点は、企業が持続的に成長していくための大きなメリットを提供します。

2. 企業の目的に合った進出形態

海外進出の必要性を理解したところで、次に具体的な進出形態について考えてみましょう。

企業が海外市場に進出する方法は一つではありません。
それぞれの進出形態には、異なる特徴やメリット、デメリットがあり、企業の目的やリソースに応じた選択が求められます。
ここからは、企業が選択できる代表的な進出形態について、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

・現地法人
日本企業が海外に新たに法人を設立し、現地市場で事業を展開する方法です。
現地法人を設立することで、企業は現地の法規制に基づき、独立した経営を行うことができます。
これにより、経営の自由度が高まり、現地の市場ニーズに柔軟に対応できることが最大のメリットです。
例えば、消費者の嗜好に応じた製品の改良や、現地企業との提携を迅速に行うことが可能です。

一方で、設立には多額の初期投資が必要であり、現地の法制度や文化への対応が求められるため、進出の準備段階で十分な調査と計画が必要です

・支店
支店は、日本の本社と同一の事業を海外で展開する形態です。
支店は本社の一部として活動するため、人材や技術、資金などの経営資源を本社と共有しやすく、
管理コストを抑えられる点がメリットです。特に金融業やサービス業で利用されることが多く、
本社のブランド力や信用をそのまま活用できます。

ただし、現地法人に比べると独立性が低く、現地市場での信頼性や事業活動の自由度に制約が生じる場合があるため、
進出先のニーズに柔軟に対応する必要があります。

・現地委託生産
自社製品の製造を海外の工場に委託する形態です。
これにより、設備投資を抑え、製造コストを削減することが可能です。
特に、労働コストの低い国での生産は、大幅なコスト削減を実現できることがあります。
例えば、アパレル業界では、東南アジアの工場を利用して製品を生産することで、コスト競争力を高めているケースが多く見られます。

ただし、品質管理や知的財産の保護に課題があり、委託先との密接なコミュニケーションと管理体制の構築が重要です。

・間接貿易
商社や輸出業者を通じて、自社商品を海外の事業者に販売する方法です。
初期投資が少なく、市場の反応を見ながら段階的に事業を拡大できる点がメリットです。
例えば、初めて海外市場に進出する企業が、商社のネットワークを活用して現地市場を試すといった方法が取られます。

しかし、商社へのマージンが発生し、利益率が低くなることや、直接顧客の声を把握しにくい点がデメリットです。
市場の反応を見極めた後、直接貿易への移行を検討する企業も多いです。

・直接貿易(越境EC)
商社や輸出業者を介さず、自社製品を直接海外に輸出する方法です。
近年では、越境EC(電子商取引)を通じて、企業が直接消費者に製品を販売することが増えています。
これにより、中間マージンを削減し、消費者との直接的な関係構築が可能になります。
例えば、日本の化粧品メーカーが自社のECサイトを通じて海外の消費者に販売するケースがあります。

ただし、物流やカスタマーサポートの整備が必要で、ロジスティクスや言語対応の課題を克服する必要があります。

・クロスボーダーM&A
海外企業との合併や買収(M&A)を通じて事業基盤を構築する方法です。
M&Aにより、既存のネットワークやノウハウ、ブランド力を迅速に活用できるため、スピーディな市場参入が可能です。
例えば、大手メーカーが海外の技術力の高い企業を買収し、技術力を強化するといったケースが見られます。

しかし、買収には高額なコストがかかる上、企業文化や組織の統合に課題が生じることがあります。
特に、文化的な違いによる摩擦や経営方針の不一致を解消するための統合プロセスが重要です。

・フランチャイズ契約
自社の商標やノウハウを提供し、海外企業から対価を受け取るビジネスモデルです。
ローカル企業のリソースを活用することで、低リスクかつ迅速に市場参入できる点がメリットです。
例えば、ファストフードチェーンが現地の企業とフランチャイズ契約を結び、店舗を展開するケースがあります。

ただし、フランチャイジーの経営が自社ブランドのイメージに直結するため、契約相手の選定やブランド管理には細心の注意が必要です。

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3. 海外進出を成功させるための4つのステップ

進出形態を理解したところで、いよいよ具体的なステップを踏んでいきましょう。

海外進出を成功させるには、慎重かつ段階的なアプローチが不可欠です。
ここでは、進出を決定するまでの手順を4つのステップで解説し、それぞれの段階で必要な準備について詳しく見ていきます。

①市場調査とターゲット国の選定

まずは、進出先として検討している国や地域の市場調査を行います。

経済成長率や消費者動向、競合企業の状況、法規制などを分析し、自社の製品やサービスがどの程度の競争力を持つかを評価します。
例えば、現地の消費者がどのような製品やサービスを求めているのか、既存の競合がどのようなポジショニングを取っているのかを把握することが重要です。

