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中小企業のコンサルティング

CEP(カテゴリーエントリーポイント)を用いたブランド認知拡大。小さなブランドでも実践できる!

ブランドを拡大するためには、中長期的にブランド認知の向上が必要となることは周知かと思われますが、実際にブランドの認知向上に取り組むとなると、訴求の軸や、具体的な施策がわからず、何をしてよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

当コラムでは、消費者がブランドを想起する仕組みを活用したCEP(カテゴリーエントリーポイント)と呼ばれる考え方を用いた、認知拡大に繋がる訴求軸の見つけ方についてお話いたします。

当コラムの対象者

当コラムは下記のような方を対象にしています。
ぜひ下記のようなお悩みをお持ちの方、また、立ち上げたばかりのブランドや小規模ブランドを支援される方などに参考にしていただけますと幸いです。

<こんな方に読んでいただきたい>
・ブランドの認知拡大を担うマーケター
・ブランドの認知拡大を支援する方

<中でも>
・CEPという言葉を聞いたことがあるけれど、具体的には活用できていない方
・ブランドの認知施策に取り組みたいが、訴求する内容がわからずに悩まれている方

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CEPについて

そもそもCEP(カテゴリーエントリーポイント)とは?

CEPとはCategory Entry Point(カテゴリーエントリーポイント)の略称で、ブランドを思い出す時のきっかけになる利用文脈を指します。

消費者がブランドを想起する際には、その時の利用文脈に紐づいたブランドが想起される傾向があります。一方で利用文脈がない状態でブランドだけが想起されることは稀であるため、ブランドとして認知施策を行う際には、CEPとブランドを紐づけるような訴求を行うことが重要になります。

 

 

ブランド想起の仕組み_ポカリスエットの例

ブランドが想起される仕組みとCEPの関わりについて、大塚製薬様のポカリスエットを例にご説明します。

ポカリスエットを連想するのは、「スポーツ中」「風邪をひいた時」などが一般的には多いと思われます。一方、利用文脈がない中で、ポカリスエットを想起して購入に至るケースは少ないのではないでしょうか。これはポカリスエットというブランドが、飲料水というカテゴリーにおける「スポーツ中」「風邪をひいた時」という利用文脈、いわゆるCEPの獲得に成功していると考えることができます。

このようにブランドが想起される際には、何かしらの利用文脈を入口に思い出されるため、ブランド側は戦略的にCEPとブランドを紐づけるような訴求を行うことが重要です。

 

さまざまなCEPの導入機会

具体的には、下記のような状況において、CEPを活用した施策が有効です。

・新商品の市場投入時
新しい商品やサービスを投入する際にCEPを訴求することで、消費者の印象に残ることができます。

・既存製品のリブランディング
自社ブランドの認知が低下した際には、CEPを再定義しリブランディングを行うことが有効です。

・特定市場のターゲットを狙う際
ニッチな特定の市場や未開拓の市場を狙うにあたって、CEPを活用することが有効です。

 

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多くのCEPを獲得する重要性

CEPの数が増えると、消費者との接点が増える

CEPへの結びつきが多くあるブランドの方が、消費者の生活の中でブランドにたどり着く機会が多くなることから、ブランドを想起、購入する数もおのずと多くなる傾向があります。

そのため、もちろん少ないCEPに対する結びつきを強くすることも重要ですが、より顧客との接点を増やし、購入機会や頻度を上げるためには、自社ブランドにおけるCEPを多く獲得することが重要です。

 

出典:日経クロストレンド.未顧客を顧客にする入り口「CEP」とは 既存顧客も取り込める.https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00667/00012/

CEP数の増加ともにブランドは拡大する

ブランドの成長とCEPの数には密接な関係があり下記のような傾向があります。

・CEPの増加とともにブランドは拡大する
・売上の減少はヘビーユーザーの離脱ではなく、ライトユーザーの減少が要因であることが多い

したがって、ブランドを拡大し成長させるためには、特定のヘビーユーザーに対する少ないCEPを作ることよりも、既存・新規問わず、より広範な消費者が自分たちのブランドを連想しやすくするために、CEP数を増やすことが重要だと考えることができます。

自社に最適なCEPの見つけ方

W'sフレームワーク

自社製品・サービスのCEPを見つけ出すには、「W”sフレーム」を用いることがおすすめです。

Why・When・Where・While・with/for What・with/for Whom・How feelingからなるフレームワークで、カテゴリー利用のゴール・時期・場所・前後・シチュエーション・気分などを具体化することで、利用文脈を言語化していきます。

 

CEP選定の方法

CEPは適切な数を選定することが重要です。W’sフレームワークを用いて洗い出したCEPに対して、下記4つの視点にて評価をすることで、自社が狙うべきCEPを選定しましょう。

①本当に顧客が望んでいるのか
顧客のニーズや欲求を正確に把握し、それに基づいたCEPになっているか

②利用頻度はどのくらいか
そのCEPはどの程度の頻度で利用されるか。一定の頻度が見込めるか

③競合優位性はあるのか
そのCEPは競合が既に取得していないか

④自社製品の特性を活かすことができるか
自社製品の強みを生かせるCEPになっているか

中小企業や小規模ブランドの場合、まずは1~2個のCEPを設定して施策に落とし込むことをおすすめします。

CEPの実例~JINS SAUNA~

CEPを活用した例として、株式会社JINS様のサウナ眼鏡の事例をご紹介いたします。

JINS SAUNAはサウナ好きをターゲットにしたメガネで、2023年2月に発売後サウナブームの中で注目を集めました。発売当初は全国160カ社のサウナ施設に協力を仰ぎJINS SAUNAのポスターを貼てもらうなど、コアターゲットであるサウナ―の取り込みに注力しました。

そして次なる顧客の拡大に向けて「曇らない」というメガネの特性を生かし、「お風呂用メガネ」としての訴求も開始しました。結果として売上の4割弱がサウナ―以外のユーザーからの購入になり、現在ではさらに訴求軸を広げ、水陸両用メガネという切り口の訴求も行っています。

このように、初期はコアユーザーを獲得しながらも、拡大の際には別のCEPを設定し、別領域の顧客を取り込むことが重要となります。中小企業様においても、まずは自社のコアであるCEPで一定のシェアを獲得したのちは、別のCEPの拡大に挑戦してみてください。

最後に

CEPを活用したブランド・製品の顧客拡大についてご紹介しました。自社にとって最適なCEPを選定し訴求を行うことで、ブランドや製品の拡大に繋げていただけると幸いです。

また我々グローカルではCEPを用いたマーケティング施策の実行はもちろんのこと、ブランドの根幹となる戦略策定からご支援しています。マーケティングに関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

香山昌太
この記事を書いた人
香山 昌太

大学在学時にEC古着事業の立上げを経験後、新卒にて大手繊維商社に入社。国内大手アパレルメーカーに対する、アジア圏を中心としたOEM生産の営業活動に従事。 新規事業開発室に異動後、プロスタイリストを顧客とした撮影衣装リース事業の立上げ・運営に従事。 中小企業におけるマーケティング活動の支援を行うため、グローカルに入社。