この情報をもとに、進出の可能性が高いターゲット国を選定します。

②進出形態の選定と戦略立案

ターゲット市場が明確になったら、次に進出形態を選定し、具体的な戦略を立てていきます。

ここでは、現地法人設立やM&A、フランチャイズなどの進出形態を比較し、自社の目標やリソースに最適な形を選びます。
例えば、コストを抑えつつスピード感のある展開を目指すなら、フランチャイズ契約や間接貿易が適しているでしょう。
一方で、現地でのプレゼンスを強化したい場合は、現地法人設立などが有効です。

選定した進出形態に基づいて、詳細な事業計画を策定し、リスク管理や資金調達の計画も含めた包括的な戦略を立てましょう。

③法的手続きとリソースの確保

進出形態が決まったら、次に進出先国の法規制に沿った手続きを行います。
現地法人の設立やライセンスの取得、労働法や税法の遵守など、事業を円滑に進めるための準備が必要です。

また、資金調達や人材の確保も重要なポイントです。
例えば、現地スタッフの採用や育成、物流やサプライチェーンの構築など、事業運営に必要なリソースを確保することが求められます。

これらの準備を怠ると、進出後に想定外のトラブルに見舞われる可能性が高まるため、事前にしっかりと計画を立てましょう。

④進出準備と実行計画

法的手続きやリソースの確保が完了したら、進出に向けた実行計画を立てます。

例えば、マーケティング活動や販売チャネルの構築、現地オフィスや工場の立ち上げなど、具体的な業務を開始します。
この段階では、現地市場の状況に柔軟に対応できる体制を整えることが重要です。

また、現地のパートナー企業との連携や、現地政府との関係構築も進める必要があります。
進出初期の段階では、状況に応じて計画を見直し、柔軟に対応することが求められます。

4. 海外進出成功の鍵を握る3つのポイント

進出の具体的な準備が整ったところで、いくつかの重要なポイントを押さえておきましょう。

これらのポイントに注意することで、リスクを最小限に抑え、海外市場での成功を確実にすることができます。
以下に、海外進出における3つの重要なポイントを解説します。

ローカライゼーション戦略の重要性

海外市場で成功するためには、現地の文化や消費者ニーズに応じた製品やサービスの最適化が不可欠です。

例えば、製品のパッケージやブランドメッセージを現地の言語や文化に合わせて調整すること、現地消費者が好むデザインや機能を取り入れることなどが求められます。
また、現地スタッフを積極的に活用し、消費者とのコミュニケーションを円滑に行うことで、信頼性の向上を図ることも効果的です。

法規制とコンプライアンスの遵守

各国の法規制に適切に対応することは、海外進出の成功に欠かせません。

特に、知的財産権の保護や税務、労働法など、現地での事業運営に直接影響を与える分野については、法的リスクを回避するための体制を整備することが必要です。
法規制の遵守は、企業の信用や持続的な事業運営に直結するため、法的アドバイザーの活用や、現地の法律専門家との連携を強化することが求められます。

リスク管理と現地パートナーの選定

海外進出には、経済的リスク、政治的リスク、為替リスクなど、さまざまなリスクが伴います。

これらのリスクに対処するためには、包括的なリスク管理体制を構築することが重要です。

また、信頼できる現地パートナーの選定も成功の鍵となります。
パートナー企業は、現地の市場情報やネットワークを提供し、事業運営を円滑に進める上で大きな支えとなります。
パートナー選定に際しては、相手企業の実績や信頼性、事業に対する理解度を慎重に評価し、長期的な関係を築くことが大切です。

まとめ

海外進出は、企業が新たな成長のステージに踏み出すための大きな決断です。

これまでに見てきた通り、グローバル市場におけるビジネスの成功は、戦略的な計画と徹底した準備にかかっています。
市場調査やリスク管理、現地のビジネス慣習や法規制の理解を徹底し、柔軟かつ戦略的に対応することが成功の鍵となります。
適切な進出形態を選択し、現地の文化やニーズに合わせたビジネス展開を行うことで、持続的な成長を実現できるでしょう。

企業ごとの状況に応じた進出計画を策定し、慎重かつ大胆に行動することで、グローバル市場での成功を目指しましょう。

この記事を書いた人
望月 陸太郎

東京藝術大学、ドレスデン音楽大学在学中にクラシック音楽の演奏家としてのキャリアを積む。帰国後、システム会社の営業職を経てグローカルに参画。 現在は、WEBマーケティング、営業戦略、地方創生を担当。